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第四十六話「超バグ戦艦」


「はぁ〜……」


 ここは超大和型戦艦(名前はまだ無い)の艦長室。

 そこで大きなため息をつくのは、この戦艦を出現させた張本人、ミーシャだった。


 彼女の目の前には大きな見取り図が二枚。


「はぁ〜……」


 彼女はその見取り図を眺めつつ再度ため息をついた。



 例の水難救助の後、女性が目覚めるまで彼女をゴーザスに任せミーシャは艦体の確認を行っていた。

 魔王軍の将兵に大和の見取り図を渡し、この「超大和型戦艦」の艦内隅々まで探索、大和との相違点を洗い出した。


 第二次世界大戦末期に計画されたこの「超大和型戦艦」は戦艦「大和」と同等の大きさではあるが、主砲が45口径51cm砲に換装されているなど大和の強化改良型である。

 大戦末期には計画はすでに造船段階にあったとされるが、造船の上で問題が浮上していた。

 大和より巨大な主砲「45口径51cm砲」である。

 「45口径51cm砲」自体は試作品が完成したと言われているが、問題はその巨大化した砲弾の貯蔵・運搬であった。

 砲弾が大きくなったせいで、弾薬庫が巨大化し最後まで弾薬庫の位置が決まらなかった。

 また、その弾薬庫からいかにして主砲まで弾薬を運搬・装填するかも問題になった、巨大化した弾薬を艦内弾薬庫から主砲砲塔内に運搬する機械が巨大化したためである。


 ミーシャがため息をつく理由がそれだ。


 魔王軍の報告によると、

 大和をベースに超大和型戦艦の変更点を上書きしたこの艦は従来のスペースに上書きされたスペースが割り込むという異常事態が発生していた。

 たとえば、大和では住居エリアであった所に弾薬庫が重なり、扉を開ければすぐに鉄の壁が出現したり、通路を塞ぐ形で弾薬の揚弾装置が鎮座していたり。

 別の方面ではミーシャが無理やり設定した「魚雷発射管」と「爆雷投下装置」によって艦載機が減少、ミーシャの趣味で某宇宙戦艦よろしく艦底に艦橋が生えていたり。


 特に問題なのがこの「艦低の艦橋」通称「第三艦橋」なのだが。

 この第三艦橋には艦内のスペース確保の為に大和型戦艦の頭脳である中央電算室のすべてが納められている。

 水中探知の為のソナー、魚群探知機、レーダー類などなどの電子機器が「船の底」の、それも「第三艦橋」に設置されているのである。


「絶対もげたりするよなぁ……」


 それでこの呟きである。

 某宇宙戦艦でもことあるごとに大破していた第三艦橋。

 攻撃を受ければ第三艦橋に直撃し、異星の海に浮かべば酸の海で第三艦橋がもげ。

 とにかくろくな目にあわないのが第三艦橋である。

 しかし、次の話では何事もなく艦底に生えているのも第三艦橋なのだが。

 一応、艦内にも電算室が設置されており、第三艦橋ほどではないが機能するので大きな痛手ではないのだが。


「何がどうしてこうなったのか……」


 思えば愛しの学園ライフを夢見て、人並みに魔法を使う為に修行に出かけ、成り行きと勢いで元盗賊のおっさんと、元奴隷のダークエルフと旅をして。

 目的の都市に着いたと思えば勢いで定食屋を開き、師匠は変態で、貴族様には求婚され、訳のわからない理由で犯罪者、気づけば訳もわからぬうちに魔王軍と行動を共にし。

 結局、国外追放どころか自主的に国外逃亡するハメに陥っている。

 

 ミーシャは目頭を押さえながら天井を仰いだ。


 そもそもなぜいきなりの犯罪者扱いなのか、クロにしては反応が過剰すぎるのではないか?

 そもそもなぜラダッド家の人間はミーシャをクロと知って拾い育てたのか?


 考えればきりの無い疑問が浮かんでは消えていった。


 コンコンッ


 静かな部屋に響くノックの音。

 ミーシャは思考を一時中断し扉を見やる。


「総統閣下。例の遭難者が意識を取り戻したようです」


 魔王軍の伝令であろう、その声を聞いてミーシャは椅子から立ち上がった。


「わかったすぐ行く。あと、その『総統閣下』ってのやめてくれ。落ち着かない」


 そう答えるとミーシャは艦長室から出ていったのだった。

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