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2016年新春特別編の1


あけましておめでとうございます!(今更)





 さて、新年である。

 私、ミーシャは、大和帝国総統執務室の机で目を覚ました。

 どうやら仕事中に寝てしまったようだ。

 というか年越しも書類に忙殺されていて、ここ数日間この部屋から出てすらいない。

 まぁ、大抵の書類は日付が変わる直前に終わらせたのでそのまま寝てしまったのだろう。

 私は猫のように大きく伸びをして起き上がった。


 ともあれ、新年である。

 とりあえず、腹が減ったので食堂にでも行って朝ご飯が食べたい。

 御節料理が食べたい。


 私が立ち上がると、ドアがノックされた。

 秘書官が起こしに来たのだろう。


「どうぞ」


 するとドアから入って来たのはうちの副総統であるマシリーだった。


「おはようミーシャ。書類は出来ておるかの?」


「 おはよう、出来てるよ。……あ、あけましておめでとう」


 マシリーが書類を取りに来たのでなんとなく挨拶をしたのだが、返って来たのは予想しない言葉だった。


「? 何かめでたい事でもあったかの?」


「めでたい事って……もう年が明けただろ?」


「明けたのぅ? それで?」


「いや、祝わないの?」


「いや、別に祝わないのぅ。我ら魔族は基本的に長寿種であるし。我ももう400回は年越しをしているでの」


 どうやら聞いた相手が悪かったらしい。

 するとまたドアがノックされる。

 今度は秘書官の女性だった。


「閣下、おはようございます」


「あけましておめでとうございます」


「はぁ……おめでとうございます?」


 いや、その『またなんかわけわからない事始めたよ、この子』的な反応やめてもらっていいですかね?


「いや、ほら新年じゃん? 今年もよろしく的なさ? ちょっと豪華な祝い料理作ったりさ?」


「しませんね・・・・・・。というかなぜ新年だからといって、ただでさえ冬越えで溜め込んだ食料を無駄に消費する必要が有るのです?」


「そ、それもそうだね・・・・・・」


 秘書官に冷たく言われてしまっては私も思わず頷いてしまった。

 よく考えたらこっちの世界の食料事情じゃあ、冬なんて家に篭って美味いんだか美味くないんだか分からないとりあえず日持ちがして腹にたまるものをもしゃもしゃ食べる期間なんだよね。

 それならば。


「よし! 食糧事情的に余裕ぶっこいてるナナルにはそんな習慣あるだろう! いや、ある筈だ、絶対!」


 全は急げ。

 私は急遽、軍用機を手配してナナル王国王都へと飛んだ。





******





「え? いや、ありませんけど?」


 私を待ち受けていたのは王女、いや、今はすでに女王か、ナターシャの冷たい一言だった。


「なんで正月も御節もねーぇんだよ!?」


 王城の私室で優雅に紅茶を飲んでいたナターシャのところに押しかけて問い詰めた私は、あまりの事に思わずバンバンと机を叩いてしまった。


「いや、だって無いものは無いんですよ?」


「普通、貴族とかならめちゃくちゃいいもん食ってんじゃん!? お前らどうせ寿司の上に寿司乗せてたべてんだろ!?」


「スシが何か分かりませんが……。大体この時期は貴族だろうと庶民だろうと家出大人しくしているものですよ? 貴族は特に年が明ける前に遊園会や接待パーティのような催しをして他の貴族とのつながりを強くしようとしますから。もう食料もその時に使い込んでしまうか、招かれる方も飽きが来てますし」


 何という事か、こいつらにはワビサビってものがないのか!?


「こうなったら大和ウチで新年のイベントを開催してやる!! ナターシャも強制参加な!」


「え!?」


 こうして私はナターシャを拉致……もとい強制連行してイベント開始を決意したのだった。





******





 翌日、大和帝国帝都、中央広場前。




『お集まりの皆様大変長らくお待たせいたしました!! これより、大和帝国新年イベント

『食って騒いで盛り上がろうぜお正月! 国家重鎮戦略ゲーム対決』

を開始します!!!』


 ここからは私、ジ・ノブンが実況を担当いたします。

 解説は大和帝国海軍のメアリ・ノックス元帥と元ガゼル帝国海軍航空隊のティマー・バートンさんです。

 よろしくお願いします。


「よろしく」

「わ、私はなぜ呼ばれたのだろう」


 これより大和帝国特設会場にて各国の重鎮の方々に国家運営戦略ゲームをプレイして頂きます。

 なお、このイベントはナナル王国の王都中央広場に巨大モニターを設置して生中継しております、もちろんテレビ、ラジオでも生放送します。


 各国の方々にはこれよりコンピュータゲームにて国家元首として、それぞれの国家の内政、外交、研究、そして戦争を行い、期間内に数多くの領土を獲得した方が勝者です。

 また首都を占領された参加者はゲームオーバーになります。


 こちらのゲームは異世界、欧州と呼ばれる地域が舞台となっております。

 参加者の方々はそれぞれがこちらの世界での国王、指導者、統治者でありますので、皆様の手腕が試されます。


 では、参加者と担当の国家、国家特性を簡単にご紹介します。



 一人目の参加者:マシリー・ノイルン

 担当国家:ソヴィエト社会主義共和国連邦

 国土:ソヴィエト連邦、フィンランド、トルコ


 マップの東に位置し広大な土地を所有する大国です。

 人的資源は大量に算出され歩兵の大量生産が可能ですが、国土の大半は泥土、若しくは凍土の地形影響を受けており戦車などの車両の運用はいまひとつです。

 またペナルティとして歩兵、山岳歩兵などの歩兵系ユニット以外の車両系ユニットの生産・研究速度が低下しています。

 人的資源以外の資源の産出量は並です。

 いかに歩兵を使って物量で押し攻めるかがカギになります。

 また国土は冬季になると自軍敵軍を問わず行動するだけでユニットの兵力が減少します。



 二人目の参加者:ジャンヌ・ナナル

 担当国家:フランス共和国

 国土:フランス、スペイン、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク


 マップ西方に位置する国家です。

 本ゲームではスペインも含めます。

 生産・研究・資源生産において平均的なバランスのいい国家です。

 東部国境線沿いに強固な要塞(マジノ線)を持ち、自国内では全ユニットにすべての土地で補正が掛かります、これはその土地に要塞があるなしに関わりません。

 しかし他国に進攻した場合はマイナスペナルティが付きます。

 いかにゲーム終了まで国土を守るか、もしくはペナルティを無視できるほどの戦力を揃えるかがカギになります。



 三人目の参加者:ナターシャ・ナナル

 担当国家:イギリス帝国

 国土:ブリテン諸島

 

 マップ西方、フランスの北海上にある島国です、本ゲームではブリテン諸島のみが国土です。

 ゲーム開始時から強力な海軍を保有していますが陸軍は貧弱です。

 海軍ユニットの生産・研究にプラス補正が掛かっていますが、ペナルティとして陸軍ユニットにマイナス補正が掛かっています。

 制海権の維持と海上輸送がカギになります。



 四人目の参加者:ミーシャ・R・ライヒ

 担当国家:ドイツ国

 国土:ドイツ、スイス、デンマーク、エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランド、チェコスロバキア、ハンガリー、ルーマニア

 

 マップ中央に位置する軍事大国です。

 ゲーム開始時にすでに各技術にて他国の技術より二段階ほど進んだ技術を持っています、また技術の研究速度も各国の倍を誇ります。

 しかし、最初期の保有軍事力はたったの10師団(英20師団、仏3~40師団、ソ連100師団)で歩兵師団5、機甲師団(軽戦車)5しかありません。

 技術的格差のおかげで何とか攻勢を耐えることは出来るでしょうが、同時的多面攻勢を受ければたやすく撃破されてしまうでしょう。

 開戦までに戦力を揃えることが重要です。



ミーシャ(独逸)「ちょっと待った! フランスの人選おかしいだろ!! どう考えても英仏共同で潰しに掛かってくるじゃん! 英仏、ソ連の挟撃とかありえなくない!?」


ジャンヌ(フランス)「当たり前だ! 私はお姉さまの味方に決まっているだろう!」


ミ(独)「マシリー! ここは一緒に英仏叩かない!?」


マシリー(ソ連)「いや、我がどっちかに付いたら面白くないであろう? ここはドイツを通り道にしていくしかあるまい?」


ミ(独)「ふざけんな! 勝てるわけ無いだろう!?」



 ご安心ください、特別ゲストを呼んでおります!



 五人目の参加者:ニャル

 担当国家:イタリア

 国土:イタリア、ユーゴスラビア、ブルガリア、ギリシャ


 ドイツの南に位置する国家です。

 航空技術のみ他国の先を行きます、ゲーム開始時の状態ではどの国家もイタリアの戦闘機には太刀打ち出来ません。

 しかしそれ以外はすべて並です。



ミ(独)「ニャル!? 何で居るの!?」


ニャル(イタリア)「特別編だから」


ミ(独)「メタ発言やめーや!」



 ノルウェー、スウェーデン他は立ち入り禁止。

 そのほかの国家はすべて不参加になります。


 そして、勝者には大和帝国として出来うる限りの希望を叶える事が約束されます。

 また勝利者の出身国、及び所属国の特設会場には我が軍が誇る最強のコックによる究極の御節が振舞われます。

 なお、御節の内容については極秘です、事前調査の為に潜入した諜報部員全員が返り討ちにあっております。

 では、調理会場に取材中のヴィーナさんに聞いてみましょう。


「こっちは、調理会場のヴィーナや。会場にはいい香りがしてんでー。ついさっきつまみ食い使用としたヴァルヴェルトが手首捻り挙げられてたわ。なにやっとんねんアイツ。まあ各会場ではすでにお雑煮が配られてるからうちらは食べながら待ってるわ」


 はい、ありがとうございます。


 では、各参加者の希望を聞いてみましょう。


 まずは、マシリー閣下。


マ(ソ)「では、我は帝国の支援で会社を設立するぞ!」


ミ(独)「会社ぁ?」


マ(ソ)「マシリー財閥を立ち上げるのだ! 軍の有能な者をゴッソリ使うから覚悟しておけよ!」


 また、なんとも大きく出ましたね。

 では続いてナターシャ様。


ナターシャ(イギリス)「そうですねぇ・・・・・・では、ナナル国内に大規模な近代軍事工場の建築をお願いします」


『ええええぇぇぇぇ!!??』


 こ、これは・・・・・・!?

 そ、総統閣下! だ、大丈夫なんですか!?

 帝国的にはかなり危険な条件ですが!!

 会場のざわめきがものすごいです!


ミ(独)「いーよ」


『ええええぇぇぇぇ!!!!????』


 か、軽い!

 さすが我らが閣下、余裕の表情です。


 では、ジャンヌさんのご希望を。


ジ(仏)「そうだな、では・・・・・・お姉さま直属の機甲師団を私の指揮で! そしてそいつを私の補佐官に貰っていく!」


ミ(独)「ん? ・・・・・・わ、私か!?」


 期間は相談させていただきますが、閣下には本当に出向いてもらいます。


ミ(独)「ふざけんな!」


 では続いてミーシャ閣下。


ミ(独)「休暇だ! 休暇! 半年いや、丸一年は休む!」


 こ、これはまた総統閣下らしい願いですね。

 調理会場のヴィーナさんの顔が引きつっています。


 では、最後にニャルさん!


ニ(伊)「私は・・・・・・いや、私が勝った時でいい・・・・・・」


 な、何か不穏ですが・・・・・・ま、まあいいでしょう。


 では次回!

 ついにゲーム開始です!!


ちょっとだけ続くんじゃ。

H○Iっぽい感じのゲームだと思ってください!

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