桃太郎 -The M-Team-
むかしむかしあるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました、おじいさんは山へ芝刈りに、おばさんは川に洗濯をしに行きました。すると大きな桃が川上からどんぶらこー、どんぶらこー、と流れてきました。
「Congratulation、自分で自分を褒めたいところだぜ。こんな吉報が川上から流れてくるとはなぁ!」
喜んだおばあさんは桃を、よいしょっと肩で担ぐと、意気揚々と家にと持って帰りました。
「Emly、これは?」
「わからないか、John。桃だよ、まごうことなき桃だ。お前の目には一体なにに映っているのだ?」
「波止場で出会ったAngelのケツかな」
「ジーザス! 桃を切るまえにお前を切り刻みたいぜ」
おばあさんは単分子カッターで桃をいきおいよく切り刻みます、すると桃の中から単分子カッターを指先で白羽鳥でつかんだ精悍な顔つきの赤ん坊があらわれました。
「状況をのべるでちゅ、なぜ貴様らはわたしに刃物をむけているのでちゅか?」
《大佐殿!》
異様なはくりょくに押され、おじいさんたちは思わず赤んぼうに敬礼しました。
その子は桃からうまれたので、桃太郎と呼ばれました。
「John軍曹。少々ネーミングがあんちょくすぎるのではないでちゅか?」
桃太郎はするどい眼光でおじいさんを睨みつけています、口にはおしゃぶりを葉巻のようにくわていました。
「はっ! 可愛らしいNameをつけることで敵の気概を削ぐという試みであります!」
「きにいった! しかしわたしに断りもなかったのはゆるせん! 貴様、山間を薪をせおって走ってこい! でちゅ」
「ですが――」
赤んぼうはおじいさんの腕をつかむと、空中に放り投げました。
おじいさんはクルクルと空を一回転しつづけます、けれどそこは歴戦のもさ。きれいに地面へと着地しました。
「ほぅ、おまえ、見所があるな。きにいった! 隣の村まで、薪を背負ってRun a Way! でちゅ」
「Sir、Yes、Sir!」
桃太郎はおじいさんとおばあさんの愛情のもと、すくすくと育っていき、あっというまに大きくなりました。
ある日のことです。
「大佐殿。鬼ヶ島に悪い鬼が住みついていると情報がはいりました、近隣の村々が目下武力で対抗しているとのことのですが、状況は芳しくないようです」
くらい室内でおじいさんはブリーフィングをおこなっています、スクリーンには高々度から撮影された鬼ヶ島の全景がうつしだされていました。
「敵戦力はいかほどだ、John軍曹」
「鬼が五十体ほど確認されております、奴等の所持兵器はお手元の資料に記載させて頂きました。鬼と称するだけあり、個人の武力は相当なものになりますが、鬼同士の連携はあまり機能していないように思われます」
「ふむ――油断するのもDfficultな話だな、なあEmly二等兵? せっかくの地の利を生かしきれていない、これでは楽に攻めるなという方が無理な相談だ」
「それでは、大佐殿――」
おじいさんは期待をこめた目で、桃太郎をまっすぐに見つめました。
「敵はKill Them All、それが私の行動理念だ」
桃太郎は手早くたびたつ準備をととのえました。
おばあさんは手作りのきびだんごを作ると桃太郎へとわたし、彼はバックパックにソレをつめこみました。
「大佐殿、お腰にはきびだんごしか見受けられませんが?」
「John軍曹。私の存在は確認されてはいけない……現時調達だ」
そうして桃太郎は、みわたすかぎり赤色の大地をあゆんでいきます。
途中、桃太郎は四輪駆動の車をたくみに運転する犬にであいました。
「良い車だな。貴様、すぐさま車から降りろ」
「んだてめぇ、俺の恋人から降りろだと? はっ、頭のネジや情緒もないBoyだ。俺達の仲を裂きたいのなら大統領でもつれてくるこったな」
――パンッ
空気のはれつする音がひびきました。
「てめぇ撃ちやがったな! 肩にかすめたじゃねぇか!」
「ほう……いまので泣き言をもらさぬか。きにいった! 貴様を我が隊に入隊させてやろう!」
「あーん? ったく、Springはこれだから困る、軍オタクのCrazy野郎がのんきに散歩してやがるぜ」
桃太郎は犬が日本一のきびだんごをせがむので、口にむりやりつめこんであげました。
「な、なにしやが……一生ついていきますぜ、大佐殿!」
犬は車からでると、膝をじめんについて深々とあたまを下げました。
「ほぅ、良い返事と態度だ。その忠誠心をみこんで、貴様はこれから自身をDogと名乗るが良い」
犬は桃太郎からきびだんごをもらい、家来になりました。
桃太郎と犬が四輪駆動の車で道をばくそうしていると、日本刀を抱えた一匹のサルがやってきました。
「Hey! Yellow Monkeyさんよ、道の真ん中でつったってんじゃねぇよ!」
犬は車のクラクションをけたたましく鳴らします。
「敵が、友が、切られる。拙者が切る……はじける……何ものこっていない」
しかしサルはぶつぶつと呟くだけで、いっこうに道からどく気配はありませんでした。
「大佐殿、あのくすんだ雰囲気は敗残兵ですかね……。元気だったイトコが紛争から故郷にもどってきた時、あんな感じで魂が抜けていましたぜ……」
「ふむ、しかし気骨が残っているように思えるな」
「た、大佐殿。お言葉ですが、アレにですかい?」
桃太郎の発言に犬は首をかしげました、しかしサルと根っこが同類であった桃太郎はきづきました。
「おい、そこのYellow Monkey。貴様、Enemyが欲しいか――?」桃太郎は問いかけます。
「敵は切るもの……けど拙者は、もう、二度と切れない。心がなまくらの侍は、例えどんな武器を持とうも……」
桃太郎はサルが日本一のきびだんごをせがむので、口にらんぼうにつめこんであげました。
「な、なにをする……敵はどこにいるか!? 拙者が血の道をひらいてくれようぞ!」
「ほぅ、精神高揚剤としても効き目があるな。和の国の敗残兵よ、貴様はもうただの黄色いサルではない。敵を滅するだけのただのサルとなるのだ、貴様はこれから自身をMonkeyと名乗るが良い」
サルは桃太郎からきびだんごをもらい、家来になりました。
桃太郎と犬とサルは、かわいた大地を四輪駆動の車でばくそうしていきます。
すると道の真ん中であおむけになっている、一匹のキジに出会いました。
「そーらーがーおちるー。でもー僕は飛べないただのイルカー、Father!? Mother!? 僕、Nonフラーイ! きびだんごくれよー、だれか僕にきびだんごPlz! だってそらをとべーるー」
キジは焦点のあってない目でそらをながめていました。
「大佐ぁ! こいつ頭ん中が空にFly Hyeしちゃってますぜ。ったく、きびだんごを食べすぎたな、このイかれ野郎」
「そう、邪険にするなDog。元は兵士であったのだろう、その証拠に隙がまったく見当たらんな」
桃太郎がキジへと安易にちかづこうとすると、キジの眼光があやしくかがやいていたのでした。
「Hey! Rmember? きびだんご、もってる? Plz! Plz! PPPPPlllllllllllllllzz!」
桃太郎はキジが日本一のきびだんごをせがむので、口に放りなげてやりました。
「……AaHa! 頭がようやくCleanになってきましたよ、それで僕はだれをCleanすればいいんで?」
「ほぅ、物分りの良いイかれ野郎だ。貴様のようなぶっ飛んだ奴は、これから自身をBirdと名乗るが良い」
キジは桃太郎からきびだんごをもらい、家来になりました。
桃太郎と犬とサルとキジは、道なき道を四輪駆動の車でばくそうしていきます。
ようやっと鬼ヶ島につくと、城の大きな門の前に鬼が立ちふさがっておりました。
犬はアクセルを全開にふむと、鬼をまきぞえにしながら車で門をとっぱしました。
「やあやあ、我こそは日本一の桃太郎! おまえたちを成敗しにきたよ!」
「なんだなんだ、ちょこざいな。なまいきな小僧め、おれたち鬼がこらしめてやる!」
鬼ヶ島のいたるところから、鬼達がわきでるようにあらわれました。
「Dog、Monkey、Bird――私の愛する雑兵たちよ。命令はただ一つ、いたってSimpleだ」
桃太郎はしずかに呟き、そして。
桃太郎は親指をつかって首をかっきるポーズをしました。
《Sir! Yes、Sir!》
桃太郎一行はいっせいに鬼たちへと飛びかかりました。
桃太郎はきびんにしゅういを動きまわり、おじいさん仕込のシステマをつかい、えいやえいやと、鬼をこらしめていきます。基本は脱力、いかなるじょうきょうでも平常心をうしなわない
彼の脳裏に桃太郎としての心得がつぎつぎにうかんではきえていきます、今も『第三章 武器取り扱い編・拳銃から迫撃砲まで扱える技術が必要だ』を胸に、鬼から奪った重火器で、えいやえいやと鬼をこらしめていきます。
「Hahahahaha! 命を大事にしないやつはクズだ! そんなFuckな考えごと頭をふっとばしてやる!」
「大佐ぁ! ノりにノってますな!」
いくえにもかさなった銃声という名の、みかたを鼓舞する軍歌が、鬼ヶ島にとどろきます。
犬はごじまんの足をつかい、鬼の銃撃から四輪駆動の車で味方をかばったり、突撃をかましたりしています。そして鬼から奪ったパワードスーツで、えいやえいやと、鬼をこらしめていきました。
「Ya-Ha! こんなご機嫌なおもちゃをかくし持っているとは、鬼達もあなどれませんな、大佐殿!」
パワードスーツの両腕に装着されているガトリングガンが、いっせいに火をふきました。
えいやえいやと、鬼をこらしめていきます。
サルは日本刀を鬼にふりかざし、○○で△△で×××、※※をちょんぱ的なことをしていきます。
一応、童話と銘うったので、ちょくせつてきな表現はさけさせていただきますが、その活躍は真の鬼であると評する以外なにものでもありませんでした。
「武士道とは死ぬこととみつけたり修羅道とは殺すこととみつけたり、我悪鬼羅刹となりて目の前の敵全てを――」
サルが握る日本刀からは、あかい軌跡がえがかれました。
つぎつぎに、えいやえいやと、鬼はこらしめられていきました。
とどめはキジの航空支援です。ナパーム弾が雨あられのようにふりそそぎ、鬼ヶ島を焦土へとかしていきました。
「ぼくはBird、ぼくはBird! ぼくはおおぞらをかけるBird! Father!? Mother!? ぼく、Fly ハーーーィイ!」
「HaHa! どいつもこいつも、StealthMissonだというのに、派手にやりやがって!」
桃太郎は不満をたれていますが、その口元は笑みでゆがんでおりました。彼も戦士――純粋な破壊のなかでしか生きられない、くっきょうな男なのです。
気づけば、あたりから物音がなくなりました。
桃太郎はくちに葉巻をくわえると、もくもくと煙をはきだします。
「Misson 、Complete」
そして、彼はそう一言呟きました。その声に呼応したのか、犬、サル、キジは勝ち鬨をたからかにあげました。
島に平和がもどったことを確認した桃太郎は、おじいさんやおばあさんが待つ家へと、お供たちと共に、けいかいに四輪駆動の車を走らせます。うしろの荷台には、鬼達がつくった偽造紙幣の原版がつめこまれておりました。
これこそが桃太郎のほんらいの目的でだったのです、ほんとうに抜け目がありません。
こうして自由なお金をつくりだすことが可能になった桃太郎一向は、しょうえんが漂う世界をすえながく生き、ときにはバカンス、ときには他国へ武力介入を交えつつ、幸せにくらしましたとさ。