表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百万点の青空を目指して  作者: 綜目月 梶才


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/7

青空計画開始 3

 それからしばらくして、私達はご飯を食べる事にした。

 ハルマちゃんに焚き火の準備をしてもらっている間に、私は家に戻ってご飯の準備を始めた。


「山菜と、火打石。あ、後ナイフも必要かな。それと、フライパ――いだッ!」


 手に持ったフライパンは、左手の激痛で甲高い音を立てながら地面に落ちた。


「どしたぁー」


「――なんでもない! 手を滑らせただけ!」


心配の声に私は誤魔化して、左手をみた。


爪だけじゃなくて肉も裂けてる……。

うへー、グロい。

こんなの見せたら好感度マイナスだよね……。

包帯包帯。


 ベッドに置いてあった包帯を手に取って、一時的な応急処置をした。


とりあえず今はご飯を作って好感度アップを狙う!

手当の暇なんてない!


 という事で準備をした物を手に取り、家の外に出た。


「はい、ハルマちゃん」


「ん。ん?」


 私はハルマちゃんにナイフを渡して、火の準備を始めた。


カンッカンッ


いったー!

左手痛すぎるよこれ!


石を打つ度に、左手に激痛が走る。

あまりの痛さに力を入れられない。


「ハルマちゃん、ごめん助けて」


「――たく、仕方ねえな。貸してみろ」


 ハルマちゃんはやれやれとした顔をしながら、火打石を受け取った。


「使い方わかる……?」


「舐めんな。ママに教わったし、本も一回読んだ事ある。お前は手休めとけ。左手……痛むんだろ。後で見せてみろ」


 ハルマちゃんは私の言動から、左手が痛む事を見抜いた。

 気遣う素ぶりに私は咄嗟に左手を隠して、首を横に張った。


「違う違う。トンカチ振りすぎて力無くなっちゃったの」


「……そうか」


「……。あ、私ヤジンの下処理してくるね。えっと、ナイフナイフ〜」


 バレそうなのと嘘をつく後ろめたさで、気まずさから私はヤジンの死体まで走った。


ふぅ、ふぅ。

あっぶな〜。


 私は高鳴る心臓を押さえて、ヤジンの死体に頭を預けた。



さっきからなんか……、ハルマちゃんめちゃくちゃ優しい……!

何あれ何あれ!こっちが先に好感度マックスになっちゃうよ!!!


沢山手伝ってくれるの……久しぶりに感じちゃう。

お母さんの温もり――。

強敵だ……!こっちが先に心を掴まれちゃう!


フッフッフッ、でも私にその技を教えたのは間違いだったよ!

お母さんの温もり、私も使っていくからね!



 新技を習得した私は不敵な笑みを浮かべながら、ヤジンの下処理を開始した。


でっかいなぁ〜。

みた感じ、3m級かな……?

とりあえず皮を剥げばいいかな?


……デカすぎて全部の皮は無理だ。

勿体無いけど食える部分だけ取って、後は自然に帰そう。


 私は1キロぐらいの肉を切り取って、ハルマちゃんの元へ戻った。


火はもうできてる。

よし、料理開始だ。


 私は調味料を駆使して、鮮やかにご飯を作り始めた。


どう?この巧みなスキル!

好感度上がるんじゃなーい?ハルマちゃん!


 私はフライパンを振りながらチラリと視線を送った。

 でもハルマちゃんはこっちを見るどころか、森の方ばかり見てた。



仕方ないけどさぁ!悔しいよねえ!

料理完成ッッッッ!!!!!!



「ヤジンのお肉のステーキです。どうぞー。私のは昼の残りのお粥」


 ハルマちゃんの目の前に皿を置いて、フォークを渡した。


「…………んぁ。」


 ハルマちゃんは豪快に肉に齧り付いて、口の中で転がしながら味わい始めた。

 定期的に森の領域際際に置いてある死体と肉を交互に見て、ゆっくりと飲み込んだ後私の方へ振り向いた。


「美味い。マジで」


キッッッッタァァァァァ!!!

ポイント追加きたでしょ!

小さくガッツポーズ!


「ほら、ナズハも食ってみろ。美味しいから」


…………え?


 喜びから一転、顔を上げるとハルマちゃんが笑顔で肉を差し出してきていた。


「えーと………………。それ、ハルマちゃんのだし……?」


「別にまだあるしいいよ。食ってみな」


私は唾を飲み込み目を瞑った。


私、ヤジン食べるの……??

本ッッ当にやだかも……。――でも、これ食べなきゃ好感度が……。

いいの?本当に食べていいのかなこれ。私大丈夫???

――か、加熱の力……!!!


「ぁぁぁあああイッッ!」


勇気を振り絞って思いっきり噛みついた。

その瞬間私の体に電流が走った。


「な、なにこれぇぇぇ。味濃くて美味しいいいいいい」


「な?いったろ」


ハルマちゃんの言う通りだった。

 私は肉をよく味わった後、手元にあったお粥に飛びついた。


お粥も美味いけど、こっちは香りとか優しい味だ。

ヤジンの方が美味しい!ヤジン、恐るべし!


 私はお粥と睨めっこした後、ハルマちゃんの方へ勢いよく顔を上げた。


「ハルマちゃん!私もあげる。さっきとは違って、あったかいから美味しいよ!」


「うっ……あ〜、うん……。」


 ハルマちゃんは差し出されたお粥を睨みながら、少し私から距離をとった。


「大丈夫、不味くないって」


 スプーンでお粥を掬って、ハルマちゃんの方へ手を伸ばす。


 こんな事したらマイナスかも知れないけど、私にはちゃんと考えがあるの。

そう、これ。『あーん』。

 お母さんの温もりの力で、プラスマイナスゼロにする!

 この力で私はノーリスクで、お粥の美味しさを渡せるの!


「ほら、ハルマちゃん。あーん。」


「あ、一回だけだからな……!!」


 ハルマちゃんは顔をプルプルと震わせて、目を瞑りながらお粥を食べた。


「不味い!!」


すぐに吐き出した。

 そして舌を両手で擦りながら私からさらに距離をとった。


「もう2度と食べないからな!」


ごめん、ハルマちゃん。

でもこれでわかった。

 私とハルマちゃんの味覚はちゃんと似てるはず。好き嫌いの原因は、食って来た物のせいだ。


 私はずっと山菜食べてたから気にならないけど、ハルマちゃんは味の濃いヤジンを食べてた。

 濃い味に慣れてたせいで、味が薄くて不味く感じたんだ。

 つまり味の濃い調味料があれば、山菜でも満足してくれるはず!!


フッフッフッ、いい実験だった!






――それからご飯を食べ終わった私達は、火消しをして就寝の準備に入った。

 ベッドはもちろんハルマちゃんの物――好感度アップ――、私は床に布を敷いて寝るの。



 寝る準備をしていた途中、私はこんな提案をした。


「ねぇねぇハルマちゃん。明日からさ、好感度の上下を数字で表さない?」


「なんで?」


 ハルマちゃんはベッドに転んだ状態から座った状態に変えて、首を傾げて私の方を見た。


「私目で見えた方が燃えるタイプだからさ、やる気の為に欲しいな。お願い、私頑張るからさ」


 ボードとペンをハルマちゃんの膝に置いて、両手でハルマちゃんの手を包み込んだ。

 そしてわざと膝立ちに変えて、ハルマちゃんを見上げた。



こうすれば優しいハルマちゃんは絶対受けてくれるはず!

ごめんね!卑怯だけど青空のためなの!


「ん、うん……。そこまで頼まれたらなぁ……。別に変な事じゃないし、いいよぉ」


 ハルマちゃんは眉を下げてもじもじしながら答えた。

思った通り!


「これに書けばいいの?」


「うん、沢山書くから小さくね。えっと、大好きがプラス100で、大嫌いがマイナス100にしてね」


「うん。――じゃあ、ベッドの上の方に置いておくから明日見て」


 今日のプラスマイナスを書き終えたハルマちゃんは、そのままベッドに潜り込んだ。

 それに合わせて私もランタンを消して、寝転んだ――。













――横になってから1時間後、私はこっそり立ち上がった。

 ハルマちゃんに近づいてちゃんと寝ているかの確認をした後、私は机に向かった。

 明かりを小さくランタンをつけて、手紙を書き始めた。



 ハルマちゃんを落としにいくには、もっと私に力がいる。

 植物の知識、物理の知識、ヤジンの知識、料理の調味料。


最近してなかった支給の要請の手紙。

私は書き終えた手紙を床の隙間に差し込んだ。



うん、これでよし。

支給品を使って、明日も頑張るぞ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ