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百万点の青空を目指して  作者: 綜目月 梶才


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3/7

弁明

 私が固まって放心していると、女の子は左腕を何度か優しく揉んだ後、右手拳を握りしめて私を睨んだ。


――ヤバい!


 私は急いで両手で力一杯棚を押して、体を抜こうと踏ん張った。


ぬっ、抜けない!

本当にやばい!このままじゃ!


 もがいていると女の子はベッドの上で立ち上がり、私を指刺した。


「お前は誰だ、なんで私はここにいる」


……何この子、記憶障害?

答えたいけどさぁッ、先に助かりたいんだけど!

安全の確保が先だよ……!


 私は待っての意を込めて、両掌を力一杯女の子に差し向けた。


「……ッ!」


 すると女の子はビクンッと体を一瞬震わせ眉を下げた。

 でもまたすぐに眉をキリッと上げると、拳を振り上げてこっちに飛んできた。


「何する気だったか知らねえが、どっちにしろ答えねえならッッ!!」


ヒイィぃぃぃ!死ぬゥ!!

お願い抜けてええええ!!!


 私は必死にお尻を振りながらなんとか隙間を作り、万力の力で棚から脱出した。

火事場の馬鹿力様々だ。

 そしてベッドに頭から落下した直後、背後から聞いた事ない轟音が鳴り響いた。


「まさか……!!」


そのまさかだった。

 振り返ると私の家の玄関は大きな大きな、開放的な入り口に変わっていた。


あんなの当たってたら……。


「……! 今そんな事考えてる場合じゃなーい! 外でなきゃ!」


 放心していた私はハッとして、すぐに――一応壁からじゃなくて玄関ドアを開けて――外に出た。

まだ中にいたら確実に家がもっとめちゃくちゃだ。


外に出てまず私は女の子の姿を探した。

砂煙が凄くて視界が悪くてよく見えない。


よし、探すんじゃなくて出てきてもらおう!


「左腕触っちゃってごめん!! でもそれ私じゃないの!信じて!! 私は!ただ貴方を助けようと!!」


叫ぶや否や、砂煙の中から大きな石が飛んできた。

 石は私のおでこに直撃して、私は足を引っ張られたように地面に倒れた。


いったぁぁぁ!おでこ赤くなるよ!

料理道具なのに武器に使わないでよ!


 私はおでこを摩りながら家の陰まで走って、砂煙の方を恐る恐る覗いた。


「一回攻撃やめてよ!なんで攻撃してくるの! 私なんもしてないじゃん!」


「私の腕を折っただろ!」


「違うって!多分それヤジンだよ! 私なんかが折れるわけないじゃん!」


「知らん!」


 声は明らかに怒っていて、話が通じる感じはしない。

 どうやったら話を聞いてもらえるだろうと、私は頭を捻らせた。


何か落ち着いてもらう方法……方法……。

なくない?こんなの、もう殴られるまだ落ち着かなそうだよ。

でも殴られたら死んじゃうし……


「……あっ!そうだ!」


「そこか!」


 声が聞こえた途端、私の目の前の壁が蹴破られて吹き飛んだ。


やっばーー!!

声出ちゃった!


 女の子は蹴破られた壁を跨いで私の前に現れて、怒りに満ちた表情で見下ろした。

 そんな絶体絶命の大ピンチの中、私はある秘策を思いついた。


そう、土下座だ。

 どんな怒った人でも、この行為の前では落ち着くらしい。


「ごめんなさい!! 腕を触って痛めさせたのは事実だけど、骨折の方は本当に知らないんです! 落ち着いてください!」


 精一杯謝った後チラッと見上げると、女の子は左腕を見ながら静かに息をしていた。


効いてる……?


私は下を向き直して安堵のため息をついた。


(ふー。よか――んべ)


 でもその瞬間、とんでもない力で私の頭は地面に叩きつけられた。


「知るか。とりあえず痛いからムカつく」


…‥教訓にしよう。

相手が知らなきゃ土下座なんて無意味だ。

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