誤解
その後私は女の子家まで運んで行って、ベッドに寝かしつけた。
まずは何をしよう……。
ご飯?それとも観察?あ!怪我してるかもしれないし治療もしなきゃ?
頭を回せー私、この子の心を掴むんだ!
となると、やっぱり最初はご飯を作るのが1番かな。
私は籠の中から山菜を取り出して、ご飯の準備を始めた。
心を掴むには、やっぱりとびっきり美味しくないと。
作るのがめんどくさいけど、あれを作れば間違いなし!
まず穀物の殻を剥いて、小鍋に投入。さっき汲んだ水を入れて、準備完了!
……これじゃ、足りなくない?
心を掴むには、もっと美味しくないと!
臭み消しにネギ科の植物を投入!――名前忘れた――
あとはフキ入れて、大根の葉っぱも入れちゃお。
んー、これぐらいあればいいかな?
私は一旦鍋を机の上に置いて、ベッドの下から物入れの籠を引っ張り出した。
あったあった、火打石。
これを、起こりになる可燃性の布を用意して、叩く!
カンッ
カンッ
これがッ、ほんとにッ、難しくって。
凄いッ、疲れるッ!
――カンッ。カンッ。カッ。
20回ぐらい叩いてようやく火がついた。
私はすぐに息を吹きかけて、ちょっとずつ火を大きくしていった。
――火が大きくなってから私は大変なことに気づいた。
ここ室内だ。
私は急いでドアを開けて火種を緑が禿げた土の上に置いて、家中のドアを開けて換気した。
煙を外に逃した後恐る恐る女の子の方を見ると、まだスヤスヤと眠っていた。
ふー。安心安心。
「……あっ!火種!」
家の外に目をやるとまだ火は燃えていた。
でも凄く弱りきっていて、今にも燃え尽きそうだった。
やばいやばい、ガマの穂まだあったかな。
もう一回あれをやるのは嫌だ!
家の中を漁ってみると、まだギリギリ残ってた。
それを持って急いで餌やり。
火はなんとか生き返ってくれた。
その後薪を焚べて、家のそばに置いている石で囲いを作って、その上に用意していた鍋を置いて煮始めた。
うん、いいね。私料理上手いよこれ。
私が食べたいぐらいだもん。
穀物が柔らかくなったぐらいで、最後に塩をかけて完成。お粥!
土を被せて火消しして、私は鍋を持ってウキウキでドアを開けた。
そこで私は衝撃の事実に気がついた――。
この子を起こすのを忘れていた。
「やっばー!1番大事な事を忘れてた!お粥冷めたら美味しくないよ……、起こさなきゃ。」
私は一旦鍋に蓋をして机の上に置いて、ベッドに近づいた。
起こそうと肩に手を伸ばした時、私はある事に気がついた。
このタイミングで観察とか、傷の治療できるじゃん。ってね。
そう思うと私はご飯の事なんて忘れて、布団を剥いでた。
「まずは傷の確認。……んー、赤いの無し。多分大丈夫。よーし、じゃあ観察するぞー。」
まずは――ヤジンかどうかの確認。
もしかしたら本にも書かれてない新種かもしれない、だからちゃんと人間なのを確認しなきゃ。
方法は生殖器の確認。
ヤジンの生殖器の形は、私達人間とは大きく違う。
だから生殖器の形を見れば、判断できる。
私は女の子のズボンとパンツをずらして、生殖器を確認した。
うん、ある。
「ふー、よかったヤジンじゃなくて」
人間の確認と同時に年齢の確認も完了!
股から血が出てないって事は、年齢は10歳以下だ!
次に筋肉や骨を見てみよう。
もし筋肉や骨が私とあまり大差ないなら、ヤジンを倒したのは身体能力とかじゃなくて、何か方法があるはず!
それがわかったらこの子の心を掴む必要もないし、確かめなきゃ。
私は両手で揉んだり押したりして、つま先から首元まで全て念入りに確認していった。
その結果分かった事は――信ッッッッじられないぐらい体が強すぎる事だった。
とにかく体が鋼のように硬かった。
これは無理だ。私じゃ真似できないや。
やっぱり、青空に会うにはこの子の心を掴まなきゃいけないな。
一応、体の左側も確認しとこうかな。見てたの右側だけだったし。
「――あれ!?」
左側を確認してたら、凄い事に気づいた。この子左腕の関節が一つ多い。
なんで!?同じ人間だよね?
もしかして、これがヤジンを倒せた秘密!?
だよね、確かに。身体能力が高くても、私と同じ歳ぐらいの子がヤジンに勝てるとは思えないし!
これは調べなきゃ!
私は早速両手で関節の形とか、場所とかを確認し始めた。
そして凄い事に気がついた。
――違うこれ、骨折だ……。
やっばー!骨折ってこんなに触っていいものなの!
多分ダメだよね!どうしようこれ、真っ直ぐさせればい――
「ンギッ!!!」
ドンッッ
????
何が起きたの?
…‥背中、ちょっと痛い。
変な声が聞こえた後、急に視界が飛んだと思ったら、私はベッドの下側にある棚に体がめり込んでいた。
何これ……なんで。
――吹き飛ばされた?
「……なんだ、お前。だれだ」
混乱しているとベッドの方から、すぐに答え合わせが聞こえてきた。
あの女の子が右手で左腕を押さえながら、私の事を睨んでいた。
その瞬間、私の頭に一つの言葉が浮かび上がった。
『心を掴まなきゃいけない』と。
でもさ、今の状況、左腕の痛み全部、私のせいだよ……ね。




