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えりん  作者: だいわ朝廷
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第六話 フィリピン

第六話 フィリピン

 それから一カ月近く経って、森熊は天六の店へは行かず、ヨーちゃんだけが天六二号店に行って来たらしい。

「可愛い女の子いるやん」

「お前、ゆいちゃんいるのに、抜いて貰いに行ったんかいな?!」とヨーちゃんに言うと

「しゃあないやん。その時間、ゆいは塚口の店におってんから」と、わかってて、新しい女の子に抜いて貰いに行ってたのである。悪どい奴だ。笑笑

「でも、凄いなぁ〜あのビル、他にもアジア系の抜きの店あるやん」と、ヨーちゃんは色々探検していたのである。

「しかし、やっていけるんかな〜、塚口みたいには行かんやろ、上手く行って無さそうやったで」と自分が言うと、

「そーやなぁ〜、塚口だけにしとけば良いのに」とヨーちゃんも言っていたが、塚口の店でも、少し問題が起きていたのである。

 あまりにも繁昌し過ぎて、同じビルの店や、近くの店から、軽い嫌がらせをされるようになっていたのである。

 誰か、何処かはわからないが、

『営業中』の札を『準備中』にされたり、『外看板の電気』を消されたり、後日、隣近所の店や、周囲との色々な話し合いで、それは無くなるが、塚口店でも、他所の店からヘルプで来た女の子が、むやみやたらに抜くので、あまり店自体も周りから、品がないと思われるようになって来ていたのだ。

「結局、そんな旨い話しはないわ、そんな急に何でも上手く行くはずないやん」と自分が言うと、森熊もヨーちゃんも、

「そうやなぁ〜」と言っていた。

そしてやっぱり天六の店も、新しい女の子を見つける事は出来ず、そのまんまの外人部隊の女の子達だらけになり、中には生でやれそうな女の子まで入って来たのである。

 結局、えりんの理想とする店ではなくなり、天六二号店はついに店じまいとなって、塚口店だけが残り、さらに、えりんとゆいの仲まで悪くなって来たのである。それで、

「俺が、飯くらい食わせてあげるから、店辞めたら?!」とえりんに言うと、

「嫌、もう少し頑張るから」といい、塚口店だけは、頑張っていたが、結局えりんとゆいが大喧嘩して、塚口店も閉店となってしまうのである。

 

 閉店の日、荷物をえりんと二人で塚口店に取りに行ったが、すでにゆいの荷物はなく、新しく大阪の他人の店に、ゆいは働きに行ってしまっていた。

 結局は、儲けるどころか、拡張した為に、かなりの赤字が残ったのだ。

 

 そして、赤字が出た分は二人で折半し、えりんは平日、京都まで、住み込みの中国人の中華料理店で働き、金曜日の晩遅くに塚口に帰って来て、土日だけは、二人で過ごす事になってしまった。

 と行っても、土日は、えりんの部屋の片付けや、レイレイの相手をして一日が終わってしまうのだ。

 なので、えりんとの肉体の関係はなかなか進まなかった。けれど、

(早く離婚してくれないかなぁ〜)などと、思う様になってしまった。

 段々と情が移り、リョウちゃんよりえりんの方が好きになって来ていたのだ。

 でも、平日は、リョウちゃんとヤッていた。

 基本、中国人の女性は、セックスは思った程上手ではなかった。

 マグロも多いが、でも、リョウちゃんだけは、特別天才的だった。

 肉体でイクより、脳みそでイカされる感じだった。

 覚醒剤などやった事はないが、たぶん脳がイク時はこんな感じだろうと思う。

 週末にえりんが帰って来るので、平日の夜は、いつもリョウちゃんと会ってヤッていた。

 ヨーちゃんと森熊は、

「ええ思いしてはんなぁ〜」と言っていたが、リョウちゃんは、えっちの後の、おねだりがもの凄いので、カードローンがどんどん増えて行って、会社の互助会にまで、金を借りるようになってしまっていたのだ。

 しかし、金の事などは、実は正直どーでも良かったのである。

 自分ひとりだし、退職金で払ろたらしまいだと思っていたからだ。

 それより自分は、イイ女としか付き合いたくはなかった。

 男の価値は連れている女で決まる、と思っていたので、イイ女にはなんぼでも金を使うつもりだった。

 親父の父親、祖父ははもっと酷くて、本宅以外に、山ほどの家庭を作り、どれだけの家族がいるのか正確にわからなかったらしい。

 明治の時代を華やかに自由に生きた人だったらしいが、昔の日本人は豪傑が多かったと聞く。

 なので、俺が悪いのではなく、遺伝子が悪いのだ。隔世遺伝が悪いのである。

 とは言っても、ここは、明治の時代ではないので、そこそこちゃんとしないと、まずいのはわかっているのだが、嫁は逃げたし、別に慰謝料など支払う必要もなかったので、毎日好き勝手にしていた。

 しかし、そんなこんなで、気分も良くなくて、今日は、居酒屋『森熊』での会話の雰囲気が悪くなってしまったので、森熊が、

「正ちゃん最近ボクシング行ってんのか?!」と言って、話題を変えて来た。

 実は趣味で、週一か週ニ、森熊と二人でボクシングの練習に、大阪まで行っていたのだ。

 もちろんプロになれる年齢でもないし、練習は結構厳しいので、アマチュアの一般コースだった。

 そのコースには人妻や、大学生、社会人の女の子達が、やって来ていたのだ。

「いや、一応練習はちゃんと行ってるよ」と、言うと、

「こないだトレーナー来てたで、なんか帰るらしい」

「えっ、また?!」実は、以前仲良くなったフィリピン人のトレーナーがいて、バンドまで一緒にやっていたのに、儲からないから辞めて、中国にトレーナーとして、行ってしまった事があったのだ。

 仲良くしていたので少し寂しくなったのだった。

 今でも時々メールとか来るが、もう遠い存在になっているかもしれない。

 そのかわりにフィリピンからやって来たのが、新しいトレーナー、今の『大統領』だ。

 ドテルテ氏が大統領になった年に日本にやって来て、顔も似ていたので、

 みんな『大統領』と呼び出した。ボクシングはめっさ強かった。

 フィリピンの地元では英雄で、プライドも高く、最初はなかなか仲良くなれなかったが、酒呑んでカラオケ行ってから大親友になった。

「しかし、帰るってどう言う事だ、えっ?帰るって、ジム辞めんのか?!」と森熊に聞くと、

「詳しくは知らんけど、空港にはどうやって行くんかとか聞いとったで」と、色々調べてるみたいだったよ」と言っていた。

「じゃあ、明日でも練習行ってみるわ」と、次の日、大阪まで、練習に出かけた。

 

 ジムは梅田にあったので、阪急電車ですぐだ。早速午前中練習行くと、大統領がミット打ちをやっていた。

「おはよう、練習来たで」と言うと、

「オウ、ショウチャン!!」と日本語で返って来た。彼は日本語は書けないが、会話は出来るのである。

 所謂、漢字圏でない外国人のパターンだった。タイもそうだが、基本のあいうえおや、アルファベット的なものが全然違うのである。

 なので、耳では覚える事は出来るが、書くのが困難で、会話は出来ても、文字を書けないのだ。

 しかし、現実は、会話が出来ればトレーナーとしての仕事に支障ない。

「おい、大統領、もう仕事辞めて帰んのか?!」と言うと、

「エッ、ナンデ、?!サトガエリヨ、カエッテクルヨ、カノジョモイッショニイク、ショウチャンモイッショニイク?!」と、意外な言葉が返って来たのだ。

「いやぁ〜そりゃあ行きたいけどなぁ〜」「ヤスイヨ、LCCアルシ、ホテルヤスイ」と簡単に行けそうな言い方をするのである。

「行きたいなぁ〜」とその日は、そんな会話だけで終わった。

 フィリピンに行くと、一緒にバンドやってたあいつとも会えるかなぁ〜と思ったが、バンド一緒にやってた奴は、中国に行き、今や売れっ子のトレーナーになったので、中国中飛び回って、「忙しくて会えない」と返事が来た。

 

 次の日、職場に行き、休みをどれくらい取れるか打診してみた。無理すれば二週間くらいは取れそうだった。

 班長にどうしても休みを取らせてくれと言うと

「いーんぢゃね!!休めば?!」と返事が来た。

 最近は、男の職員も育休なるものが流行り、結構みんな半年や、一年、休んでいる人もいるのである。

 なので二週間くらいは、大した事がないのである。イイ職場に表面上だけはなったもんだと思う。その分、後で負担が返って来たり、出勤してる人間にはたまったもんぢゃないのはわかりきってるが、お互いやし、休みも取れない職場など、やってらんね〜とみんな思っているので、

 二か月後、無理くり二週間の休みを取れるように担務を組んで貰った。

 その事をえりんに話すと、今まで暗かった表情が一瞬にしてパーッと晴れ上がった。

「ねぇ〜連れて行ってよ」

「うん、わかったよ」と言い、

 とりあえず出発までに、えりんとゆいの借金が早く無くなるように、残った店の物品を売ったりして、協力してあげた。


 二ヶ月後、最初、大統領と、大統領の彼女と自分の三人でマニラに向かい、それから大統領の生まれ故郷に行き、大統領と大統領彼女は、日本に帰り、自分とえりんは、最後は『ボラカイ島』に行くと言う計画を立てた。


 日本では寒くなって来た12月の初旬、大統領と、大統領の彼女の洋子さんと、自分の三人で、まずは出発した。


 続く〜

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