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えりん  作者: だいわ朝廷
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第五話 天六二号店

第五話 天六二号店


 結局、保証人にはならなかった。誰か都合のイイ人見つけたんだろう。

 保証人を断ったからと言って、連中とのグループ交際笑笑は、終わったわけでは無かった。それに、ヨーちゃんとゆいが本格的に付き合い出したみたいだった。

 ヨーちゃんは、母親の社長に、

「もしも中国人と結婚したらどーする?!」とか聞いたらしい。母親社長は、「好きにすればええやん」とか、言ったらしいが、兄弟に

「阿保ちゃうか」と言われたらしい。まあ、お互い好きなら、結婚相手は外国人でも構わないが、遊び好きの連中からしたら、まあ、外国人に騙されていると普通は思う。

 後に、自分が、リョウちゃんに会いに、山東省青島まで行く事になるのだが、まあ、似たような人の良さそうな、中国人と結婚した日本人が大勢いて、入管で提出するペーパー書くのに色々教えてくれた人も、もの凄く優しくおおらかな人で、中国人の奥さんに良く怒られると言っていた。

 別に騙されているとは言わないが、中国人の日本人の旦那さんは、優しい人が多いのは事実だと思う。

 とりあえず、保証人の件は解決したし、別にえりんと喧嘩した訳ではないので、今度は三人で、大阪の店に行こうと言う事になった。ど助平三人組はなんも懲りてないのである。


 大阪の店は、天六にあった。以前の焼肉屋から少し歩くが、割と天六にしては、しては、って非常に失礼だが、綺麗な上等のビルだった。

 家賃七十万は逆に安いのかも知れない。今や天六も学生ビジネスも多く、新しい街になりかけている。

 良く塚口の店から半年で、大阪のこんな綺麗なビルに支店が出せるなぁ〜と感心した。そのビルは風俗ビルではなく、普通の綺麗なビルだが、やはり少しだけアジア系の店があった。

 未だに何処の国の人なのか、全くわからない風俗店もあった。

 実は、えりんの店に行く前に、ちょっとだけ、その国籍不明のアジア系の店に行ったのだが、そこは、マッサージとソープが合体した店だった。

 今は無くなっているが、もう最高の店だった。笑笑

 しかし、アジア人の店にありがな事は、女の子の当たりハズレがひどいのである。

 容姿も接客も良し悪しが、極端なのである。容姿悪くても、接客が良ければ良いが、そもそも風俗好きは、顔とか関係ない。カラダが目的なのだから、それにプラス接客が良ければいいのである。

 しかし、ついてくれた女の子の表情に悪い感じが出てると、もーなんもする気が失せるのである。その店は二回行ったのだが、まさに超当たりと超ハズレだった。

 超肉カラダエロエロ大昇天させてくれる女の子と、ブラックホールに突き落とされるくらい気分が落ち込む女の子のパターンだった。

 まあ個性強いアジア人は、お人好しの日本人と違い、好き嫌いがはっきりしているので、最初っから相性悪かったり、嫌われたら最悪だった。

 しかし、今回は当然ながら、目的はそのアジア系の店ではなく、えりんの店だったので、後日、えりんの店の開店の日、大阪天六まで向かった。


 仕事が終わり、阪急電車を乗り換え、えりんの店に向かう。中に入ると、全然知らない女の子が受付に座っていた。

「あれっ、えりんは?!」と聞くと、カーテンを開けて奥の部屋からえりんが出て来た。

「来てくれたのね。ありがとう、忙しいから今は他の女の子でもいい?!」

「いいよ」

 もちろん男は、新しい女の子の方が良いのである。笑笑

 「あーまーたまにはいいよ」と言いながら、しめしめと思ったのである。

 なんぼえりんの事が好きでも、常に新しい若い女の子にやって貰いたいのは、世界中の漢の願望である。

 でも、その女の子は、妙に男なれしていて、聞けばヘルプで、他所の中国人の店から応援に来ていたのである。

 しかも、日本語殆ど通じてないし、えりんと友達でもなんでも無かった。ひと通りマッサージをして貰い、男慣れしてるから逆に多少期待していると、カーテンが開き、えりんが入って来た。

「えっ、」と言うと、「馬鹿ね、続きは私よ、さっきの私のお客さんはもう、帰ったから、チェンジ!、それともあの女がいいの?!」

「えりんがイイに決まってるやん」と言いながら、「ちぃ〜」っと思ったが、えりんスペシャル、超ぬるぬる攻撃で天国にイかせては貰った。笑笑

 とりあえず、終わり、すっきりしたが、気づいたら夜中だった。

「部屋空いてるから、寝てていいよ、もう終電ないでしょ?!私は一応朝まで仕事だから、明日、朝ご飯食べて一緒に帰ろう」とえりんが言ったので、そのままそのぬきぬき部屋で眠ってしまった。

 

 朝にえりんが、「起きてる?!」と部屋に入って来た。

「うん、今起きたよ。『松屋』的な所に行く?!」って言うと、

「なか卯がいい」、と、えりんは、親子丼が大好きだったのである。

 一度、塚口の店への差し入れで、なか卯の親子丼を持って行ったら、それから

「美味しい」とはまってしまったのである。

 結局、散歩がてら朝の公園を抜けて、梅田の『なか卯』まで歩いてしまった。

 なか卯で、えりんは親子丼、自分は朝定食を食べて、色々昨夜のお客さんの話などたわいもない話をした。

「料金上がってるやん、最低一万二千円?!」

「うん、でも、一万八千円コースが一番多い」

「俺についた女の子ヘルプやろ?!、どっから呼んでんの?!

「知り合いがマッサージやってるから、そこから呼んで貰ったの」

「へー、そーなんや、でも、同郷の中国人でも、大阪にいる子は全然違うやろ?!」って言うと、

「そーなの、勝手になんでもやるから、困ってんの」と、えりんが言うように、

 少し素行の悪い女の子は、他人の店だからと、勝手に本番に近い行為をして、自分のポケットマネーにしてしまうのである。

 中国は広い、同じ福建省出身同士ならまだ仁義はあるのかも知れないが、国の範囲が広いと、言葉も通じなかったり、人間性も全然違うらしい。それに国境近辺だと、外国の血が入っている人も多いので、全く中国人らしくない人も多いらしい。

 なので、強いと言われる福建省の人間ですら手を焼く女の子がいるらしい。

「結局、最初採用の女の子三人って、辞めてしまったの?!」と聞くと、

「ひとりだけ残って、二人は辞めたの」「何でまた?!」

「給料!!」

 大阪店に来た女の子達は普通の風俗店だと思ってきたらしい。

 なので、いやらしいサービスと抜く作業する割には「安い!」と言い出したらしいが、そもそもこの店の目的はマッサージ店で、抜く店ではない。

 マッサージをやって、常連になって、優しい口の堅い人にだけ、抜いてあげる、と言う、お上品なお店にしたかったのだ。

 塚口ではそれは通用した。そもそも塚口は優しい人が多いし、梅田まで行かなくても、普通に常連になったら、別嬪二人が抜いてくれるのだから、繁盛するのは当たり前。

 しかし、大阪天六みたいな勢いのある町では、真面目なマッサージなど、じゃまくさいだけなのである。

 それに、えりんとゆいが別嬪でも、大阪にはがっつり魅力のある女の子が、なんぼでもいるのである。

 なので、ちんたらマッサージやるくらいなら、短時間で抜いてやる方がお客さんも喜ぶし、女の子も楽なのである。

 だから女の子らは辞めて行ったのだろう。本来マッサージ自体は難しいのだ。力も要るし、時間もかかる。

 だから女の子は過剰なサービスをやって、お金を勝手に追加し、ポケットに入れ、あとはお客さんと喋ったり、早く帰らせたりすれば、えりんと喧嘩になるのは当然だった。

「あのねぇ〜、えりん、現実は、えりんの思っている事とは、全然違うのよ。男達は助平なだけだし、女の子は楽をしたいのよが現実だよ」と一応優しく言ってあげたが、意外と真面目なえりんには、ショックを受けていたみたいだ。

 ゆいと一度えりんの話をした時に、えりんは意外と中国では、インテリな、お嬢様で、中国の標準の言葉や地方の言葉、香港や台湾や、詳しくは知らないが、殆どのメジャーな中国の言葉が出来るらしい。

 それは結構優秀で、珍しい事らしい。

一度えりんが寝てる時に、全然喋れないと言ってた英語の寝言も聞いた事があったので、(実はこいつ本当は、スパイなんぢゃね?!)思った事があったが、これくらいの事で気に病むのならスパイではないだろう。

「他になんか良いが方法あったらいのにね」とえりんをなぐさめながら塚口に帰って来た。

 今日は自分週休で休みだったので、ハイボールを飲んでまた寝た。


 夕方、懲りもせず森熊に行く。

ヨーちゃんが、三回目の送金をさせられたらしい。

「もう、辞めとけよ」と言うと、

「自分、大丈夫やゆうたやん」

「言うたけど、ほどほどにしろや」

 「で、ゆいと、どないなった?!って、ヨーちゃんに聞くと、もう普通に付き合って、ヨーちゃんのマンションに時々来てるらしい。

「良かったやん」

「いや〜良かってんけどな、正ちゃん、あいつ、すぐ、モノ買ってって言うねん」「笑笑、買ってやれや」と言うと、

「俺はなあ、正ちゃんみたいに、何でも買わへんねん」

「正ちゃん、いっぱいえりんに買ってあげてるらしいやん」

「なんで知ってんねん?!バレた」と笑うと

「もー正ちゃんのお陰で、ゆいに散々言われてんねん」と、

 ヨーちゃんは、昔の竹中直人のギャグみたいに、笑いながら怒る人になっていた。

「えりちゃんは、正ちゃんになんでも買って貰ってんのに、ヨーちゃんはケチ」と散々ゆいに言われるらしい。

「買ってやれよ、もう彼女なんやろ!!って言うと、

「俺は誕生日とか、クリスマスとか、記念日しかモノ買ってあげないねん」

「セコ!!」と言うと、ヨーちゃんが、「正ちゃんは冷蔵庫も家具も買ってくれるし、洋服も財布も買ってあげてるやん」

 笑笑。

「みんな知ってんのかよ」と言うと、

「当然やん、いつもゆいに言われてんねん、正ちゃんみたいになってとか、えりんと住んでんのやろ?!」

「いや、住んでないねん、ひとりがいいとか言って、家賃半分貰ってるし」

 

 実は、リョウちゃんと別れるまでは付き合えないと言われていたのだ。それにもし、付き合うならレイレイのお父さんにもなってくれなきゃ嫌だ。と言われていたのである。

 レイレイは可愛いが、ちょっとそこまでは考えられなかった。以前、男の子の要る女と付き合った事があったが、子供でも男なのである。

 なので、お母さんを取り合うと言う図式が出来上がって、家に男二人が居ると本当に嫌な気分になるのである。

 これで、子持ちの女と付き合うと、虐待みたいな事が起きてしまうんかなぁ〜と思った事があった。

 まあ、でもレイレイは女の子なので、そこまで嫌な気分にはならないと思うが。

 だが、一番のネックは既にえりんは結婚していたのである。

 偽装なのか愛があるのかは知らないが、ゆいに、

「えりちゃんは、結婚してるよ」と言われたのである。

 別に驚きもしなかったが、一年に一度とか、会わないといけないらしい。

 お喋りなゆいは、色々と喋ってくれて、しまいにはリョウちゃんの噂話まで仕入れて来たのである。


 続く〜

 

 

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