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清明の結婚  作者: 木苺
Ⅳ 婚約を前提としたお付き合いに向けて
26/42

4日目の過ごし方

コンラート領に3人の女性が訪れてから最初の3日間のイベントは、どれも4人の団体行動だった。


しかし4日目の午前中は、各自の自由時間とした。


〇チッチと清明


チッチは 昨夜のうちに、朝食後に二人で話す時間が欲しいと 清明に申しこんでいた。

 その結果・・


食事:食の好みが合わない部分は、同じ食卓で別メニューもありで(清明)


ダンス:

 清明は「踊れなくはない」というので、二人で試しに踊ってみた。

 清明のダンスは基本に忠実で 気配りも利いた100点満点のエスコートだった。

  しかし なんだか「理想のお兄様と踊っているみたい(ドキドキ感がない)」

  と チッチは思った。


社交:(清明の希望)

 領主婦人としては、コンラート領の官吏やその家族の親睦会を主催してもらえるとありがたい。


 近隣の領主の冠婚葬祭や 年末のご挨拶は夫婦で


 王都の社交界へ 夫婦同伴で向かうのは 年に1・2度が限度だと思う


ということがわかった。



〇ムービーの場合

 ムービーは、侍従をおともに、領都のお店巡りをして気分転換した。


館の浴室にあった 香りのよいバスグッズや、ハーブのポプリ、レモンのリキュールを購入して すっかり気分がよくなった。


 館にもどったら、清明から 居間パーラーでのお茶に誘われた。


「今日は ムービーさんが入れたお茶を飲みたいです」


「まぁ♡」ムービーは 甘えられた気がしてうれしかった。


食器棚には 何種類もティーセットが並んでいたが、

その中から ピンクの小花模様セットを選んで茶を入れた。

 茶壷もいくつか並んでいたのだが、一番端にあったものを使った。


歓談の中で 清明はさりげなく話した。

 友人から ティーセットの柄や形と茶葉の組み合わせによって

いろいろなメッセージを発信することができると聞いたことを。


「いろいろと 考える方がいるのですねぇ。

 私は 自分の好みに合ったものを 楽しめば良いと思いますわ」ムービー


(ムービーさんは 見栄を張らず 自然な品と行儀の良さがある方だけど、根っからの庶民で、なじんだ暮らしぶりが好きなんだなぁ)と清明は思った。 


「こちらのでの料理は いかがでしたか?」清明


「はじめて口にするものばかりで 緊張しました。」


「どの料理が 一番お気に召しましたか?」清明


「朝食のパンとジャム・それにフルーツが新鮮で種類もあり

 とってもおいしゅうございました」

ムービーがいたずらっぽく笑いながら言った。


「味噌と醤油は お口に会いませんでしたか?」

少しだけ悲しそうに清明は言った。


「においがちょっと。」ムービー


「まさか 同じ食卓に並んでもいるのも嫌なんてことは?」清明


ムービーは考え込んだ。

「今はまだ そこまではわかりませんが

 味噌や醤油のにおいって どれくらい広がったり残ったりするのでしょうか?」


「さぁ・・ 私はあまり意識したことがないので。

 どちらかと言えば 食欲がそそられる匂いだと思っています」清明


「まあ そうでしたか。ならば 私も 慣れるように努力しないといけませんわね」ムービー


などなど、主に 清明がいろいろ質問し、ムービーがそれに答える形で、ムービーが思い描く夫婦の生活について語り合った。



〇清明が チッチやムービーと話し合っていたころ、キャラハンは

執事の案内で 館の「まかない」関係を見て回っていた。


実は 庭の見学に誘われたのだが、清明の館の庭は、非常に実用的な「ル・アモー・ドゥ・ラ・レーヌ(王妃の庭)」であった。

 鶏・ガチョウ・アヒルを飼育して食材に

 花壇はハーブ

 池には スイレンの代わりにはすと食用のフナ!

 植え込みは果樹と野菜畑

 乳の提供と草抜き係のヤギに 残飯処理班の豚までいる!


執事によると、最初は鯉を飼っていたのだが、鯉は餌を求めて何かと水面近くで口をパクパクする。

それを狙ってトンビがやってきて、小さい鯉は運び去り、大きな鯉は運びきれずに庭に落としていく。

落ちた鯉は うろこが傷つきじきに死んでしまうし、食用にするには鳥由来の病気が心配、


というわけで、庭園の池では単価の安いフナやどじょうを飼うことにしたそうだ。


その結果 キャラハンは、館で作っている加工食品・保存食品の現場も、たい肥作りの現場も じっくりと観察することに。


「臭いが気になりませんか?」と問われ

「気にならないわけではないけれど、それ以上に 初めて見るたい肥のほうが気になって」と答えたキャラハン。


◇ ◇

そうこうするうちに、ランチタイムとなり、

昼食後、第1章の「パートナー選び」で記した、チッチによるリタイア宣言と、ムービーの帰宅となったのであった。


二人が 王都に戻るとき、それぞれの荷物もまとめて一緒に

スカイが王都への転移をサービスした。

(転移陣の使用ではなくw なんやかんや言っても 清明に対して優しい?スカイであった。)


チッチへの失恋ショック中の清明と一緒にすごすのは、

キャラハンにとっても気まずかったので、

その日の午後は、執事の案内で、公爵家所蔵の美術品を鑑賞して回ることにした。


 さすが公爵家! 絵画も造形品もかなりの量があった。


あらかじめ 清明に許可をもらって、それらの品々に関する執事の説明のメモを取りながら、キャラハンは半日を過ごした。


高位貴族の館に招かれでもしないかぎり、このような骨とう品や美術品の類をじっくりと見る機会はないので、キャラハンは 熱心に見学した。

 何事によらず 知的好奇心旺盛なキャラハンだったから。

 しかしまた その好奇心を満たす機会には恵まれないこれまでの人生でもあったので。


ちなみに 清明は 絵画鑑賞が苦手であったので、妻が美術品の管理をしてくれるならとても助かると思っていた。

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