ムービーとキャラハン
キャラハンが 割り当てられた部屋に持参の荷物を入れ、
身だしなみを整え終わったころ、ムービーがやって来た。
ノックの音で部屋ドアをあけると、華やかなサロンをまとったムービーが入っていた。
サロンと言っても エステの制服のことではない。
男性用の巻きスカートから発展した、気楽なリゾートウェア、女性用のワンピーススタイルのものだ。
赤地にブルー系の花柄のラフなスタイルは、ムービーに似合っていた。
彼女を招じ入れながら、キャラハンは思わず声を上げた。
「あら、素敵! 私も着替えたほうが良いかしら?」
「良いかどうかはわからないけど、私は ちょっとおしゃれしてみた。
もし あなたが 今から着替えるなら 私は部屋に戻るわ」
「うーん 私 そういう服は持ってきていないから、今のままでいいかな」キャラハン
「チッチは どんな服装で来ると思う?」ムービー
「さぁ?」
「さっきは 介抱してくださってありがとうね。
あいにく お礼になるようなものを何も持ってなくて
帰ってから 送らせてもらうわ」ムービー
「そんな お気遣いなく。
同行者として 当然のことをしたまでです」
「そうはいってもねぇ。
招待主の清明さんは、チッチにかかりっきりだったし。」ムービー
「多分 チッチさんが たまたま清明さんに一番近いところに居たからじゃないかしら
それに おそらく 3人のうちで一番お若いでしょうし」
「たしかにね。
私 ムービー 25歳
清明さんとは 王都で3回デートしたわ。
あなたは?」
「私は31歳。
清明さんとは予定が合わなくて、まだ 一度もお話ししたことがないの」キャラハン
「えっ? それでよく ここまで泊りがけで来る気になったわね?」
「だって せっかく 清明さんからアプローチいただいたのに
このまま お会いすることなくお別れになるなんて嫌だったから。
それに 今回 私を含めて3人の女性を領地に招待して
そこで 今後婚約を視野に入れたお付き合いする方を一人に絞るつもりだったて言われたら 来ないわけにいかないでしょ」キャラハン
「えっ 私 そんなこと聞いてない」ムービー
「招待状の添え書きに 書いてあったわ」
「わ~お!」ムービー
(ショックだ⁉)
「ということは あなたも かなり真剣なのね?」ムービー
「そりゃあ せっかく コンコン会に出席したのだから
あなたも そのつもりではなくて?」キャラハン
「それはそうなんだけど・・」ムービー
「だけど 清明さんのお気持ちは お若い女性に向いているようなので 私としては ちょっと恥ずかしいわ」キャラハン
「そうねぇ。
実は 私 清明さんからは、複数の女性と会ったけど、2回目のデートは 私だけだって言われたの、先々月お会いした時には」
「ということは 招待者も一人だけだと思ってたの?」キャラハン
「いえ 招待状にほかにも招待した女性が二人いるって書いてあったので 驚きつつも 覚悟してきたんだけど・・」ムービー
「そうなの。」
「確かに2か月前から今日までの間に 清明さんがほかの女性と何度も会う機会はあったろうし、あなたのように全然会えなかった方を招待することも 言われてみれば 確かにそういうこともあるかもって思ったけど、、、 びっくりしちゃった」ムービー
「ごめんなさい。驚かせて」
「あらぁ 驚かせたのは清明さんで あなたは驚きの種になっただけだから お気遣いなく」ムービー
「そう言っていただけると助かるわ。
これから 10日間 よろしくね」キャラハン
「こちらこそ よろしく」
◇
そうこうするうちに、時間が着て 2人は従僕に案内されて
階下のサロンへと移動した。