介抱
とある部屋に入ると、清明はすぐに、ドアの横にあったひもをひっぱった。
そのまま 部屋の奥にあるベッドの上に ムービーを横たえた。
「すみません、今 メイドを呼びました。
ここは お泊り頂くように用意していた3室の一つなので
このまま ムービーさんのお部屋としてお使い下さい」
清明は ベッドわきに脇に片膝をつき、ムービーの顔の位置よりは少しだけ足側に寄ったところから声をかけた。
まるで 姫に使える従者のようだ、とそれを見ていたチッチとキャラハンは思った。
「そのう 私には姉妹がいないので、女性に接した経験が乏しいので いろいろ失礼してしまうご無礼をお許しください。
メイドが来るまで、だれかついているほうが良いですか?
お一人にしたほうがよろしいですか?
私は 早々に退出したほうがくつろげますか?」
清明は 穏やかに問いかける。
ムービーは 顔を赤らめ
「もう 座ることができると思います。
よろしければ そちらのソファに移動させていただいても?
そちらには お茶の用意がされているようですし」
「わかりました。
実は階下のティールームにも用意はあるのですが
今すぐの移動がお辛いようなら そして 皆さまもよろしいなら
こちらで 軽くお茶にしましょう」清明
「そうして いただけるとありがたいですわ」ムービー
清明は ムービーに一礼すると、キャラハン達のほうに向きなおり
ソファを指し示し 「どうぞお座りください」と声をかけた。
ちょうどその時ドアがノックされた。清明はドアに向かい、メイドに3人の荷物を各自の部屋に運ぶように指示した。
そのまま、清明は、ドア横の食器棚に向かい、流れるように4人分の茶の用意をする。
「どうぞ」
お手拭き・茶菓子が、すっと、3女性の前に差し出され
「湯が沸くまで 今 しばらくお待ちください。
どうか 遠慮なくつまんでくださいね」と声が添えられた。
「すごい! 清明さん」 若い女性が屈託なく声を上げる。
「あっ スカイ国王の転移魔法の発動が早かったので
ご紹介がまだでしたね。」
清明が 椅子に座り 微笑みながら紹介を始めた。
「こちらが チッチさん、キャラハンさん、ムービーさん。
コンコン会で、ご縁ができた方々です」
3女性は 互いに挨拶を交わした。
その間に 清明は 素早く 茶を用意して運んできた。
「転移酔いの後は 冷たい飲み物が良いかと思いまして」
冷えたグリーンティーが用意されていた。
「すごい この部屋 魔道具がしっかりとそろっているのですね!」チッチ
「恥ずかしながら、友人から譲り受けたものです」
「冷蔵庫 瞬間湯沸かし器 これ全部 スカイおじ様の魔法を使った魔道具なの?」チッチ
(スカイおじ様? キャラハンとムービーは こそっと目をあわせた)
「魔道具の出どころについては 言及しないとように言われてますので 申し訳ありません」
軽く 頭を下げた清明。
「ごめんなさい」首をすくめてペロッと舌を出すチッチ
キャラハンにとって 出されたグリーンティは少し甘すぎたが
始めて味わう抹茶の香りは良いなと思った。
そうこうするうちに、再びドアがノックされ・・
3人は とりあえず自分の部屋を片付けて1時間後に1階のサロンに集合ということになった。
その際、使用人が自室にまで迎えに来てくれるらしい。
清明は ドアの外にいたメイドに ムービーの部屋を片付けるように告げ、チッチとキャラハンをそれぞれの部屋に送り届けた。




