出会い【禁断の秘術】
えーっと・・・ここはどこ?
降りてきたのはいいけど、どれだけ周囲を見渡してもここには木しかない。
見渡す限り、木木木木木
私の見ていた人間界とは全然違う。人も建物も何もない。どうやら何も考えずに降りてきたせいで完全に場所を間違えてしまったみたいだ。
「どうしよう・・・」
しばらく彷徨っていると前からガサガサと誰かが葉を踏む音がしたので咄嗟に木の後ろへ隠れてしまった。
しかし木陰から顔を出したのは人間ではなく黒い毛色に水の色の目をしたボロボロな黒猫だった。
私が、こっちにおいでとジェスチャーをしたらフラフラになりながら寄ってくる黒猫。
手を差し出すと頭を擦り付け、そのまま私の膝の上に乗ってきた。
そして苦しそうにしている黒猫のオーラをみて感じ取ってしまったの。
この子の残り少ない命の時間を。
私と同じ一人ぼっちの黒猫。光を映さず魂の篭っていない目。その姿があまりにも孤独で、自分を見ているようだった。
「ヒーリング」
黒猫に手をかざすと輝く光に包まれ、みるみるうちに体にあった傷が消えていった。
だけど傷は消えてもこの子の命の時間が伸びるわけではない。何故なら傷が原因ではなく、この子の短い命の時間は生まれ持った運命だから。
「私と一緒に来る?キミに永遠の命をあげるよ」
私がそう呟くと、黒猫は最後の力を振り絞るように鳴いた。まるで私の言葉を理解しているかのように。
そしてこれは禁断の秘術。
私が孤独ではなくなるように、キミを命という名の鎖で繋ぐ。
私の孤独な心が生んだ、許されない魔術。
「ルディーアーム」
「片割れの魂と共に、君に永遠の命を捧げよう」
魔力を使うとき、私の赤い瞳が金色に光る。そしてそのときに実感する。今この瞬間の自分は、神ではなく魔王であるのだということを。
「ニャァー」
さっきまで弱っていた黒猫が立ち上がり体を擦り付けてくる。復活したみたいだ。
よかった・・・




