表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/51

聖女ナズナの証言

 リリー・アスセーナス様の事ですか? ええ、私はリリーさんのネイルサロンに定期的に通わせていただいておりますのでもちろん存じております。彼女のお人柄? ええ、きっちりとした仕事の出来る素敵な方です。いつ伺っても、疲れている様子なんて見せずに、いつも笑顔で、私の話に真摯に耳を傾けてくださっていまして。

――なんですって? 私がリリーネイルに通っていたのは、彼女に弱味を握られていたからか? それはありません。通っていたのは、私が彼女のネイルが好きだったから。ただそれだけのことです。でも、まあ、弱味を握られてたと言うのは、ある意味では正しい認識かもしれません。

 リリーさんは私を”聖女”としてではなく、”ナズナ”として、ネイルサロンに寄らせていただいていました。だから、私の心の内をぽろりと漏らしてしまったこともあったでしょう。ですから、そういった意味では弱味になるのかもしれませんね。それについてリリーさんがどう思っていたのかはわかりませんが。

 私にとってリリーさんはどんな存在か?

 私は大切な友人だと思っていました。

 リリーさんがサマン重工のシャーマン氏との面会を希望していた話は、知っていたか?

 ええ、リリーさんは、はっきりとそれを口にした訳ではありませんが、彼女の言葉の端々からうすうすとは気づいておりました。

 執事のエドさんが、徴兵されて、戦地に赴いていたことを聞いておりましたし、ある時からエドさんと連絡が取れなくなったと仰られて、ひどく憔悴しきった表情を必死で隠していらっしゃるのがわかりましたから。ですので……黙っていてもしかありませんね。エドさんがサマン重工に行ってしまった可能性があることを、私はお伝えしました。サマン重工に接収された部隊があるのは聞いていましたから。ただ、その部隊に実際にエドさんがいらっしゃるかどうかはわかりませんと付け加えてお伝えはしました。

 負傷や、命を落とされたと言うことでしたら、何等かの通知があると逆に思ったのですが、そのような連絡がリリー様のところに行っている様子はなさそうでしたので、もしかしたらその可能性が高いのではと思いましたの。

 もし私のこの証言で、法律を逸脱していると思われるのでしたら、いくらでも叱責は受けるつもりでございます。

 あ、それは関係がありませんか? そうですよね。リリーさんは恐らく、私から聞かなくとも、フリッツ商会の伝手がありますから、いずれはお分かりになったことなのでしょう。

 それから、ネイルサロンをしばらくの間、休業すると伺ったので、いよいよそうなのだろうと思っておりました。でも、リリーさんとはネイルサロン以外の場所でお会いしたことがないので、それ以上のことはわかりかねますが……。

 でも、最後に言わせていただきますが、リリーさんは無罪です。

 あの方は非常に思慮深い方ですし、何の根拠もなく誰かを殺害するなんてことは、絶対にあり得ないと私は断言致します。

 確かにエドさんとのことで、もしかしたらシャーマン氏との間で、諍いがあったのかもしれません。事件の経緯を伺ってそう思います。しかし、フリッツ商会に血族がいる、リリーさんのことを無碍にするとはシャーマン氏の性格からして考えられないのでは、と思うのです。

 それ以上のことで他になにか知っているか?

 残念ながら、私が知っているのは今、話したことが全てです。他に話したいこと? 私はただ、友人としてリリーさんの無事をずっと祈っているということです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ