ジンの異世界転移チートは…… ステータス?
「助けるにしても…… 先ずは、腹からスライムを取り出さないダメだよな?」
「スライムは、核を取り出すか破壊するれば倒せますが…… ビッグ種は核を探すのが大変なんです」
「何か弱点は無いか?」
「ラバー種なので…… 素材採取などする時に雷系の攻撃をすれば、核を守る為に固化する様で…… その間に切り刻んで核を探ると聞きました」
「電気で固まるのか…… このサイズだと、デッドラインで腹を切り開くしかないな……」
「あの…… いくらドラゴンさんが強くても、お腹を切ったら…… 死んでしまいますよ?」
「この薬…… ドラゴンに効くか?」
「これ…… 回復ポーションですか? 確か…… テイムされた魔物にも効いたと、聞きましたけど……」
「このままでは、どちらにしても助からんから…… そいつの効果に賭けよう」
ジンは、ネネに回復ポーションを渡してデッドラインに乗り込むと……
『おい、ドラゴン。今からお前の腹を切ってスライムを取り出す…… 取り出したら直ぐに、あの子が回復ポーションを使うから…… 暴れんなよ? それじゃあ…… やるぞ!』
構えた電磁ナイフをドラゴンの腹に突き刺した!
「ギャワァ!?」
突き刺した瞬間にドラゴンが暴れそうになったが、電磁ナイフから電気を流すと……
「痺れたのか?」
大人しくなったので、そのまま腹を切り開いて…… 此方も電気で固まったスライムを腹から引き出す。
「これが…… 核か?」
ドラゴンの回復をネネに任せて、固まったスライムから核を引き抜く……
スライムの核は、ソフトボール大だったので……
デッドラインで、スライムを大まかに切り裂いてから、デッドラインを降りて探すはめになった……
砕いても良かったのだが……
ネネが貴重な素材になると言うので、確保した。
『で…… お前は、どうする?』
デッドラインのコックピットでジンは、ネネが回復したドラゴンに語りかけた。
「…… 龍は…… 助けられた恩を仇で返したりしない……」
そう言うと…… ドラゴンの身体は激しい光を放ち、ジン達の視界が奪われた。
「…… 思ったよりも…… 消耗が激しかった様ね……」
光が消えると…… ドラゴンがいた場所には、少女が座っていた。
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「え~っと…… つまり、ネネはデッドラインを作った国の王女で…… お前「リューナ……」…… リューナがネネの国を襲ったドラ「龍……」…… 龍って事か?…… それって、何時の話だ?」
「私は…… 炎龍の子が伐たれたと聞いて、直ぐに動いた…… その巨人が目の前で転移した…… 私も別の場所に飛ばされたので、その時の匂いを探して…… 飛び回っていた」
「私は、ドラ…… リューナさんに追われて、デッドラインに乗ったまでは覚えているのですが…… ジン様は、何故にデッドラインに乗れるのですか?」
「俺か? 俺は…… 気付いたら、デッドラインのコックピットに乗っていたんだ」
「ジン…… お前から不思議な匂いがする…… エデンにいない匂いだ……」
「ジン様は……〝流れ人〟では、ありませんか?」
「そう言えば、デッドラインの開発者に流れ人がいるんだったな…… 隠しても無駄だな。俺は別世界からの流れ人だが…… ステータスが低いハズレだぞ……」
「「?」」
「どうした?」
「あの…… ジン様……「ステータスって…… なん(だ)です?」」
「えっ…… ステータスって…… アレだ、自分の状態とか身体能力の数値や使えるスキルが見え…… ひょっとして…… 見えないのか?」
「ジン…… 普通は、自分の状態や身体能力の数値なんか判らないぞ……」
「スキルは…… 魔法などの能力の事だと思いますが…… 普通、自分がどの魔法を使えるかは…… 生まれた時に属性魔石を持たせて、その反応で判断します。希にですが…… たゆまぬ修練などで、使える様になる例がありますが…… 普通は自分で、どの能力を持っているのかは…… 見たりできませんね」
「ステータスは、チートだったか……」
「チート?が何か判りませんが…… お兄様と結婚した流れ人のレイナお義姉様は、見た物が何だか解る〝鑑定能力〟を持っていますよ。その力で、怪我をしたお兄様を助けたのが出会いだったそうです」
「そうか…… ネネ、言い辛いが……」
「なんでしょう?」
「お前達が転移したのは…… 約8年前で、ネネの国は…… 滅亡してるぞ」
「やはり…… そうなっていましたか……」
「龍を殺そうと兵器などを作るから…… 仇が居なくなってしまったが、当然の報いだな」
「その事だが…… お前達、龍の行動で世界大戦になってるぞ……」
「何!? 何故だ!」
「お前が襲撃した事で、デッドラインの技術が他国に流出したらしい…… たぶんだが、お前の襲撃のどさくさに紛れて、デッドラインを盗んだんだろうよ…… 後は、龍を倒せる兵器との名実供に最強兵器として、とある国が量産してる……」
「ジーニアス帝国とクラフタリアですね?」
「知っていたのか?」
「その二国は、フロンティア・エデンに戦乱を起こすと…… 私の〝目〟に写りましたから……」
そう言うと、ネネの目に不思議な光が宿る。
「その目は…… 魔眼の類いか?」
「はい…… 時折、先の事を少しだけ見せてくれたりします…… ところで、リューナさん…… 何故、炎龍は古の約束を破り…… 龍の禁忌の地とされる我が国を襲撃したのですか?」
「まさか…… 私達、龍は戦に利用されたのか?」
「リューナ…… お前の本当の仇は、ジーニアス帝国とクラフタリアの様だな」
「おのれ!」
真実を聞いたリューナは、涙を流しながら地面を叩くのだった。