真太郎が逃げた後……
『残存する敵機…… 無し』
「デッドラインの反応は?」
『すいません…… 見失いました』
「解った。作戦終了…… 帰港する。全機…… 帰投してくれ」
『『『『『了解』』』』』
空中に浮かぶ戦艦のブリッチで……
左足から機械の起動音を鳴らして、男がシートに身体を預ける。
「兄さん、あのデッドラインは……」
「解らん…… だが、あのタイプのデッドラインは…… 4機だけの筈だ。あの日、俺が乗っていた1号機…… 【ヒロ】が乗る機体の元になった2号機と〝あの裏切り者〟が持ち出した3号機に……」
「【ネネ】と消えた4号機ね……」
「あの日…… 俺達の国が戦火に焼かれた日に、俺は見た…… 動かなくなった1号機の中、左足を失った俺は…… ネネの逃げ込んだ4号機に…… 龍が迫るのを……」
「私も見たわ…… 戦火で燃える城から逃げる時に、光の中に消える4号機の姿を…… 兄さん、あの光は?」
「あれは…… 転移の魔法だったのだろうな。龍が迫る4号機の下に魔法陣が光るのを見た…… 俺は、そこで意識を失った」
「4号機の転移に巻き込まれたのかしら? 私達は、あの時はまだ未完成のこの艦に逃げ込んで、その格納庫で壊れた1号機と左足から血を流していた兄さんを見た時は…… 本当に怖かった」
「それは悪かった。だが、お前達が見付けてくれたおかげで、俺はこうして生き残れた……」
「それにしても、4号機を転移させた魔法陣…… 何者の仕業だと思う?」
「解らない…… 4号機だけではなく、ネネが一緒となると……」
「そうね…… 我が王家は多種族の王家の血を継いで来た家系…… 特にネネは、多種族の血の特性が強かったもの……」
「龍族の角にハイエルフの肌……」
「愛らしい山猫の様な獣人の耳と尾に天使の翼……」
「魔族の魔力眼に小人族や妖精族の様な…… 可愛らしい子供の様な姿をし……」
「高位の魔力量を示す七色に輝く銀の長い髪……」
「それぞれの種族の特性を集合させて可愛くしたのが…… ネネだもの…… 何処が狙っていても可笑しくないわ」
「ああ、あの日…… 龍の襲撃後のジーニアス帝国とクラフタリアの素早い動きが気になった。裏切り者が煽動していた可能性があるな……」
「有り得るわね…… ネネは、あの男を異常に気味悪がっていたもの」
「我が国は、その昔にフロンティア・エデンに現れた異世界からの流れ人達が作り上げた国だったが…… その国を崩すのもまた異世界からの流れ人だとは…… 皮肉だな」
「あの裏切り者の【トモキ】だけでしょ…… 義姉さん達は違うわ!」
「そうだな…… あいつと開発陣の流れ人達には頭が下がる」
「本当に…… 流れ人達の考えには驚かされるばかりよね」
「デッドラインの様な兵器を作ってまで、押さえ付けようとした巨獣や魔物が巣食う…… 大魔窟に砦を築く事になるとは、思いもしなかったぞ」
「元々は、我が王家も異世界の流れ人…… その力から勇者扱いされ、人々を守る為に巨獣と魔物を監視する砦を築いたのが、我が国の始まりでしたからね…… ですが、その巨獣と魔物のおかげで、国を追われた私達と国民達は助かりました」
「巨獣や魔物を倒す為にと…… 大魔窟にデッドラインの研究施設を作って正解だった」
「帝国の〝首無し〟達では、大魔窟の生物達の相手にならないでしょうからね」
「トモキが作ったデッドラインの出来損ない供か…… 帝国では【デュラハン】モデルと言うらしい…… ヒロの話では、首の無い騎士の名だそうだ」
「騎士? デッドラインの脚部が再現出来ずに、車輪にしたのを誤魔化す為に重装甲にしただけでしょうに…… 御大層な名を付けたものね」
「帝国は魔導具で栄えて来た国だから、異世界の科学に理解が追い付いて無いのだろうな…… 今回の首無し供も、武装以外はゴーレムと変わらん。あの近接戦を知らん者の様な動き…… 遠くで魔導士が動かしていたに過ぎないだろうな」
「そう言えば、トモキも騎士の戦い方が出来ない者だったわね……」
「どうした?」
「そう言えば、幼かったネネが…… 自分の運命の騎士は、おじさんなのだけど…… ちゃんと結ばれる?って、聞いて来た事があったんだけど…… 大丈夫よね?」
「幼かったネネが?…… そう言えば、騎士が助けた姫と結ばれる童話が好きだったが…… まさか、未来を見たのか? いや、しかし…… あのネネだしなぁ……」
「良いことは当たるで有名なネネだからね……」
「ネネ、直ぐに見付けるから…… はやまるなよ」
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「まさか…… 虹色カプセルは〝キャラカプセル〟かよ!?」
100連続ガチャで出た虹色のカプセル開けたら……
虹色のカプセルから溢れ出た光が空中で人型になり出したので、親方、空から女の子が状態に!?
真太郎は、慌てながらもお姫抱っこ状態でキャッチして人型になったものを見た。
「小さい角?が生えてる猫耳天使の女の子…… 最高レア出た!?」
その姿に…… 真太郎は、間違いなく最高レアリティだと確信して叫ぶのだった。