機神強化計画開始
「新型機か?」
虹カプセルから出た機神を見て、ウィリアムが嬉しそうな声を上げた。
「たぶん…… しかし、少し小型で…… 細いですね」
「女性の様なシルエットをしていますが…… どうしてでしょうか?」
「人型にする上で、女性の骨格を参考にしたのかもな? デッドラインよりも人に近いなめらかな動きができそうだ」
デッドラインよりも一回り小さくて、何処となく女性的シルエットをした新型機神にみんなが注目する中……
「新型もいいが…… デッドライン系の機体も2機出たから、俺のデッドラインの修復に使いたいんだが?」
「そうですね。どちらかからパーツ取りして、レストアしますか?」
「いや、バラしてデータ取りしたら、拠点で同型機が作れるんじゃね?」
「確かに…… 製造プラントがありますからね…… しかし、その場合は……」
「素材的な問題がありますね」
「モニターとかに…… 魔物系の素材が使われているみたいだしな」
スキルが教えてくれる知識から、ジンが考え込む様に答える。
「ジンさんのスキルから知識を得ても、僕達ではどの魔物か解りませんからね」
「再現不可能の可能性もあるか……」
皆が考え込んで沈黙するしていると……
「あ~もう! とりあえず、ジンのデッドラインの修復を考えましょう!」
沈黙に耐えかねたリューナが声を上げた。
「だな、データ取りしてもパーツが無くなる訳じゃないしな?」
「そうですね…… 素材データは、破損したジンさんのデッドラインのパーツから取ればいいはずですし……」
ウィリアムの言葉に合わせる様にして、ジェフが確認する様にクレアを見ると……
「はい、先ずは…… 破損状況の確認に、ジン様の機体を解体する方が良いかと」
「ジンの機体は、試作型の先行量産機なんだろう? 試作型と量産型からパーツ取り出来るか確認も必要だよな?」
「ああ、ところどころの違いもある様に見えるから…… そのまま使えるか解らないからな」
リューナの意見通りに、ジンのデッドラインを修復する為に機体を解体する事にした。
「これは……」「ひどい……」「ぼろぼろ……」
ジンのデッドラインを解体していたチビっ子達が、あまりの状態に驚く。
「シートが熔けてやがる…… よく操縦って言うか、よく生きていたな。ジン…… お前、本当に生身の人間か?」
「実は…… 自分でもちょっと怪しく思っている」
「スキルの影響ですかね? しかし…… これでは、コックピットは使えませんね」
「それなんだが…… あの小型戦闘機を使えないか?」
「小型戦闘機って…… ネネさんが拐われる前に出した脱出ポットになるヤツですか?」
「それは良いな! こんなになりそうな時に脱出できるから、生存率が上がるし…… 俺のも追加して欲しい」
「あの機体ならば…… データベースに設計データがあります。素材があれば製造が可能です」
「マジか!? それじゃあ、俺のも頼むよ」
「素材があれば…… ですね。とりあえず、ジンさんのデッドラインが先です」
「コックピット周辺や取り外した装甲の成分を解析に回しますね。後は…… 1回、試作型と量産型のパーツを取り外して、取り付けできるか確認してはどうでしょうか?」
「そうだ。規格が同一か確認するべきだな」
「よし、装甲と手足を外したら、試作型と量産型の手足を左右反対のを1つ外して、試すか?」
「そうですね」
敵機の自爆で破損した装甲と手足を外したデッドラインに、右は試作型の手足、左に量産型の手足が取り付けできるか確認して見ると……
「規格は…… 同一の様だな?」
「取り付け部と関節部などは、どうしても1番消耗しやすいところですからね…… 修復などの利便性を考えて、同一規格に統一したのかも知れませんね」
装甲が外されてフレームが剥き出しのデッドラインに、試作型と量産型の手足がピッタリと取り付けできた。
「後は…… 試作型と量産型の性能の問題か?」
「試作型だから優秀だとか、量産型だから性能が落ちるとかは、調べないと解りませんしね」
「素材の違いとかだと、俺達には見ても解らんしな」
「動かして計測するしかありませんね」
「それに小型戦闘機を脱出ポットするから、コックピット周辺を再設計しないとな」
「それは、機神の機体データが不足していますので…… ジン様のスキルに頼るしかないです」
「そうか…… とりあえず設計して見るから、細かい計算とかは…… ジェフとクレアに頼るしかないな」
「しかないですね」「了解しました」
ジンがスキル頼りに大まかな設計を図にすると、ジェフとクレアが小型戦闘機とデッドラインのデータを計算し…… 詳細な設計図に仕上げた。
「後は…… これを作る素材だな」
「そうですね……」
「鉱物は兎も角…… 魔物系の素材がなぁ……」
「とりあえず、チビ達に聞くか?」
「わたしたち」「よくしらないけど……」「じいさまのはなしでね……」
ジンとジェフにウィリアムは、魔物について現地人のチビっ子達から情報収集すると……
「候補は…… 二つですね」
ネネとリューナ、チビっ子達の話から、示された場所をクレアがマップデータに標示した。
「ここは……」
「ええ」
「私とリューナ様の」
「ええ、故郷になるわね」
マップに標示された地は…… ネネとチビっ子達の祖国だった場所とリューナの故郷を示していた。




