カプセルの中身は…… 異世界!?
明けまして、おめでとうございます。
今年も、よろしくお願いいたします。
「あっ、ヤバそう」
リューナの開けた虹色カプセルから飛び出した光は…… 徐々に巨大な姿に変わる。
「みんな、下がれ!」
完全に現れる前に距離を取ると……
「これは…… 何?」
「これ、俺がいた世界の戦闘機に似てるが…… かなりデカイなぁ」
「これは…… まさか!?」
「ジェフ、どうした?」
「ちょっ、ちょっと待って下さい! クレア、該当する機体は?」
「データ照合…… ヒットしました。この機体は、マスタージェフの世界の宇宙、空、海の空間航行と戦闘が可能な機体の…… スペースファイター【グランストーム】の〝失われた0号機〟です」
「やっぱり! この機体は…… 僕の世界での伝説的な名機で、試験運用中に宇宙嵐に消えた幻の機体なんです! そのスペックは現行の機体を遥かに超えたオーパーツだと、データが記されているんです!」
「そんなにスゴイの? これ……」
「僕の世界では…… 確か、移住可能な惑星1つ以上の価値がありますよ。しかし…… 何で僕の世界のグランストームがカプセルから?」
「ガチャの中身には、異世界の物が入ってる時がある…… 俺は自分の世界の調味料が出たぞ」
「調味料ですか…… ジンさんは、虹色カプセルを出したんですか?」
「俺の虹色カプセルの中身は…… ネネだった」
「えっ、人も出るんですか!?」
「はい、私は…… この世界の7年以上前に転移魔法の魔法陣の中に、ジン様の乗るデッドライン4号機と消えたのですが……」
「私とネネは、転移魔法の魔法陣が誤差動したみたいでね…… ジンがネネをカプセルから出した時に、私もこの時代に転移したのよ」
「どうやら…… 何処かの世界で、行方知れずになった人や物が…… 虹色カプセルで出る事があるらしい」
「人が…… となると、虹色カプセルも油断できないかもですね」
「なるほど」
「何でです?」
「カプセルから出た者が…… 常に好意的とは限らないからだ」
「リューナの言った通りだが…… リューナ、次は勝手に開けるなよ?」
「ふん、生き物ならば判断できるわ」
「たく…… 残る虹色カプセルが2つ、生き物か?」
「1つは違うけど…… 此方は、匂いが混ざっている感じ…… 怪しいわね」
「開けないのも…… ありかな?」
「でも…… 味方になって下さる方かも、知れませんよ?」
「とりあえず…… 最後に開けては?」
「安全策として、全員退避後に開けた虹色カプセルを直ぐに投擲するのは…… いかがでしょうか?」
「その案を採用しましょうよ?」
「そうだな。でも、その前に他のカプセルを開けようか?」
「そうね」
「数も多いですから…… みんなで開けませんか?」
と、ネネが言うので…… リューナが怪しいと言った虹色カプセルともう1つの虹色カプセル以外は、全員で開ける事にした。
「治療薬や状態回復薬が30個…… その内の15個は銅カプセルからですので、上級薬ですかね?」
「鑑定が無いから解らんが…… たぶんな」
「これが魔導具のインナーですか? ジンさんの言う通りならば、着替え要らずですね」
「気分的に、気にしなければだけどなぁ…… 女性的なデザインが多いのは、ネネが当てたからか?」
「でしょうね。金カプセルから出た5個の収納大のマジックバッグ…… 見た目が女物だもの」
後は…… カラーカプセルからは、属性持ちの防具系の衣服。
残る銅カプセル20個からは、戦闘と魔法と生産系スキルカードが出た。
インナー以外の銀カプセルからは、銅カプセルより上位だと思われるスキルカードが出て……
マジックバッグ以外の金カプセル5個は、ジンのロングコートと同じ様な仕様の上衣装備が出た。
「残るは、虹色カプセル2つだが…… 先ずは、安全そうな物からだな」
ジンは、怪しくない方の虹色カプセルをネネに渡し……
「開けてごらん」
「は、はい……」
恐る恐る…… ネネは、虹色カプセルを開けると……
「はあ!?」
「これは……」
「すごいきれい……」
「だけど……」
「ドレス?」
虹色カプセルから出たのは、光り輝くプリンセスドレスだった。
「ドレスって…… ちょっと今は困るよね?」
「ドレスだから、必然的にネネかリューナが着る事になると思うが……」
「私は嫌! こうゆうヒラヒラしたの嫌いなのよ。ネネが着たら? プリンセスって、お姫様って意味なんでしょ? ネネにピッタリよ」
「わ、私ですか!?」
「とりあえず…… 着るだけ着て見ては、いかがでしょうか?」
「は、はい……」
クレアに促されて、ドレスを受け取ったネネを見て……
「じゃあ、ネネが着替えてる間に…… 最後の虹色カプセルの中身から、何時でも逃げ出せる準備をするぞ」
ネネが着替えてる間に、カプセル出た装備やアイテムに戦闘機を片付ける。
「そう言えば…… この機体は、何でオーパーツなんだ? 開発元に同型の機体を作らせたら良かっただろうに……」
「それは…… この機体とともに開発者が行方知れずになったからです」
「機体とともに開発者が…… 何故?」
「この機体の開発者は…… この機体のテストパイロットだったからですよ」
「開発者が!?」
「この機体は…… たった一人のエースパイロットが、自分専用の〝愛機〟として設計した機体ですから」
「なるほどね……」
「あ、あの~…… どうですか?」
ジンとジェフは、話ながらグランストームを収容していると……
着替えを終えたネネが現れた。
その姿は……
「え~っと…… アイドル?」
何故か…… プリンセスドレスに着替えたはずのネネの姿は……
フリフリのミニスカアイドルコスチュームに変わっていたのだった。




