東の町の魔物
「魔物…討伐ですか?あの、一応言っておくと魔法も全然覚えられませんでしたよ。」
「うむ、カタリスもそう予想しておった。その上で命じておる。王都より東にあるエイチシェルの町に向かって欲しい。魔王領に近い上に近頃魔物の目撃情報が多発しておる。」
要するに前線送りと。こりゃ始末しにきてません?僕ぁ特攻隊長じゃねえんですよ。
「あの、だから僕強くないみたいで…」
「問題ない。カタリスの部下を2人同行させよう。兎に角其方には魔物との戦闘を経験して欲しい。実はカタリスと話し合った結果、魔物と戦わせて本当に弱いのかそれとも何か隠された才があるのか確かめたいという結論に達したのだ。」
要するに、ワンチャン使えるかも知れないからヤケクソで魔物にぶつけてみようと。まあ、護衛つけてくれるみたいだし死にはしないだろうけど。
「5日後に出発して欲しい。それまでに必要な物資はこちらで手配しておく。それまでは城の中の部屋を1つ貸し出そう。英気を養うといい。」
こうして僕は出発までの5日間を部屋の中で過ごした。…軟禁ではないか。しかしその点を除けば快適だったしまあ良しとしよう。
にしても妙な話だ。召喚されたのが僕1人とはどういうことだ?他に転移者はいないのか?あるいは僕が初めての成功例…いや、それは無い。確かに彼らは他に転移者がいるとは言ってない。しかし転移者のチートを信じて疑わないあの様子、既にチート持ちの転移者がいるのか?分からん…もう考えたくない…あれ……何………考えてたっけ…………
出発の日がやってきた。何か昨日はよく寝たな。まあそんなことはどうでもいい。とりあえずこれからのことを考えよう。現在僕は例の甲冑2人組と共に馬車でエイチシェルの町に向かっている。会話がない。気まずい。以上。
エイチシェルの町に到着した。
「我々は少し用事がある。先にこの先の宿で休んでいてくれ。」
甲冑2人組、喋れたのね。というか何か魔物と戦わせるとか言いながら僕休んでばっかりでは?…まあ気にしてもしょうがない。言われた通り宿に向かおう。どうせ手配は済んでるだろうし。
こうして僕は宿でのんびりすることにした。
夜になった。2人からは未だに連絡がない。いくら転移者といえども雑魚はこの程度の扱いか…。というか話によると町中で魔物が目撃されてるみたいだけどそれって危なくないか?せめてどんな魔物かわからないのか?何か僕の持ってる情報がなさすぎる気がする。
そんな虚しい思考にうつつを抜かしているときだった。窓が開いていた。そして開いた窓から入ってきたのであろうそいつは既に部屋の中にいた。
アニメやゲームでしかお目にかかれない銀髪、赤い目、日焼けなんて知らないような白い肌。見た目は12歳くらいの少女だが得体の知れない雰囲気がある。
人間でないなど直感でわかる。どうやら件の魔物に出会ってしまったようだ。さあ、どうする?
初戦闘が始まった。
ヒロインを早く登場させたいがために急ぎましたとさ。
お願い、死なないでタカシ!
次回、タカシ死す(?)
お詫び
魔物ちゃんが少女だって説明が抜けていたので加筆修正しました。