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冒険者、王都、転移

「さて、これで君たち全員晴れて我が国の住人というわけだが、タカシといったね。君に言いたいことがある。」

「はい。何ですか?」

「我とて普段からこんな荒っぽい対応はしとらんよ。君の提案は残念ながら見送らせていただく。」

「そうですか。分かりました。」

「それともう1つ。」

「?」

「君の()()、本当に〈鑑定〉?」

「え?」

「魔力消費が〈鑑定〉のそれじゃないって言ってるんだ。」

「そ、そんなこと言われても……」

「魔王様の言う事、正しいと、思う。」


答えたのはエーレだった。


「あれ、もう起きたの?やるじゃない。」

「エーレ、どういうこと?」

「タカシ、今まで、僕のスキル、くらった?」

「え……あ!」


そう、タカシは〈鑑定〉を使うときにエーレの〈強制詠唱〉と〈情報公開〉の影響を受けていない。先程のファフニール戦では無詠唱で〈鑑定〉を使っており、その内容を語ることも無かった。


「それ、スキルの本質、タカシが、分かってない。」

「はあー。」

「まあ、そういうわけだ。君のスキルの本性もこれから確かめていこうではないか。」

「はい、分かりました!」


「ねえ、タカシ君、エーレ、魔王様。」

「ん?どうしたリカイ。」

「あの2人、どうするの?」


少しむすっとしたリカイが指差す先には依然気を失っているケイタとチトセの姿があった。



 その後、エーレが魔法で回復させ、ケイタとチトセは数分後に目を覚ましたが、


「何でタカシさんとエーレは無傷なんすか……。」


と、ぼやいていたのは別の話である。




 なんやかんやでヴェクタブルグ王国の住人となったタカシたちであったが、ここから先はノープランだった。ところが、


「君たちにやってほしい仕事があるんだ。」


そう言ったのはファフニールだった。


「やって欲しい仕事?魔王様、それって何?」

「冒険者だよ。」

「「「え?????」」」


固まる転移者3人。彼らはこの世界に来てから冒険者という職業は無いと知った。それがまさか魔王の国で見つかるとは予想外だったのだ。


「陛下、冒険者、何?」

「うんうん、魔王様、冒険者ってどんなお仕事なの?」


何故か現地の方だけが知らない職業。


「冒険者ってのはね……」



 ファフニールの説明によるとこうだ。

 冒険者とは与えられた依頼(クエストと呼ばれる)をこなす職業である。クエストの内容は薬草の採取から厄介な()()()()()まで多岐に渡るが、要するに危険なことや厄介なことを代行する何でも屋である。

 冒険者は冒険者ギルドと呼ばれる組織に登録することでなることができる。冒険者ギルドには成功報酬の一部を収めるが、クエストの斡旋などのメリットを受けることができる。というか冒険者ギルドに登録していないと正式な冒険者とみなされない。

 冒険者にはF〜Sまでのランクがあり、これに応じて引き受けられるクエストの種類や難易度も違う。

 ランクの昇級はE〜Bランクまでならギルド内の専門部署が実績に応じて決定する。ただしAランクに関しては昇級試験があり、昇級の代わりにこの試験に参加する資格が与えられる。ちなみにSランクへの昇級は極めて珍しいことであり、これは魔王から直々に認定を受ける必要がある。このような仕組みから、Aランク冒険者は冒険者たちの間でも一目置かれ、Sランクともなれば英雄として扱われる。

 最後にパーティーについてだ。冒険者たちはソロで活動する者もいれば、パーティーと呼ばれる何人かの集団で活動する者もおり、その規模は千差万別である。パーティーの結成についてはギルドに報告する必要があり、パーティーには冒険者個人とは別にパーティーとしてのランクが与えられる。種類や昇級方法は同じだ。



「……とまあ、こんな感じだ。よろしいかな?」

「まさか冒険者が、存在するとはな。」

「おい、千歳、聞いたか?」

「やばい、啓太、これ本格的に異世界だ!」


 転移者たちがとてつもなくはしゃいでいる中現地の者たちは

「なるほど、分かった。」

「うう……難しいよぅ…」

「まあ、安心しろリカイ。次第に分かる。」


そんな中、ファフニールが口を開く。


「よし、じゃあ早速我が国に案内しよう。ヨグト、道案内よろしく。」

「御意。」

「え?あの、僕たちこれから何処に?」

「君たちはこれから我が国の国民なんだから、観光も兼ねて王都を案内しよう。」

「なるほど、分かりました。えっと、ヨグト、またよろしく。」

「何を言っている?我は運ばんぞ。」

「え?じゃあ陸路ですか?時間かかりそうですけど。」

「いやいやタカシよ、魔王である我はそんなに暇ではないぞ。」

「どうせここでサボってたでしょうに。」

「え、ヨグト、サボってたってどういう……あ、いやそうじゃなくてじゃあどうやって…」

「ん?まさか……タカシ、陛下は、すごいショートカットする。びっくり、しないで。」

「え?それってどういう」

「では準備はいいかな?空間魔法 転移(テレポート)!」


 その瞬間、タカシたちの足元に巨大な魔法陣が現れ、光がタカシたちの目を眩ませる。

 それはまるで、タカシ、ケイタ、チトセがこの世界にやってきたときのそれに似ていた。




 目を開けると、そこは大きな街の中央であった。住人たちは全員タカシたちに視線を向けて立ち止まっている。彼らを見てみると、獣の頭を持つ者やそもそも人の形を成していない魔物たちばかりであった。


そんな中、魔王が叫ぶ。


「親愛なる国民たちよ、我は魔王ファフニールだ!聞いてくれ!この度我が国に新たな住人たちがやってきた。紹介しよう、吸血鬼のリカイ、そしてその仲間の()()()()だ!」


ファフニールがタカシたちを通行人に見せびらかす。この時、ヴェクタブルグ王都はすごくざわついた。

解説

A.B,Cなどのランクは現地の世界の言語をタカシたちの言語に当てはめている、と解釈してくださいな。


ーリカイが『数式』の文字読めなかったことを後で思い出したはたたがみ

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