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【書籍化&コミカライズ】規格外スキルの持ち主ですが、聖女になんてなりませんっ!~チート聖女はちびっこと平穏に暮らしたいので実力をひた隠す~  作者: 沙夜
第三章

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パーティー6・ゲーム

「…さて、ルールは以上ですが、皆様お分かりになりましたか?」


エドワードさんの分かりやすい説明に、誰も質問する方はいなかった。


「ルールは意外と簡単だな。確かに子どもでも出来そうだ」


「おかあさま!おるのはわたしがするから、おしえてね!!」


「はいはい、一緒にやりましょうね」


小さい子も親子で出来るゲームだし、全員分の景品もあるから楽しんでもらえると良いな。


そんなことを考えていると、隣からこそっと耳元で話しかけられた。


「手伝うのは良いが、何故品物を置くテーブルが二つに分かれているんだ?」


「あ、ええと、もらって嬉しい物って、大人と子どもで違うよね?だから景品も大人用と子ども用に分けたの。一応10歳位を境目に設定して、年齢的に微妙な方はどちらでも良いことにしたの。向こうのセバスさんとマーサさんがいるテーブルは大人の方向きの景品が並んでいて、私達はお子様対応にしてもらったわ」


私達二人ともに貴族の大人対応はちょっと…なので、お子様の方をやらせてもらうことにした。


それが良いとみんな言ってくれたし。


「成る程。私もその方が気が楽だな」


年頃のお嬢様方はちょっとつまらなそうだけどね?


でもレオンハルトさんのほっとした表情を見ると、この配置で良かったと思う。


そして、あんまり耳元で話すのは止めて欲しいと切に願うのだった…。






「それではゲームを始めます。ではマシンを回しますね。ーーー最初の数字は、16です。16が書かれている方は、カードを折って下さい」


いよいよゲームが開始された。


ーーー皆さんお気付きになられただろうか。


そうです、ビンゴマシンです。


ガラガラ回すやつです。


なんとエドワードさん、知り合いに頼んで作ってもらったみたいなの。


仕組みなど聞かれて何となくで答えたら、翌週には出来上がっていて、こんな感じか?と見せられた。


恐るべし侯爵様。


くじ引きなんて庶民的すぎたんでしょうね…。


「あれは便利だな。それと、数字を貼り出していくのも子ども達には良い。少しくらい読めなくても照らし合わせて出来る」


「うん。子ども達、一生懸命見てるわね。数字に興味を持ってくれる子もいるかも」


そう、日本でも出た数字を書き出しているので、今回もやってはどうかと提案してみたのだ。


会場の子ども達も、自分で出来そう!と頑張ってやっている姿が見られる。


そうこうしている内に、リーチの人がちらほら出始めた。


「そろそろ最初に上がる方が出そうだな」


「揃ったみたいですね、ビンゴ」


レオンハルトさんが呟いたのとほぼ同時に、最初のビンゴの方が出た。


声のした方を見ると、なんとベアトリスさんの旦那様、ガーネット伯爵だった。


「全く…本当に貴方ってこういうゲームが強いのね?」


「まあ、勝利の石を名に戴いていますからね。運が強いのは家系です」


呆れたようなベアトリスさんの言葉に、苦笑で返す旦那様。


へえ、ガーネットってそんな意味があるんだ?


ラピスラズリ家のみんなもそうだけど、宝石の意味って結構その家の人に繋がっているのかもしれない。


拍手の中、伯爵は景品が並んでいるテーブルに向かうと、躊躇いなく1つの小箱を手に取った。


「ではこれを頂くことにしましょうか。この包みは今開いた方がよろしいので?」


「いえ、宜しければお帰りの後に」


「…成る程。ではそう致しましょう」


理由を察してくれたのか、ガーネット伯爵は選んだ品物をそのまま抱えてベアトリスさんの元へ戻って行った。


何が入っているのかしら?早く上がれば良いものがもらえるって訳じゃないのね、とあちこちで囁かれている。


中にはほっと息をつく方も。


そうそう、チャンスは最後までありますからね。


そうしてゲームが進んでいくと、何人もビンゴの方が出てくる。


「やった!揃ったぞ」


「お父様すごいわ!わたくしもあと一つなのですが…」


「おかあさま、見て!これビンゴでしょう?」


「ええ、さあ頂いて来なさいな」


大人も子どもも、みんな数字が出る度に一喜一憂して、ゲームを楽しんでいるみたい。


中身は何だろう?と楽しみにしている姿も多い。


「せいじょさま、わたしこれにきめました!」


「はい、おめでとう。帰ったら開けてね。気に入ってくれると嬉しいわ」


「あの、僕これにします」


「ああ、大切に使ってくれると嬉しい」


「あ、ありがとうございます!!」


私達の所にも子ども達が景品を取りに来てくれて、少しだけど言葉も交わせて楽しい。


男の子たちの中には騎士団長をしているレオンハルトさんに憧れている子もいるようで、握手を求められていたりもする。


ちょっと照れたように顔を赤くしているのが、微笑ましくて良いなあと思う。







そして最後の方が景品を選んで、ゲームは終わり、パーティーも最後だ。


「皆様、ゲームは楽しんで頂けたでしょうか?ささやかな品ですが、喜んで頂けると嬉しいです。では、本日はリリアナの為にお集まり頂きまして、誠にありがとうございました。公爵家の皆様から、どうぞ馬車置き場までお進み下さい。道中、どうぞお気をつけて」


エドワードさんの締めの挨拶でお開きとなる。


うん、何とか無事に終えられたみたいで良かった。


貴族の中でも偉い方から順に帰っていくのをお見送りする。


と言っても、私達は隅っこでニコニコしているだけだけど。


でも、知ってる方達は声を掛けに来てくれた。


「今日は楽しかった。孫達の立派な姿も見れたしな。それに、貴女と仕事をするのがますます楽しみになったよ」


「ありがとうございました。これからもエレオノーラやレイモンド、リリアナをよろしくお願い致します」


シトリン伯爵夫妻、満足そうなお顔で帰られて良かった。


リーナちゃんやレイ君の可愛いところを沢山見れて嬉しかったみたいね。


「もてなしも素晴らしく、また様々な配慮がなされた素敵なパーティーでしたね。ありがとうございました」


「ルリ様、ありがとうございました。お料理も大変美味しかったです。また王宮でご一緒したいわ。レシピ、是非教えて下さいね」


ベアトリスさん、やっぱり料理はしっかりチェックしてたのね。


うん、是非また一緒に作りたい。


そして素敵な旦那様に微笑まれてドキッとしてしまったのは内緒です…。


「今日はありがとうございました。珍しいものが沢山で、楽しかったです。それとルリ様、特訓の成果が出ていましたね。とても美しい立ち姿でしたわ」


「ルリ様、団長、ありがとうございました。また王宮でお会いしましょう」


クレアさんとルイスさんも笑顔で帰られた。


クレアさんに褒められて嬉しい!


これからもマナーのレッスンは続けた方が良いかもね。


そして殆どのお客様が帰られると、シーラ先生がそっと近付いて来た。


「二人とも、今日はありがとう。私もそろそろ帰るわ。料理も美味しいし、ゲームも楽しかったし、来て良かったわ。…懐かしいものばかりで」


最後の呟きはよく聞こえなかったけれど、シーラ先生も(大人しく)楽しんで下さったみたいで良かった。


「それで?そろそろ二人は付き合うの?」


「「………は!?」」


「だって今日の二人、どこからどう見てもセットでしょ。装いもだけど、ずっと一緒だし。多分お客様みんなそう思ったと思うけど?」


前言撤回、最後に爆弾落としてくれたーーー!!!


「…いや、まだルリからは返事を貰っていない。気長に待つと決めているんだ、そう急かさないであげて欲しい」


「い、いえ、あのっ……その……」


何て答えたら良いのか、しどろもどろになっていると、何処からか震える声が聞こえてきた。


「……何よ、それ」


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