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【書籍化&コミカライズ】規格外スキルの持ち主ですが、聖女になんてなりませんっ!~チート聖女はちびっこと平穏に暮らしたいので実力をひた隠す~  作者: 沙夜
第三章

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おもてなし

「はい、食事も大丈夫そうですね。まあ当日は立食形式でしょうが、テーブルマナーも知っておいて損はありませんから」


「あ、ありがとうございます!」


これで地獄のマナーレッスンも無事終わり、ある程度の基礎は叩き込まれたので、パーティーまで少しずつ復習していけばまあ恥をかくことはないだろうと、クレアさんからお許しを頂けた。


「リリアナお嬢様のマナー講師にお願いしておりますので、明日からしばらくはそちらの先生から習って下さい。私がフォルテのレッスンに来る日に、ルリ様の復習テストもしますからね?」


はい!サボったりしません!!


ちゃんと教えて頂いたことを忘れないようにリーナちゃんと復習頑張ります!!


それと…


「あの、お忙しいのにお時間取って下さってありがとうございました。ちょっと…いやかなり厳しかったですけど、丁寧に教えて下さったので、何とか間に合いそうです。パーティーの準備も頑張りますので、当日は楽しんで下さいね」


そこでやっといつもの優しい微笑みを返してくれてクレアさんは帰って行った。


遅いしもう一晩泊まってはとエレオノーラさんも言っていたのだが、明日の朝早いので…とお帰りになることになった。


本当に忙しい中来て下さったことに、感謝しかない。


うん、クレアさんの為にもしっかりしないとね!


パーティーまで一ヶ月半程、準備もマナーレッスンも頑張ろう。






ーーその後、夜のラピスラズリ夫妻の部屋に、思わぬ来訪者が来ていた。


ノックの音に応えたのはエドワード。


入室を許可すると、控えめにドアを開けたのはリリアナだった。


「おとうさま、おかあさま」


「うん?どうしたんだいリーナ」


「珍しいわね、貴女がわざわざここに来るなんて」


首を傾げる父母に、リリアナは意を決したように口を開いた。


「わたしも、きてくださるおきゃくさまのために、なにかしたい!」


はっきりとそう口にし、目を輝かせる娘の姿に、夫妻は顔を見合わせたのだった。







「お料理?」


「うん、るりせんせいといっしょにやってもいい、って」


「頼めるか、ルリ。どうやら君の姿を見て、この子も何かやりたくなったみたいでね」


「へえ、それは面白いね。パーティーの主役からのおもてなしというわけですね」


翌朝、朝食の席でリーナちゃんが嬉しそうに伝えてきたのは、誕生パーティーのお手伝い。


どうやら皆が準備しているのを見て、パパとママにお願いしたようだ。


初めて聞いたらしいレイ君も、賛成の様子。


「ーーうん、とっても素敵ね!でも当日はリーナちゃん忙しいだろうし、前日に作れるものが良いかな…?」


まあ寒い季節だから大体のお料理は大丈夫だろうけど、やっぱり当日作るのが基本だろうし。


となると、一晩おいた方が美味しい料理かな?


すぐに思い付くのはカレーだけど…誕生日にカレー?


って言うかルーからしか作ったことないし、そもそもスパイスが存在しているのかとか、配合とかも分からない。


子どもと一緒に作れて、パーティー映えして、一晩おいた方が美味しい…………


「あ」


「「「あ?」」」


そこで皆が食い入るようにこちらを見ていたのに気付く。


そんなに期待の眼差しで見られても。


「いえ、ポテトサラダなんてどうかなーって思って」


「「「ポテトサラダ?」」」


「せんせい、それ、わたしにもつくれる?」


どうやらポテトサラダもこの世界にはないらしい。


この国には、かもしれないが。


「うん、ちょっと手間はかかるけど、簡単だからリーナちゃんもお手伝いできるよ。一度一緒に作ってみようか?」


「うん!やりたい!!」


「あと、おもてなしって言うならもう一つ。当日ーーーーーーーー?」


きょとんとするリーナちゃんの顔が少しずつ笑顔になり、大きく頷いてくれた。


折角だから、誕生日の目玉スイーツに一つ花を添えてもらいましょ。






と言うわけで。


「では、今からポテトサラダを作りまーす!レッツクッキーン!」


「おー!」


夜ぐっすり眠れており、リーナちゃんも少しずつお昼寝をせずに良くなってきたとの事で、午前中一緒にマナーレッスンを受け、お昼を食べた後、早速厨房を借りる事にした。


「リリアナお嬢様の手作りが振る舞われるなんて、客も喜ぶだろうな!」


「そうかな!?わたし、がんばる!」


急にも関わらず、テオさんも快く場所を提供してくれた。


今日もちゃーんとお裾分け、しますからね!


「では材料です。じゃがいも、きゅうり、玉ねぎ、にんじん、りんご。今日はこの五つを使いますよー!」


「りんご?さらだなのに?」


そう!よくあるポテトサラダには入っていないが、和泉家のポテトサラダには入っているのが、このりんご。


仄かに甘くて、食感も良いんだよね。


お子様にもピッタリ!


「ちょっと甘くなって意外と美味しいのよ。リーナちゃんもりんご、好きだったよね?」


「うん。どんなさらだができるのか、たのしみ!」


ワクワクした顔も可愛いなぁ。


可愛いと言えば、リーナちゃんの二つ結びにエプロン姿のお料理仕様も安定の可愛さだ。


大きくなったら好きな男の子に手作りお菓子とかあげちゃうんだろうなぁ。


可愛いわぁー。


青春よねー。


「…ルリ、お嬢様が待ってるぞ」


「あ、ごめんなさいテオさん。じゃあ始めましょう!まずはじゃがいもの皮剥きからね」


今日はマリアがいないので、テオさんが一緒に手伝ってくれる。


ポテトサラダと言えば、じゃがいもが大量に必要だからね…。


ピーラーを使って、リーナちゃんも一生懸命皮を剥いている。


芽の部分は私が包丁で剥いて、半分に切っておく。


皮剥きが終わったら、三分の二はテオさんに任せ、残りはリーナちゃんに適度な大きさに切ってもらう。


「できた!これをゆでるの?」


「そう!大きめのお鍋で茹でまーす!下味をつけるのに、塩もたっぷり入れてくれる?」


水を張った鍋に塩を入れてもらって、鍋はしばらく放置。


吹かないようにだけテオさんに見ていてもらう。


「じゃあその間に他の野菜を切りましょう。何切りたい?」


「りんご!」


だよね、おっけー!


りんごはきれいに洗って半分に切ってもらう。


難しいから、芯の部分は私が切るけどね。


それを八等分に切ってからいちょう切りにしていく。


「あ、さんかくのかたちだ」


「そう、三角をたくさん切ってね」


切ったものは変色しないように塩水に入れてもらう。


「さて、じゃあ私は玉ねぎから切ろうかな」


玉ねぎのからみを嫌うお子様も多いので、なるべく薄く切ってしっかり塩で揉んで水にさらす。


これはリーナちゃんとかレイ君の反応を見て、入れても入れなくても良いかな。


きゅうりとにんじんも切った後塩で揉んで、しっかりとしぼって水分を出す。


「りんごはしぼらないの?」


「潰れちゃうからね、ペーパータオルで水気を拭き取るだけね」


リーナちゃんが潰さないように、そっとペーパータオルでくるんでトントンしてくれる。


自分で切ったりんご、大切なんだろうな。


「おーい、じゃがいも、良い感じに茹で上がったぞ」


リーナちゃんの様子にほっこりしていると、テオさんから声がかかった。


よーし、美味しいポテトサラダにするわよ!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 魔法電子レンジの時も気になったが、ピーラーにペーパータオル・・・。 文明とか科学技術の設定ってどうなっているのでしょう? 電子レンジは、簡単に言うと電磁波を発生させて微振動で内側から物…
[良い点] マナーレッスンを無料で受けられて少し羨ましい。レッスン非常に高額だから。新入社員研修に近いのかも。 [気になる点] ポテトサラダってマヨが必要では?マヨは生卵が鬼門で食中毒にならないよう工…
2021/01/16 08:59 退会済み
管理
[一言] りんご入りポテトサラダは母方の祖母がよく作ってくれました。 親父は果物入りが許せんと食べませんけど(酢豚のパイナップルも嫌がる人種なので)
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