瑠璃
年末年始休暇に入りましたので、今日から第三章を始めたいと思います。
また瑠璃達をよろしくお願いします!
とりあえず瑠璃の心境を一話…。
続けて本編も一話投稿します。
突然この世界に聖女として召喚されて、半年。
私、和泉 瑠璃はラピスラズリ家の皆さんにとても良くしてもらっているので、特に不自由もなく過ごしている。
元の世界への未練がないのかと言われれば、それはやっぱり未だある。
でも、この世界も私にとって大切なものとなりつつあるのも本当で。
だから、私はこの世界で幸せになる為に、前を向いて生きることを決めた。
この国を、人を見て、真摯に向き合い、心を砕いていきたいと思っている。
その為に始めたのは、一つが幼少教育の普及。
まだ公園を作ろうと計画しているところで、まだまだ先は長いが、何事もはじめの一歩が肝心だ。
シトリン伯爵という心強い味方がいるので、きっと上手くいくはず、と思っている。
そしてもう一つは、騎士団の遠征食の改善。
これは偶然に近いが、たまたま私が持つ癒しの力が料理に作用したことで、遠征に持って行けないかということから始まったもの。
お世話になっている騎士団長さんや、私と同じ聖女として転移してきた紅緒ちゃんと黄華さんの為でもある。
とりあえず保存方法は確立できたし、騎士の皆さんからも喜びの声をいただいているから、順調に進んでいると言えるだろう。
とまあ、お仕事関連ではなかなか良い進み具合だと思う。
あとは…恋愛事情だが、まあ、その、気になる人はいる。
愛称呼びはまだハードルが高いが、敬語を止めることには少し慣れたというところ。
そしてありがたいことに、彼からは好意を伝えてもらっている。
でも、なかなか一歩が踏み出せずにいて、結局、私の気持ちが固まるのを待ってくれている彼の優しさに、甘えてしまっている。
こんな宙ぶらりんなのは良くないと思いつつも、答えを出せずにいるのだ。
うう…恋愛初心者めんどくさいとか思ってくれても良いです。
でもでも!こんな時どうしたら良いか分からないんだもの!!
黄華さんに言わせれば「とりあえず付き合ってみればいいのでは?」なんだろうけど、相手は侯爵家の立派なお貴族様で、しかも騎士団長という立場のある人だ。
そんな簡単にはいそうですか、と恋人になれるような人じゃない。
しかも聖女とは言え、私は見た目も中身も普通の人間だ。
…髪と目の色はこちらの世界仕様に変わったけども。
そんな凡人があんな色気垂れ流しの美形騎士様の隣にいて許されるの!!?と悩んでしまうのも当然だと思うのだ。
とにかく、社会的には一歩を踏み出し、恋愛的には進んでいるようないないような…足踏みしている感じだ。
それでも確かにこの国での暮らしに慣れ親しんでいるのは間違いない。
そうやって、ゆっくりで良いから、私は私の幸せを見つけたいと思う。
私の大切な人達と、一緒に。




