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【書籍化&コミカライズ】規格外スキルの持ち主ですが、聖女になんてなりませんっ!~チート聖女はちびっこと平穏に暮らしたいので実力をひた隠す~  作者: 沙夜
第二章

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進捗

「るりせんせい、おはよう!」


「おはようございます。ルリ様、昨日はお疲れ様でした」


「ありがとう、レイ君。リーナちゃんおはよう」


翌日、いつもと変わらないラピスラズリ家の朝の一時。


「ルリ、良く眠れた?昨日は疲れたでしょう?」


「はい、ベットに入ったらすぐ眠ってしまいました。でも、みんな無事に帰ってきて良かったです」


「今日はゆっくりすると良い。…ああ、そう言えばレオンから今日は泊まりに来ると通信があった。明日は公休日だからと。ルリ、明日はあいつの相手をしてやってくれるか?」


「あ、え、はい…」


エドワードさんの言葉に思わず返事してしまったけど、休みだからってどうして私が?


何故かみんななまあたたかーい目で見てくる…。


マリアなんて朝食をセットしながら「がんばって☆」なんて囁いてくるし。


…別に嫌なわけじゃないけど。


ちょっとだけ、一緒に過ごせるのが嬉しいなと思っちゃってるけど!


うぅ…絶対今、顔赤い…。






「るりせんせい?せんせいのばんだよ?」


はっ!


「あ、リーナちゃん、ごめんね」


朝食後、リーナちゃんと、お絵描きしりとりをしていたのだが、ぼーっとしてしまっていた。


最近何かと忙しかったから、こんな穏やかな時間に、気が抜けてしまったようだ。


「るりせんせい、あのね」


「うん?どうかした?」


そこでリーナちゃんがもじもじと何か言いたそうにしたので、黙って待つことにした。


「わたし、たくさんおべんきょうして、るりせんせいのおてつだいができるようになるね!」


「え?」


ぐっと顔を上げて力強く言ってくれた言葉に、私は目を見開く。


「みんなに、きいたの。るりせんせいは、ちいさいこたちがたのしくあそんだり、おべんきょうしたりできるばしょをつくろうとしてる、って。わたし、すごくいいとおもった!おとうさまとおかあさまがいそがしくて、さみしかったし、へんなくろいもやがみえて、こわいおもいもしてた。でも、るりせんせいがきてくれて、たくさんあそんでくれたり、いろんなことおしえてくれて、うれしかったの。だから、おおきくなったら、わたしもせんせいのおてつだいがしたいの!」


「リーナちゃん…」


まだこんなに小さいのに、その目は真剣で。


「…ありがとう。私も、頑張るね」


ちょっと泣きそうになったのを堪えて、私はリーナちゃんをぎゅっと抱き締めたーーー。







「そうか、リリアナがそんな事を」


「はい、とっても嬉しかったです」


翌日。


昨日夜遅くに来たレオンハルトさんと、朝食後に庭園の東屋にいた。


まだ夏を感じる太陽の日差しは眩しいけれど、木陰は気持ちがいい。


レオンハルトさんもずっと討伐の件などで忙しかったので、今日は自宅でゆっくりしたかったのだとか。


「リリアナは賢いからな。きっと、大きくなったら頼りになる」


「そうですね。私も負けないように頑張らないと」


リーナちゃんが大きくなった時に幻滅されないようにしないとね。


「それで、進捗はどうだ?伯爵はなかなか手強いだろう?」


「はい。さすが、としか言えません。私が考えていなかった所や甘い所を次々と指摘されて、タジタジです。…でも、それだけ真剣に考えて下さっているのが分かります」


まずは公園を作る、という事には賛成してもらえた。


ただ、その管理をどうするかはしっかり考えるべきだと念を押された。


そして保育園のように子どもを預かる施設の導入も、ほぼほぼ受け入れてもらえるだろうとの事だ。


しかし、幼い頃からマナーなどを教えている貴族はともかく、平民に幼少教育の重要性をどう伝えるかがポイントになってくる。


ここを怠ると、全てが水の泡になるだろう、と。


後は人材育成や経費など、後々必要になってくるものについても、きちんと考えておかなくてはいけない。


日本で当たり前のようにあったものだけど、一から考えようとすると、難しい。


本当に伯爵様に協力してもらえて良かった。


「大変そうだが、楽しそうだな?」


「はい!やっぱり子ども達のために何かしたい、って気持ちは元の世界にいる時から変わっていません。この世界で生きていく、って決めはしましたが、私は、私ですから。それに、色んな人の考えを聞くのは、とても勉強になります。時々、叱られちゃったりしますけど」


ウィルさんや伯爵様の厳しい言葉も、ちゃんと聞いて考えるようにしている。


…時々言い返す事もあるけど。


「ふっ、頼もしいな。それで、話は変わるがいつになったら敬語(それ)は止めてくれるんだ?あと、呼び方も。練習しただろう?」


「え、えぇっと…」


うぅ…さっきまで優しい表情で話を聞いていてくれていたのに、急に意地悪な目になってしまった。


初めて会ったときは、不機嫌そうな顔だったり、あまり表情が変わらなかったりとクールなイメージだったのに…。


「ほら、呼んで?」


「れ、レオ、ン…」


「うん、どうした?ルリ」


わーん!もうやだ!!


なんでそんな蕩けた目で見てくるのよこの人!!!


美形のそんな表情見せられてドキドキしない女子なんていないからね!?


「ルリ?」


いやぁぁぁーーー!!またこの人耳元で囁いてきたんですけど!?


私がそれに弱いって絶対分かっててやってるよね!?


「もおっ!なんでもないっ!!」


恥ずかしすぎて真っ赤になっているだろう顔をぷいっと背けて、必死に耐えた。


後ろからは小さな笑い声が聞こえる。


そして、可愛い、とそっと頭にキスをされて、私はまた涙目になるのだったーーー。


次で第二章が終わりとなります。

昨夜活動報告に今後について書かせて頂きましたので、お時間あれば読んでやって下さい。

ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 大きくなったらと言わず今からでもリーナちゃんに手伝ってもらってもいいんじゃないかな。 昔は成績優秀な子供が他の子供に勉強を教えてお金をもらっていたそうですよ。 それを真似てリーナちゃんには年…
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