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【書籍化&コミカライズ】規格外スキルの持ち主ですが、聖女になんてなりませんっ!~チート聖女はちびっこと平穏に暮らしたいので実力をひた隠す~  作者: 沙夜
第二章

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聖女会議3

「な、な、な、何ですってぇぇぇーー!!?」


「あらまあ、あの(ひと)、随分言ってくれますわねぇ…」


今日は聖女達が揃うお茶会の日。


……いつもよりもほんのちょびっと?殺気立ってます。






あの後ーーー。


レオンハルトさんは馬車置き場までついて来てくれて、馬車に危険が無いかも確認してくれた。


そしてアルと何事かを話し合うと、互いに頷いていた。


仕事の話かな?と思っていたのだが、どうやら私の事だったらしい。


ラピスラズリ邸に戻り、いつも通り私がリーナちゃんやレイ君に癒されてほっと一息ついていた頃、アルはエドワードさんにその日の事を報告していた。


それを聞いたエドワードさんとエレオノーラさんが、リーナちゃんを寝かしつけ終えた私の部屋に突入。


無事で良かった!!!とぎゅうぎゅう抱き潰された。


ちょっと苦しかったけど、……嬉しかった。


レオンハルトさんもそうだったけど、心配し、無事で良かったと言ってくれる人がいるのは、とても幸せな事だ。


そしてやっぱり自分の迂闊さに反省。


これからはもうちょっと危機感を持たなくては、と改めて思ったものだ。


そして今日のお茶会。


最初はまだ和やかだった。


騎士さん達の分と一緒に作ったフルーツケーキとクッキーは、ベアトリスさんから夕食のデザートとしてと、間食用にと小分けに包んだ物が二人に渡されていた。


「とても美味しかったです」


「もぉ瑠璃さんのお料理、大好き!」


と、嬉しそうにお礼を言われたまでは良かった。


「でも災難でしたわねぇ、まさか騎士達の剣が飛んで来るなんて」


その黄華さんの一言が、部屋の空気を変えた。


「…は?」


ガシャン、と紅緒ちゃんのカップが強くソーサに打ち付けられた。


「紅緒ちゃん、知らなかったんですか?実はねーーー」


黄華さんの口からあの日の一部始終が話されたのだ。


「そんなことがあったなんて…。瑠璃さん!何ともなくて良かったぁぁ!!!」


と涙目の紅緒ちゃんからも抱き付かれて、キュンときた。


あー可愛い。


美少女に抱き締めてもらえることなんて、なかなかないからね!


しかしその後、黄華さんから「ところでウィルさん(あの男)から何か言われませんでしたか?」と笑顔で聞かれ、素直に答えた結果が冒頭だ。






「だいたいねぇ、そっちの都合で喚び出された挙げ句聖女なんかにさせられて、迷惑したのはこっちだってのよ!!なんであんたにそんなこと言われなきゃいけないのよ!!!」


「そうですよねぇ。あの人、私達にもつっかかって来たんです。まあ言われた時はカチンと来ましたけど、後で冷静に考えてみれば確かに、と思う部分もあったので直すようにしていますが」


「でも腹立つ」


おおぅ、二人も色々言われたのね。


紅緒ちゃんはともかく、黄華さんの表情が見たこともないものになっている。


「最初は、とても優しかったんですけどね?今思えば、私達が魔法を学んで討伐にも参加したいって言ったあたりから、態度が変わったような気がします。紅緒ちゃんも始めは彼のことちょっといいなーとか思ってたでしょ?」


「う、うるさいな!!あれは過去!黒歴史!!私だってあいつにこれ以上好き勝手言われないように気を付けてるわよ!」


…なんか話聞いてると、そうそう理不尽な事は言われてないのかも。


「…私も、実は後から考えてちょっとムッとしたんです。それこそ紅緒ちゃんが言ってくれたみたいに、何でそんなこと言われなきゃいけないの?って。でも、やっぱり彼の言ったことは間違いではないと思いました。いくら守られる側とは言え、自分でも気を付けることに越したことはないですよね?」


「まあ、ね」


「…そうですね」


しん、と三人とも沈黙してしまった。






急に態度が変わったというウィルさん。


まるでわざと嫌われようとしている言い方。


…何か事情でもあるのかな?





「ところで、どうして黄華さんは私が危険な目にあった事を知ってたんですか?」


「ああ、ちょっとした情報筋から聞いたんです。うふふ、でもあの人との会話はどうしても口を割らなくてね。瑠璃さんから聞くことが出来て良かったです」


「「…………」」


いつも思うけど、黄華さんて何者なんだろう…。


「こわ…」


うん、紅緒ちゃん、同感です。


「ちなみに瑠璃さんが魔法騎士団長さんに連れ込まれたことも知ってますよ?」


「何それ詳しく!!!」


「えっ!?ちょ、何でそんな事まで…」


「って言うってことは、事実なのねっ!?さあ吐いて下さい!!!」


もぉぉぉぉーーーっ!!またコレ!?






と、お茶会はここまで。


二人は散々きゃーきゃー騒いで、それぞれの訓練へと向かった。


そして実は今日、もうひとつ用があって私は王宮に来ていた。


そう、保留になっていた幼少教育についてだ。


今からその分野に精通している人との面会を予定している。


名前はオースティン=シトリン伯爵。


どうやら暫く地方の視察に行っていたらしくて、会談が遅くなってしまったとの事。


この世界、飛行機や新幹線があるわけじゃないので、移動に時間がかかってしまうのは仕方がない。


それでも私の話を聞いて、飛んで帰って来てくれたらしい。


彼はこの国の教育事情を良くしようと考えている人で、とても尊敬できる方だとエドワードさんやエレオノーラさんから聞いている。


私の話が通るとは限らないけど、少しでも子ども達のために何かできるといいな…。


「ねえ、アルはシトリン伯爵にお会いしたことがある?」


「幼い頃に、一度だけ。穏やかで気の良い方である一方で、なかなかの商人気質とも聞いています。ですが、教育に関しては第一人者であることは間違いないですね。当時まだ子どもだった私にも優しく接して下さいましたし、話しやすい方だと思いますよ」


「へえ…」


そっか商人気質、か…。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ウィルのように耳の痛いことを忠告できる人間というのは必要でしょう。 紅緒ちゃんは理不尽だと怒るかもしれませんが、聖女が重要な存在で狙われる危険性があるのは変えようがない現実。鹿を馬だと言う…
[一言] この物語は読んでいてとて楽しいです。 作者様、お身体に気を付けて瑠璃達の物語を綴って下さいね。
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