休日
うーん、今日も良い天気!
良い一日になりますように!
今日は久しぶりにアリスちゃんが遊びに来る日だ。
なので今日は勉強もフォルテもお休み。
新しい遊びをやろうと、昨日のうちに準備していたのだ!
女の子なら、絶対好きだと思うんだよね。
楽しんでくれるといいな。
「おはようございます。今日もよろしくお願いします、リリアナお嬢様」
「おはよう、りーなちゃん!」
「おはよう、ありすちゃん。」
「いらっしゃい、アリスちゃん。今日もたくさん遊ぼうね」
はーい!!と元気いっぱいの笑顔。
ああ…癒やされる…。
最近偉い人とかに会うことが多かったから、ちびっこ不足だったのかも。
思わず二人まとめてきゅっと抱き締めました。
「さて、今日は小麦粉粘土で遊びましょう!」
「「「コムギコネンド??」」」
はい、毎度お馴染みの反応ありがとうございます。
「小麦粉は知ってるよね?」
「けーきとかつくるやつ…」
さすがリーナちゃん、よくお菓子作りで使うもんね。
「大正解!じゃあ粘土は?知ってる?」
「「「わかんない」」」
ですよねー。
「粘り気のある土のことなんだけど、色々な形に出来て、遊びに使うと面白いの。それを今日は口に入れても大丈夫な小麦粉で作ります!」
「たべられるの!?」
「えっと…美味しくはないと思うよ?」
キラキラした顔で見つめられましたけど、期待外れでごめんね、アリスちゃん。
うん、ガッカリだよね、ごめんね。
「小さい子でも安全に遊べるように、って事だから。食べるために作るわけじゃないから、ね?食べるやつはまた後で作ろう?」
「うん!わかった!!」
アリスちゃんてくいしんぼうなのよね。
…マリアもだけど。
「あ、でもこれも作り方はお菓子作りに似てるのよ。一緒にやってみましょうね」
「「「はーい!」」」
作り方は簡単。
小麦粉に塩と油を混ぜて、少しずつ捏ねながら水を足していく。
「かんたーん!たのしー!!」
「でも、こねるの、けっこう、つかれる」
うんうん、二人とも上手!
「フニフニして気持ちいいですねー!」
マリアも一緒になって楽しんでる。
「では、四つの固まりが出来たので、それを二つに分けて一つずつ色を付けたいと思います!」
これはテオさんに相談して提供してもらった食紅的なやつ。
食べられる植物などで色を付ける物だから、安心だとの事。
「みんな何色がいい?二色選んでね」
「あたしきいろとみどりー!」
「わたしは、あかとあおがいい」
「じゃあ、茶色と黒ね」
「私はこのまま白にしておくね。意外と使うから。じゃあそれぞれの粉を入れて捏ねましょう。違う色を捏ねる時は、一度手を洗ってね」
「わー!だんだんきいろがひろがってきたー」
「…ちょっとぴんくいろっぽい。なんでだろ」
「本当ですね。粉、もう少し入れてみましょうか」
うんうん、良い感じ。
リーナちゃんとマリアも良いやり取りしてるね。
「「「かんせーい!!」」」
という事で、七色の小麦粉粘土が出来ました。
「では、これで遊びましょう!ただ捏ねてるだけでも楽しいけど、粘土はこうやって…」
まずは粘土が初めてな皆のために、見本を作ってみる。
「こうやって丸めたのを付けて…出来た!」
「わあ!かわいい!」
「るりせんせい、すごい!」
出来上がったのは、うさぎの顔。
まあ大人なら簡単にできるし、子どもでも真似しやすい。
同じようにして耳を変えたりすればクマとかネコとか、色んな動物にできる。
「ルリは器用ね~。よーし、負けないわよ」
「あたしもうさぎ~」
「わたしは、くまつくってみる」
という感じで作り始めたのだが、アリスちゃんがピタリと動きを止めてしまった。
「?アリス、どうかした?」
「まま、ぴんくのうさぎにしたいけど、ぴんくがない…」
はい!待ってました!!
これです!今日のお勉強は!!
「うん、でもさ、さっき色付けてる時、リーナちゃんピンクになっちゃった、って言ってなかった?」
「あ、いってた!」
「どうしたら赤くなったんだっけ?」
「うーんと、こなをたくさんいれたから?」
「そう!じゃあピンクに戻すにはどうしたら良いのかな?」
「そっか…しろいねんどをまぜるんだ。ありすちゃん、やってみて」
さすがリーナちゃん!賢いわぁ!!
「わかった!えーっと、これくらい?よいしょ、よいしょ…あ、ほんとだ!」
「すごい…できた!」
「なるほど…これは白い粘土が多めにいるわね。水色とかクリーム色とかも作れるもの」
「そういうこと」
それにしても、二人とも良い顔してる。
自分で発見したことって、忘れないものだもの。
友だちと伝えあって、共感・共有するのってすごく大事。
大人が教えてあげるのは簡単だけど、それよりも自分達で経験した方が何倍も貴重だと思う。
「良かったね~。じゃあ、粘土遊び再開!また困った事とかあったら、教えてね。みんなで考えましょう」
「あ、あおとあかのねんど、くっついちゃった」
「あれ?ありすちゃん、そこ、へんないろになってるよ」
「本当ね。その二つ、一度よく混ぜて捏ねてみようか?色が変わるのかもよ?」
「うん!…わあ!むらさきになったよ!?」
「どうして!?」
「「ふしぎー!!!」」
ふふふ、混色って楽しいのよねぇ。
色々試してみたくなっちゃうの、どこの世界も一緒なのね。
夢中になって遊んでる二人を見てると、園の子達を思い出す。
みんな、元気かな…?
先生、意外と元気に頑張ってるよ。
「あれ?何だか楽しそうな事してますね」
「おにいさま!」
「レイモンド様。よろしければご一緒にどうですか?楽しいですよ」
そう言ってマリアが皆の作品を見せると、レイ君も興味を持ったようで、近寄って来た。
「…へえ。楽しそうですね。僕もちょっとやってみても良いですか?」
「勿論!どうぞ」
皆はワクワクしてレイ君が何を作るのかと覗く。
ーーー五分後。
「ふう、出来ました。どうでしょうか?リーナの好きなバラの花を作ってみたのですが」
そこには、超芸術的な薔薇の花があった。
「す、すっごーーい!!」
「おにいさま、じょうず!!すごい!!」
「そ、そうかい?そんなに褒められると照れるなぁ」
「「………」」
「レイモンド様、何故絵は残念なのに…」
「しっ!マリア、それは言っちゃダメよ!!素直に褒めて!!」
剣は得意なのに包丁は扱えない人がいるように、立体工作は得意なのに絵画は苦手な人だっているのよ…。




