表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化&コミカライズ】規格外スキルの持ち主ですが、聖女になんてなりませんっ!~チート聖女はちびっこと平穏に暮らしたいので実力をひた隠す~  作者: 沙夜
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/283

夕食会2

「では、デザートの用意をして来ますので、少しだけ席を外しますね」


そう言って退席すると、調理場へと向かう。


「おう、ルリ!準備できてるぞ」


「ありがとうございます、テオさん。おかげさまで料理、どちらも好評でした!」


「そりゃ後で食べるのが楽しみだな!アルトじーさんにも後で俺が持って行くよ。あ、レオン様の分はそっちに確保してあるからな」


頼んだぞ、と肩を叩かれた。


…この家、揃ってレオンハルトさんと私をくっつけたがってるよね、絶対。


それが嫌な訳じゃないのが尚更困る。


まあとりあえず、今はデザートの準備だ。


そう思い直して、考えるのを止めることにした。






出来上がったデザートをマーサさんにも手伝ってもらって運ぶ。


大人は普通にメロンを切ったものだが、お子様メニューはちょっと違う。


「お待たせ、レイ君、リーナちゃん」


「わ、すごい!」


「何ですか、これ?」


二人の前に置いたのは、クリームソーダ。


メロンのわたと種を利用して作ったメロンソーダに、バニラアイスを浮かべたものだ。


炭酸水は少し前に出しておいて、まだ小さいリーナちゃんでも飲みやすいように微炭酸にしてみた。


「クリームソーダでーす!私も小さい時に大好きだったんだ。アイスはジュースと一緒に掬って食べても良いし、ジュースに溶かして飲んでもいいよ」


夜だし量は少なめだけど、普通の長さのスプーンで食べるには丁度いい。


二人はスプーンで少しアイスを溶かしてソーダを一口。


「!おいしい!!」


「本当だ。メロンの香りがして、甘い」


良かった、二人とも気に入ってくれたみたい。


ちょっと味見してみたんだけど、メロンが本当に甘くて、シロップを足さなくても十分美味しかった。


自然の甘みが一番だもんね。


「ルリ…私達の分はないのかい?」


笑顔でクリームソーダを頬張る二人を眺めていると、シュンとした表情のエドワードさんがじっと見つめてきた。


「あ、す、すみません。大人は普通にメロンだけです…」


わたと種しか使わないから、そんなに量は作れないんだもん。


エドワードさん、そんなに悲しそうな顔しないで。


レイ君の甘いもの好きはパパ似だったのね。


「あら、残念だわ。でもこのメロン、すごく甘くて美味しいわね」


「リーナちゃんが一所懸命お世話したからだね!リーナちゃん、今日はご馳走でした!!」


エレオノーラさんの言葉で、話題を変えることに成功した。


皆がリーナちゃんを褒め称えている。


「くりーむそーだ…」


エドワードさんまだ言ってるよ…。


今度作ってあげます、って約束させられました。







賑やかな夕食会が終わった後、リリアナが寝付いた頃に、レオンハルトはラピスラズリ家の応接室でエドワードと向かい合っていた。


「今日はどうしたんだ?王宮ではなく、わざわざ自宅で話など、珍しいな」


「すみません、兄上。王宮だと、()()()()に入るかもしれませんので…」


「ああ、シーラ殿の事か。…確かに、厄介だな」


そうなんですよ、と合間に溜め息をつきながら用件を話すレオンハルトの表情には、疲れが見える。


どうやら余程シーラ殿にせっつかれたようだ、とエドワードは同情した。


「それで、どうするんだ?」


「…ルリに決めてもらいます。確かに、力を貸してもらえるなら、こんなに頼りになることはないと思います。しかし、それを我々が強要するわけにはいかない。聖女はただそこにいるだけでも、とても重要な存在です。彼女達には、それ以上を求められても断る権利がある」


もう、自分達は十分恩恵を受けている。


彼女達には、穏やかに、幸せに暮らして欲しいとレオンハルトは思っていた。


…出来ることなら、ルリをそうさせるのは自分でありたい、とも。







リーナちゃんを寝かしつけた後、自室に戻ると、レオンハルトさんが数分前に来たとマーサさんが教えてくれた。


小一時間はエドワードさんと話すだろうとのことなので、暫く魔法書を読むことにした。


因みに自動翻訳機能が付いているらしく、この世界の何語の本であっても読むことができる。


知らない文字の上に日本語がぼやっと浮かぶ感じ?


ほんと便利、チートだわ。


魔法について、リーナちゃんと一緒にレイ君の家庭教師の先生に習うことにしたのだ。


リーナちゃんは先生に慣れてきたし、私も少し魔法について理解してきたけれど、やっぱり魔力が高いのなら、ちゃんとその仕組みや法則を理解しておかないとね。


何も知らないのに大きな力を持つことほど危険なことはない。


というわけで時間を見つけて自習しているのだ。


…4歳前の子に抜かれる訳にはいかないからね。


リーナちゃん、凄く覚えが早いのよ。


そう言えばレイ君も天才って有名なんだっけ。


天は二物も三物も与えちゃう良い例よね。


凡人はただ努力するのみですよ。


とかなんとかしている内に、良い時間になってしまった。


そろそろレオンハルトさんの夜食の用意しようかな。


本はキリの良い所で終え、厨房へと向かった。







とりあえずラタトゥイユは温め直しておく。


サンドイッチはしっとりしたのもいいけど、今回は焼いたパンを使って噛み応えのある物にする。


スープ系の料理と一緒なら、私はそっちの方が好きだから。


飲み物は…泊まる時はワインとかお酒を飲んでるけど、今日は騎士寮に戻るっぽいこと言ってたし、飲まないかも?


クリームソーダを作るのに使った炭酸水で、はちみつレモンソーダでも作ろうかな。


レモンのはちみつ漬けって、確か疲労回復に良かったよね。


これにも同じ効果があると信じよう。


最近また忙しいみたいだって聞くし、少しでも疲れが取れますように…。


「ルリ様、お話が終わったようです。レオン様を食堂に案内するよう伝えましたが、宜しいですか?」


「あ、はい!もうすぐ出来ます。一緒に運んで頂いても良いですか?」


レモンを輪切りにしていると、マーサさんが呼びに来てくれた。


「勿論です。…まあ!綺麗な飲み物ですね。お料理も美味しそうです。きっと、レオン様も喜ばれますよ」


ニコニコと嬉しそうなマーサさんは、テキパキとワゴンに料理を乗せていく。


うん、喜んでくれると良いな…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ