聖女会議
待っていて下さった方、ありがとうございます。
何とか続けられそうなので投稿を再開します。
辻褄合わせが苦手なので、もし不備があっても温かく見守って頂けると…(笑)
「ほぉんとぉぉぉに腹が立つのよ!あの男!!!!!」
「嫌だわぁ不敬罪って言われますわよ、紅緒ちゃん」
「アンタのその態度も腹が立つんだけど!?」
「ま、まあまあ…黄華さんも話聞いてあげましょうよ…」
「瑠璃さんっ!瑠璃さんがいてくれて良かったぁぁぁ!!もぉワケわかんない世界に飛ばされて混乱してるってのに、話通じないし、腹立つヤツばっかりだし、ウンザリしてたんだから!!!」
「やだ、私ちゃんと紅緒ちゃんのこと、可愛がってましたよ?」
「可愛がってたんでしょぉがぁぁ!!!」
ここは王宮の貴賓室。
今日は王宮のお茶会に招かれています、和泉 瑠璃です。
…一応、"癒しの聖女"です。
そしてお茶会のメンバーだけど…。
「とにかくいちいちネチネチネチネチ言ってきてムカつくのよ!納豆菌かアイツは!!!」
このちょっと口が悪いのが日暮 紅緒ちゃん。
18歳の元女子高生で、肩の下まであるウエーブした黒髪に赤目のちょっとキツめの美少女。
彼女は"粛清の聖女"らしい。
「まあ、納豆菌だなんて…いつも一緒にいる紅緒ちゃんも臭くなりますわよ?」
「誰が匂うって言った!って言うかいつも一緒にいないし!!」
「あらー自覚ないの?あんなにじゃれあってますのに…」
「じゃれてなーーい!!!」
そしてこっちの火に油注いでる人が、東雲 黄華さん。
ゆるふわロングヘアーの茶髪に少し緑がかった金の瞳で、まさかの年上30歳!
パッと見はいつもニコニコしてて可愛いらしい人だけど、中身は天真爛漫と言うか何と言うか…クセのある人だ。
彼女は"祝福の聖女"なんだって。
めでたく聖女が三人揃ったので、こうして時々交流会を開いているのだ。
無理言って王宮の滞在を断った身としては、これくらい了承しないと…と思ったのだが。
…正直、間に挟まれて困惑することが多かったりする。
でも…
「ほう、聖女殿が揃って俺の悪口大会か?」
「出たわね性悪魔王!!!」
「嫌ですわ、悪口なんてまさか」
…魔王様、降臨。
わーわー叫ぶ紅緒ちゃんを連れてカイン陛下は去っていった。
一緒に何をしてるんだろう?と思って聞いたことがあるんだけど、どうやら騎士団の訓練場に行って二人で訓練をしているらしい。
紅緒ちゃんは攻撃魔法に特化している。
そしてカイン陛下は魔力がほぼ無い代わりに、剣術に凄く優れているらしい。
そんな二人が組んで、しかも連携が取れるようになったら、控えめに言っても最強だろう。
紅緒ちゃんは魔法の勉強中なのでまだまだらしいが、これから魔物討伐に出てもらうこともあるから、二人で訓練して連携を精密にしたいんだって。
「黄華さんも、もう少し紅緒ちゃんに優しくしてあげれば良いのに」
「良いんですよ、その役目は瑠璃さんがしてくれているでしょう?時々ガス抜きさせてあげなきゃ。怒って愚痴って、発散も大事なんです」
そう言ってお茶を飲む黄華さんは、やっぱり年上なんだな、という表情をしていた。
召喚されて暫く、紅緒ちゃんは情緒不安定だったらしい。
そりゃそうだ、だってまだ未成年。
突然異世界に連れて来られて、動揺しない訳がない。
きっと、何も知らない私がラピスラズリ邸でのほほんと過ごしている間、黄華さんは紅緒ちゃんを守ってきたのだろう。
こんな風に、会話していると二人の事情を垣間見たりするので、私も二人との関わりを大切にしたいと感じている。
…もっと、話してみたいと思うのだ。
「さて、ではそろそろ私達もお開きにしましょうか。ああ、瑠璃さんは訓練場を見に行かれますか?例の、団長さんがいらっしゃるんでしょう?」
「えっ!?えっと、そう、ですね…少しだけでも来て欲しいとは、言われましたが…」
「それでは一緒に参りましょう!」
黄華さん…絶対面白がってる…。
ニヨニヨとした笑みには、からかう気満々だと書いてある。
本当は優しい人なんだろうけど、この人の判断基準は面白いかどうかなのだと思う。
小さく溜め息をつくと、私は素直に黄華さんの後に続いた。
始めに断っておくが、私とレオンハルトさんは恋人でも何でもない。
好意を伝えてくれているし、それが冗談だとかからかいではないという事は分かっているが、正直、自分の気持ちがよく分からないのだ。
勿論とてもかっこいいとは思うし、一緒にいてドキドキもするけど、ほら、私は平穏を望んでいた訳で、イケメンとのいちゃいちゃを希望していた訳ではない。
まあすでに、平穏とは…?って感じにはなってるけど、ね。
それでも年齢=恋人いない歴な私には、レオンハルトさんの恋人とか、ハードルが高いのだ。
あんなにかっこいいんだもの、経験豊富だろうし、他のお嬢様方がほっとかないだろう。
恋人になったは良いけどつまらない、とか思われたら絶対傷付く。
恋愛経験ゼロの純情アラサーをなめないで欲しい。
「あ、また何か余計なこと考えてますね?」
「黄華さぁん…」
考えれば考える程ドツボにはまりそうで怖い。
思わず同郷の年上に頼ってしまうのは自然なことである。
「もう、瑠璃さんは色々考えすぎなんですよ。やったーイケメンと付き合える、ラッキー☆とか思えば良いのに」
「いや、思えませんて」
「でも、団長さんと瑠璃さんの話はもうほとんど知れ渡ってますし、逃げられないと思いますけどねぇ」
「…はい?」
「あれ、知らないのですか?有名な話ですよ?ラピスラズリ家にいる聖女様は魔法騎士団長のお手付きだって」
「はあぁぁぁ!!?」
何でそうなったのー!!?




