表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化&コミカライズ】規格外スキルの持ち主ですが、聖女になんてなりませんっ!~チート聖女はちびっこと平穏に暮らしたいので実力をひた隠す~  作者: 沙夜
第五章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

282/283

*秘めた想い*

☆コミカライズ記念番外編です☆

シーラ視点のお話。

明日も一話、番外編を投稿予定です。

カインと紅緒の結婚式、その上青と黄の聖女へ、噂のある騎士たちからの求婚まで行われ、大いに盛り上がったその日の夜。


城下からは、まだ祝いの賑やかな声が響いている。


そんな中、シーラはいつもの魔術師団のローブに身を包み、王宮の庭園で月を見上げていた。


「幸せそう、だったわね」


自分が喚び出した、三人の聖女。


恨まれることを覚悟し、彼女たちの幸せを最後まで祈りたいと思っていたのは、カインだけではない。


シーラは、椎名那智として彼女たちと同じ世界を生きていた記憶がある。


しかも、瑠璃とは職場の同僚。


彼女が消えた後、どれだけの人間が悲しんだかを知っている。


「いくら彼女たちが赦してくれたとしても、私自身は私を赦さない。そして、彼女たちの幸せを、最後まで見守りたい」


そのひとつの区切りが、今日だったのかもしれない。


彼女たちは、自分たちで今日のこの日の幸せを掴み取ったのだ。


「おめでとう。また、これからね」


そしてこれからも、新しい道へと歩み進んでいく。


前世と変わらない月。


異世界であっても、変わらない魅力で人を惹き付けてきた瑠璃。


それでいて、自分には決して手の届かない存在。


まるで彼女は月のようだと、そんな感傷に耽っていると、静かな足音が近付いてきた。


「シーラ様、こんなところでなにを?」


アルフレッドだ。


瑠璃の護衛騎士である彼もまた、今日の日を感慨深く思っているのではないだろうか。


瑠璃に振り回されることも多いが、彼女を大切に思っていることは周知であり、今日のあの場面も、穏やかな目で見守っていた。


「月を、見ていたのよ」


「月、ですか?」


不思議そうに見上げるアルフレッドに、シーラは苦笑を零す。


彼もまた、瑠璃に惹かれているひとりではないかと思っていたのだが、正直、全く読めない。


今日だって自分のように、喜びながらもどこか寂しい気持ちになったのではと思ったのだが、すっきりした顔をしている。


とすると、手のかかる妹のように見ていたのだろうか?


「……寂しいですか?」


「はっ!?な、なんのこと?」


ぐるぐると考えていたところに、思いもよらない質問をされて、狼狽えてしまった。


ぱっとアルフレッドを見ると、とても優しい目をしている。

 

「私は、まぁ寂しさ半分、喜び半分というところですね。といっても、護衛の任を解かれるわけではないですし、これからおふたりの間に御子ができたら、それはそれで楽しくなりそうですし」


くすくすと笑うアルフレッドの言葉に、嘘はない。


瑠璃への想いは、色恋めいたものではないのかもしれないなとシーラは思い直した。


「それで?魔術師団長殿はルリ様を諦められそうですか?」


「ええ、まぁ……って、は?」


しまった、油断した。


ばっとシーラがアルフレッドを振り返ると、にっこりと微笑まれる。


「あなたとエメラルド宰相、どこか似ているなぁと、ずっと思っていたんですよ。ルリ様と一緒にいるあなたを見て、少しずつ、()()()()()()()()()()()を知っていて、慕っていたのだろうなと、なんとなく思うようになったのです」


当たりましたか?と悪戯な顔をするアルフレッドに、シーラは脱力する。


「……参ったわね。誰にも言うつもりはなかったのに」


はぁっと観念したように息を吐くシーラに、すみませんとアルフレッドが謝る。


「……恋人だったのですか?」


「いーや、俺の片想い。ずっと変わらない」


そう、あの頃と変わらないるり先生に、今も惹かれているけれど。


「……でも今は、レオンと一緒にいるるり先生が好きだからな。ずっと、ふたりを応援するさ」


優しい瞳のシーラに、アルフレッドも目を細める。


「私も、ラピスラズリ団長の隣で笑うあの方が、好きですよ」


その言葉の、意味は。


それ以上を聞いてはいけない気がして、シーラはもう一度月を見上げた。


「な、今からふたりで飲まないか?」


「おや、異世界の話でもして下さるので?」


「んー、まあ、それも良いかもな」


「ところで、男言葉に戻っていますが、よろしいのですか?」


「あ?今日くらいは大目に見てくれよ。失恋記念日なんだからさー。それよりもさ、――――」







その夜、シーラとアルフレッドは、窓から差し込む月の光を酒の肴に、魔術師団長室でふたりだけで祝杯をあげたのだった。

本日配信のBerry's Fantasy vol.30より、コミカライズ連載開始です♡

永倉早先生が描いて下さった、かわいいリーナちゃん達を見て頂けると嬉しいです(*^_^*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ