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【書籍化&コミカライズ】規格外スキルの持ち主ですが、聖女になんてなりませんっ!~チート聖女はちびっこと平穏に暮らしたいので実力をひた隠す~  作者: 沙夜
第五章

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女神再来

短いです。

すみません(TT)

「そなたらのお陰で随分楽になったのでな。この辺り一帯の瘴気もほとんど消え、こうして姿を現せるほどになったのじゃ」


ふふっといたずらに笑う女神様は、相変わらず見た目と話し方にギャップがある。


しかし、とても神々しい姿の女神さまに、騎士さんたちは目を奪われていた。


イーサンさんやウィルさんまで、ぽかんと見上げている。


「今しがた浄化した魔物の核じゃが……放っておけば、魔王となる可能性もあった。それを阻止したという意味でも、そなたたちには感謝したい」


さっきの黒い塊も、魔王にって言ってたもんね。


本当にもう少し遅かったら、危なかったんだ。


紅緒ちゃんが私たちを呼んでくれなかったらと思うと、恐ろしい。


「さて、国内の瘴気も落ち着いてきて、しばらくはあのような核も現れんじゃろ。そなたたちには、少し話を聞いてもらいたいのだが。できれば、そこのラピスの末裔や、現国王、それに……あの宰相も、一緒に」


なぜだろう。


少しだけ、女神様が哀しい笑みをしている。


「じゃあ、とりあえず瑠璃さんと黄華さんはあたしの転移魔法で王宮に帰すわ」


「え、紅緒ちゃんは?」


私たちを帰すっていうのは分かるけど、紅緒ちゃんはここに戻って来るつもりなの?


「うん。最後まで、ちゃんとみんなと遠征したいしね。それに……それくらいの約束は、守らないと。一応あたし、総司令官だし?途中で役目をほっぽり出すわけにはいかないでしょ」


「うむ、良い心掛けじゃな。話はそなたが無事に戻ってからで構わんぞ。ほんの数日待つくらい、わらわにとっては、僅かな時間じゃからの」


紅緒ちゃんの言葉に、女神様もうんうんと頷く。


そっか、そうだよね。


それを聞いて、私は黄華さんと目を見合わせる。


「では、私たちは先に王宮でお待ちしておりますわ」


「みんな、気を付けて帰ってきてね。ベアトリスさんと一緒に、美味しいものもたくさん用意しておくよ」


みんなの無事を祈って、周りを見渡し手をかざす。


「最後に、みんなを回復しておくね。“範囲指定治療(エリアヒール)”」


深手の人はいなさそうだから、これでほとんどの傷や疲れは取れるだろう。


「ありがとう、瑠璃さん。じゃあ、王宮まで送るわね」


「うん、お願いします」


紅緒ちゃんに返事をした後、レオンの方を向く。


「レオンも、気を付けて。紅緒ちゃんをよろしくね」


「ああ。ありがとう」


また、王都でね。


視線を交わし、微笑み合うと、周りからブーイングが上がった。


「ちょっと団長、こんなところでイチャつかないで下さいよ」


「そっすよ。ひとり者にはツラいっす」


「俺も早く嫁さんのところ、帰りてぇなぁ〜」


わははと笑う、気の良い、特に第三の騎士さんたちからの冷やかしの声に、さすがのレオンも気まずそうだ。


ちょっぴり恥ずかしいけれど、死地を超えて、和やかな雰囲気になったことに、穏やかな気持ちになる。


「先に帰って、みなさんのご家族にも、無事に帰路に立ちましたとお伝えしますね」


「さ、向こうでも心配しているだろうし、そろそろ行きましょ。瑠璃さん、黄華さん、護衛のふたりも、ちゃんと掴まって」


「うん。みんな、王宮で待ってるね!」






そうして、私たち四人は転移魔法で王宮へと戻った。


すぐにヒュドラとの戦いのことを報告し、王宮では、みんなが喜びに湧いた。


陛下も、良くやってくれたと、ほっとしたように薄く笑ってくれ、紅緒ちゃんに早く会わせてあげたいなと思った。


それで、シリルさんだけど……。


「お疲れ様でした。……どうやら、創世の女神様が話があるとおっしゃったそうですね。まさか、お会いできるとは光栄です」


だって。


騎士さんたちを守るためとはいえ、試練の約束を破った紅緒ちゃんを、どう思っているんだろう?


それについては何も触れなかったし、そのいつもの笑顔からは、何も読み取れなかった。


ただ、女神様のことについて話した時だけは、少し驚きつつも意外とすんなりと受け入れていて、ちょっと嬉しそう?と思ったり。


ちなみに紅緒ちゃんやレオンたちは、女神様がおっしゃっていたように、瘴気が薄くなったためか、帰りはほとんど魔物に出会うこともなかったらしい。


騎士さんたちも元気いっぱいで、毎日の報告のための通信で、予定より早く帰れそうだと教えてくれ、みんながその帰還を心待ちにする。


もちろん、私もそのひとりだ。


ベアトリスさんやクレアさん、騎士のみんなの家族や恋人、友人たちもきっと。






そして、ついにその日が来た。

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