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【書籍化&コミカライズ】規格外スキルの持ち主ですが、聖女になんてなりませんっ!~チート聖女はちびっこと平穏に暮らしたいので実力をひた隠す~  作者: 沙夜
第五章

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ラピスラズリ兄妹

ごめんなさい、キリが良いので短めです……

『そうか。殿下方が茶会に前向きなようで、安心したよ。レイモンドやリリアナはどうだ?』


「早くおふたりと話してみたいって言ってたよ。特にレイ君はアーサー殿下と同い年だもん。ポーションのこととか、色々話したいことがあるみたい」


その日の夜、私とレオンは、通信で互いのことを報告し合っていた。


今日も特に異常はなく、進みも順調だと聞いて、ほっとしているところだ。


『ああ。幼くしてやるべきことを見つけたアーサー殿下からは、学ぶことも多いだろうからな。ゆっくり話す機会が持てると良いな』


私の方もお茶会のことを話したのだが、レイ君やリーナちゃんにも関わってくることだからだろう、結構前のめりの反応を返してくれる。


いや、私は普通に仲良くなれるといいなーくらいにしか思ってないんだけどね?


レオンって意外と教育熱心なのかな?


甥姪でもこれなのだ、もし子どもができたら……なんて考えてしまうのは、お約束だろうか。


『ルリ?』


「え?あっ、ごめん!ぼーっとしてた」


いけないいけない、と雑念を振り払う。


通信の向こうでレオンが訝しんでいるのが分かったが、あえて気付かないふりをしよう。


「お茶会がどうだったかは、リーナちゃんたちからちゃんと聞いて、レオンにも伝えるね。良い報告ができるように、私も準備のお手伝い、頑張るよ」


嘘は言っていない。これは本心だ。


ちょっと誤魔化した感はあるけれど。


そんな感じで今日のプチ報告会は終わり、おやすみなさいをして通信を切った。


「みんな元気にしているみたいで良かった。どうか、明日も無事にレオンと話ができますように」


窓から覗く星空を見上げて、そう呟いた。






そうして互いに順調だという報告を繰り返し、一週間が経った。


レオンたちは無事に森に到着し、着々と魔物退治を行っているものの、まだヒュドラには遭遇していないとのことだ。


少しだけほっとしつつも、早く討伐を終えて帰って来てほしくもある。


長引くとそれだけ神経も使うから、本当は早く遭遇できた方が良いのだろうけど……。


でも、そんな強そうな魔物と戦って、大丈夫だろうかという気持ちにもなる。


その為に出かけたのだけれど……やはり心配なものは心配なのだ。


「ルリせんせい?だいじょうぶ?」


「あっ、リーナちゃん。支度できた……って!か、かわいいい〜!」


ぼんやりとしていると、支度を終えたリーナちゃんとレイ君が現れた。


「新しく作ったドレスもよく似合うね。うん、とってもかわいいよ」


いやいやレイ君のスーツ姿もかなりカッコいいよ!


ご令嬢たちどころか、ご婦人たちもメロメロに違いないよ!


そう、今日は王宮でのお茶会の日。


朝からめかしこんでいたふたりが並んだ姿は、とても見目麗しくて眼福だ。


本当に絵になる兄妹である。


色合いも顔立ちも似ているから、天使の兄妹!って感じ。


あーカメラ欲しい。


「ルリせんせい?かお、とけてるよ?」


「きっとリーナがかわいいからだよ。ほら、父上もよく似た表情をするだろう?」


デレデレしている自覚はあるので、レイ君の言葉を否定はすまい。


それくらい、かわいい!


「あら、かわいらしくできたわね」


そこへ現れたエレオノーラさんも、よもや女神かと見間違えそうな程の美女っぷりだ。


そういえば私、初対面でもそう思ったんだっけ。


見慣れてきたから忘れていたけれど、美男美女率が高くて、異世界って本当にすごいなと改めて思ってしまった。


「ルリも、もう少ししたら出るから、準備しておいてね」


「あ、はい!すみません、私まで」


私はお茶会には出席しないのだが、公園に関してのお仕事があり、王宮に行くことになっているので、一緒に行きましょうと誘われていたのだ。


お見送りもできるし、アルにわざわざ来てもらうのもいつも悪いから、丁度良い。


さあ、みんな今日も頑張ろう。






「ありがとうございました。では、私はここで。レイ君、リーナちゃん、頑張ってね」


「ルリ様も、お仕事頑張って下さいね」


「ルリせんせい、いってらっしゃい!」


王宮に着くと、先に私が降り、三人を見送る。


私を降ろしたラピスラズリ家の馬車も、きらびやかな馬車が並ぶ方へと向かう。


うーん、随分と華やかなお茶会になりそうだ。


ヴィオラちゃんとアーサー君も、頑張れ!


姿は見えないけれど、お茶会が開かれる庭園の方を向いて、心の中で激励をとばす。


「さて、私はお仕事お仕事。今日は帰って来たリアムさんと会う日だしね」


どんな報告をしてくれるのだろう、今から楽しみだ。


「おや、随分と気合が入っていますね」


「うん、みんな頑張っているんだから、私も!って、ね」


出迎えてくれちゃうアルに、私はそうにっこりと微笑みかける。


レオンも、紅緒ちゃんも、レイ君もリーナちゃんも。


――――私も。


みんな、頑張れ。

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