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【書籍化&コミカライズ】規格外スキルの持ち主ですが、聖女になんてなりませんっ!~チート聖女はちびっこと平穏に暮らしたいので実力をひた隠す~  作者: 沙夜
第一章

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魔法講座

暫く辻馬車に乗り市井に着くと、そこは活気に溢れていた。


孤児院まで、少し歩くらしい。


二人で並んで歩いていると、女性の視線がビシビシ当たって辛い…。


すみません、美形の隣がこんな女で。


「レオンハルトさんは、王宮に勤めてらっしゃるのですよね?第二、と言うことは騎士団にも種類があるのですか?」


居たたまれなくて、会話をして気を紛らわす事にした。


「ああ、第一は所謂近衛だな。王族と…今は聖女様の警護が主な仕事だ。」


ドクン


「聖女様…ですか」


「ああ、今代はお二人おられる」


「レオンハルトさんは、聖女様にお会いしたことが?」


「…一度だけ、ある」


「そうですか…。どんな方々だったか、聞いても良いですか?」


「まあ、隠している訳ではないし、良いのではないか?そうだな…お一人はまだお若くて、少々気の強そうな黒髪赤目の少女だった。もうお一方は茶髪に金目で、私より少し年上のようだが常にニコニコしていて、天真爛漫な方らしい。」


「そう、なんですね」


恐らく一緒に召喚された人達。


私と同じ世界から来たのか、この世界で生きることを受け入れたのか、王宮でどう過ごしているのか…。


聞きたいことは山のようにある。


少し沈んだ顔になってしまったのだろう、レオンハルトさんが顔を覗いてきた。


「あ、ごめんなさい。それで、レオンハルトさんがいる第二騎士団は、どんなお仕事をされているのですか?」


「第二と第三は主に魔物討伐だったり、王都の警備が仕事だな。第二は通称魔法騎士団と呼ばれ、魔法教育を受けている貴族出身が多い。第三は基本腕っぷしで選ばれるので、貴族もいるが平民出身も多いな」


「へえ…と言うことは、レオンハルトさんも魔法を?」


「ああ、それなりに使える」


いやいや、そんな謙遜しなくても。


団長ってことは、きっとかなりの使い手なのだろう。


「貴女も、魔法を?」


ドキッとする。


「…はい、水属性魔法を少しだけ」


嘘ではない。


その他にも、色々使える()()()けど。


実際使ったことがあるのは、水属性魔法と聖属性魔法だけだ。


それも必要な時だけで、むやみやたらには使っていない。


…というか、魔法の使い方が良く分からない。


「そうか。水属性魔法は私達騎士団にとっては貴重な存在でね。もし団員がそれを聞いたら、貴女を勧誘に来るかもしれないな」


「ええ?そんな、大した魔法は使えませんよ。でも、どうして貴重なんです?」


「ああ、知らないのか。水属性魔法は聖属性魔法以外で唯一回復魔法が使えるんだ。知っての通り、聖属性持ちは希少だからな。効果は劣るが、水属性持ちの回復魔法に助けられることは多い」


なるほど。


って言うか、聖属性魔法は希少なのか。


これは絶対に口に出来ないな…。


「そうなんですね。私にも使えるようになるのでしょうか?」


「貴女のレベルにもよるが、練度を上げ魔力操作を鍛えれば使えるようになるかもしれないな」


そうなんだ!


聖属性魔法のカモフラージュの為にも、習得すると良いかもしれない。


「練度と魔力操作、ですか。実は私、全然魔法のことに疎くて。勉強したいなとは思っているんですけど…」


これは本当。


魔法が使える、なんてすごいじゃない?


しかも色々な属性を持っているみたいだから、どんなことが出来るのか興味がある。


「ならば、リリアナと一緒に魔術師の講座を受けてはどうだ?リリアナもじきに4歳だ。学び始めるには良い頃合いだしな」


「なるほど…帰ったら、エドワードさんに相談してみます!あ、でも雇われている私が受講するのって、おかしいです、よね?」


「あの夫婦のことだ、気にしないだろう。私からも口添えしておく」


わあ…レオンハルトさん、面倒見良すぎじゃないですか?


初対面の冷たい雰囲気が嘘のようだ。


こっちが素なのかな?


「ありがとうございます!」


それはもう、満面の笑みで伝えましたよ。


するとレオンハルトさんは一瞬目を見開いたが、すぐに柔らかく微笑んでくれた。


バタバタバタッ!!!


周囲で女性達が倒れたのは、仕方ない事だと思う…。






そうこうしているうちに、孤児院が見えてきた。


「あ、クレアさんだ」


クレアさんもすぐに私達に気付いてくれて、微笑んで手を振ってくれた。


「こんにちは。お待たせしてしまいましたか?」


「いえ、私達も今来たばかりですわ」


そう言うクレアさんの後には、護衛だろうか、背の高い金髪の男性がいた。


「ルイス=アメジストか。今日は姉君の護衛か?」


「これは、団長。はい、姉が孤児院に行く日はいつも付き合わされているんです。それにしても、団長も…?」


「ああ、姪の家庭教師だ。お前の姉君に誘われたから、護衛を頼むと兄夫婦に言われてね」


団長が…!?とルイスさんは驚愕の表情だったが、気持ちは分かる。


普通、こんなことに付き合わされる地位の人ではないはずだ。


「ああ、これは騎士団に所属しております、私の不肖の弟です。荷物持ちに丁度良く、子ども達の良い遊び相手でして。どうぞよろしくお願いします、ルリ様。魔法騎士団長殿も、いつも愚弟がお世話になっております。」


「不肖に愚弟って…。まあ良いけど。ルイス=アメジストです。今日はよろしく」


ルイスさんは人好きのする笑顔で握手を求めて来た。


「ルリと申します。よろしくお願いします」


貴族の方だろうに、気取ったところがないのは親しみやすい。


少し躊躇ったが、握手を返した。


「ルリさんって、貴族じゃないんですか?意外だなあ。まあ、俺はそういうのあんまり気にしないから、ルリさんも普通にして下さいね」


まあ、普通に考えたら侯爵令嬢の家庭教師が庶民ってあり得ないよね。


あはは、と笑って誤魔化しておいた。


「自己紹介はその辺りにして、そろそろ行きましょう。」


「そうだな。…そう言えばこの荷物は、何が入っているんだ?」


「あ、それは…」


瑠璃先生のお遊びグッズとお土産ボックスです!

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