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【書籍化&コミカライズ】規格外スキルの持ち主ですが、聖女になんてなりませんっ!~チート聖女はちびっこと平穏に暮らしたいので実力をひた隠す~  作者: 沙夜
第五章

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おつまみ

こうして公園での視察は終わり、候補者選びも最後の話し合いで決めることになった。


「ふむ。ではこの方でよろしいですかな」


「はい、きっと良い環境作りに励んで下さると思います」


シトリン伯爵も納得の人選で、また一歩前に進んだ気がする。


これから公園がもっと賑やかになって、数が増えていくと良いな。


子どもたちが安心して思い切り遊べる場所。


そして、よりよい学びの場所が増えますように。





次の日。


昨夜通信した際に、レオンが丁度泊まりに来ようと思っていたんだと言ってくれたので、朝から私は厨房にいた。


夜……明日休みだって言ってたし、お酒も飲むかもな。


そういえば、この世界に来てから私、全然お酒を飲んでいない。


それほど強い方ではないし、リーナちゃんを寝かしつけたりしてたから、飲もうっていう気にならなかっただけだけど。


でも、晩酌にちょこっとだけ飲むの、好きだったんだよなぁ。


エレオノーラさんも時々ワインとか飲んでるし、先日のお披露目会でも女性が飲んでいる姿をたくさん見てきたから、この世界も女性がお酒を飲むのは悪いことではないのだろう。


多分私が飲みたいと言えばマーサさんやマリアが出してくれそうだけど、うーん……。


カクテル的な甘いやつ、あるかしら?


それか、ワインがあるならサングリアとか作っても良いかも。


フルーツとハーブと……って。ちょっと待てよ。


ハーブ+ワイン+私が作る=お酒のポーション?


まさか……いや、考えられる。


確かに、ハーブティーなんてお上品なモノ飲めるかー!的な第三の騎士さんもいたのよね。


彼らにはこちらの方が?


いや、うっかり開発なんてしようものなら、またアルや陛下にジト目で見られる。


と、とりあえず保留にして今度相談してみましょう。


報・連・相は大事よね!


「なに百面相してるんだ?ルリ」


「あ、テオさん。いえ、何でもないです」


危ない危ない、変な目で見られてしまっていた。


話を戻して……。レオンが飲むなら、私も少し頂いてみようかな?


それ用のおつまみとかも作ってみよう。


ワインに合わせるなら……ブルスケッタとかかな。


お洒落に言ってみたが、まあ要するに、輪切りにしたバゲットに具材を乗せたものだ。


トマトやバジル、アボカドや玉ねぎ、ニンニクにチーズなど、色んな組み合わせで乗せて焼くと美味しい。


あ、チーズフォンデュとかもいいよね!


ガーリックポテトとかも合いそう!


久しぶりに食べたーい!!


「るりせんせい、きょうはなにつくるの?」


想像の中でほっぺたを落としていると、ひょっこりとリーナちゃんが現れた。


うん、あどけない表情が今日もかわいい。


今日はリーナちゃんもお休みの日かな?


「うーんとね、今夜レオンが来ることになっているから、お酒に合うお料理を考えてたの」


ちなみにレオンはお酒が強いし、結構好きだ。


一緒に飲むエドワードさんが赤い顔をしていても、平気な顔をして次々とグラスを空けている。


「おさけ……そっかぁ」


しょぼんとして、リーナちゃんが少し俯く。


あれ?もしかして……


「お酒、飲めないから残念だなぁとか思ってる?」


「!う、うん……」


やっぱりのかわいい理由に、思わずくすくすと笑いが零れる。


子どもの頃に、みんな一度は思うよね。


お酒が飲める=大人!っていう憧れもあるしね。


あ、それなら……。


「子どものお酒、作ってみようか?」


「!そんなのあるの!?つくってみたい!!」


私の言葉に、リーナちゃんが目を輝かせてがばっと顔を上げた。


わ〜元から大きい目を、さらに大きく見開いちゃって。


キラキラした眼差しが眩しいわぁ。


きっとレイ君も飲みたがるだろうしね!ついでだし、私もそれにしようかな?


「旦那様の分も作った方が良いぞ。泣かれたくないならな」


そこへ的確すぎるテオさんからの声が。


そうだった、この家にはもうひとり、甘党の当主様がいらっしゃるのだった。


「は、は〜い。忘れてなんていませんよー」


じとりと見られたが、無視無視!


「作ろうと思ってる料理も、辛かったり苦かったりしないから、リーナちゃんたちも美味しく食べられるよ!手伝ってくれる?」


「うん!きょうはおひるから、くれあせんせいのれっすんなの。だから、それまではるりせんせいといる!」


おお。久々に一緒にのんびりできそうで、リーナちゃんも嬉しそうだ。


「なら、今から簡単に下準備をしちゃいましょう。クレアさんのレッスンが終わったら、仕上げをしようね」


「うん!」


ということで、久々のリーナちゃんとレッツクッキング!


リーナちゃんが一緒だから楽しいし、レオンやみんなが美味しいって言ってくれるように、頑張って作りたい。


新しい料理、喜んでくれるかな?






野菜のカットや下茹でを終えた後、午前中の余った時間は、リーナちゃんのお部屋で絵本を読んだりお絵描きしたりした。


リーナちゃんてばものすごく絵が上手になったの。


本人も好きみたいで、普段から時間がある時は、たくさん描いている。


……そして未だにレイ君の絵を拝見したことがないのだけれど、苦手って話はほんとうなのかしら?


うーん、見てみたい……。


そんなことを考えていると、コンコンと扉がノックされてレイくんの声が聞こえた。


噂をすればなんとやらだ。タイミング良すぎじゃない?


「おや、良かったね。ルリ様を今日は独占かい?少しだけご一緒しても良いですか?」


どうやらレイ君も少しだけ時間が空いたらしい。


「あ、それならみんなでお絵描きしりとりでも……」


「いえ。別のことをして遊びましょう!」


ためしに聞いてみたのだが、やっぱり断られてしまった。


残念。でもいつか見せてほしいな。


ちなみにお子様用お酒を作ることを告げると、顔を綻ばせて、楽しみにしています!と応えてくれた。


相変わらずこちらもかわいい。


さて、今日も楽しい一日になりそうだ。


久しぶりの、のんびりとした空気に、私も肩の力を抜いてふたりに笑顔を向けた。

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