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【書籍化&コミカライズ】規格外スキルの持ち主ですが、聖女になんてなりませんっ!~チート聖女はちびっこと平穏に暮らしたいので実力をひた隠す~  作者: 沙夜
第五章

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吐息

レオンの部屋は、リーナちゃんの部屋から少し離れている。


何となく手を繋いで歩いていると、廊下に足音だけが響いていて、ちょっと落ち着かない。


は、早く着かないかな……。


この居た堪れない空気、どうにかしてほしい。


心の中でひとりあわあわしていると、隣で笑った気配がした。


見上げれば、やはりレオンの口が弧を描いていた。


「緊張してる?」


「だからっ……そういうこと、聞かないでよ……」


批判しようと思ったのに、尻すぼみになってしまったのは、レオンがあまりにも嬉しそうだったから。


いつの間にかレオンの部屋の前に来ていて、扉が開かれた。


カーテンが引かれていたので、思っていたよりも月明かりでレオンの顔がよく見える。


そっと手を引かれ、ベットに導かれて腰を下ろすと、レオンも隣に座った。


「そういえば、例のポーションだが、騎士団での訓練時にも使われるようになったんだ」


「え?あ、うん。いざという時に飲み慣れてないと抵抗があるかもしれないから、訓練でも使っていこうって話になって……」


騎士さん達の中でも、飲むだけで回復するから時間もあまりかからないし、使いやすいって評判だと聞いたけれど……。


なぜ今、そんな話を?


「これから先、きっとポーションはたくさんの騎士を救うだろう。騎士だけでなく、ひょっとしたら病院などでも使われるようになるかもしれない。そんな、大きな可能性のあるものを生み出してくれた貴女達を、俺は、この国の者たちは、尊敬し、感謝している」


それから、先日のお披露目会で私達が退席した後も、魔物討伐などの功績を称える者が多かったと教えてくれた。


警備の任があったからちらほらとしか聞いていなかったが、と笑って。


「図々しいが、誇らしく思ったよ。それと同時に、そんな素晴らしい女性が恋人であることを、幸せだとも」


「レオン、褒めすぎ……。私、そんなにすごくない。周りのみんなに助けてもらっているから出来たことばかりだもの」


「貴女がそういう人間だから、みんな助けたくなるんだ。それに」


レオンはそこまで言うと、言葉を切り、とん、と軽く私の肩を押した。


わ、と驚くと銀色の髪が舞ってベッドに仰向けになる。


「そんなルリだから、俺は君を愛しくてたまらないと思ってしまう」


「あ……」


縫い留めるように手が顔の横に置かれ、押し倒されたのだと理解するまで、しばらく掛かってしまった。


ゆっくりと降りてくる唇が、私のそれと重なる。


鼓動、うるさい……。


そうして啄むようなキスが繰り返されながら、片方の手も絡ませられる。


重なった部分から感じるレオンの体温は、少しいつもよりも高い気がする。


だけどその熱さが、体にかかる重みが、愛おしい。


自然と空いている方の手が、レオンの首の裏に伸びて、縋るように抱き締めた。


すると絡んでいた手が、ぎゅっと握られる。


と同時に、キスも深くなる。


「ふ、ぅっ……」


鼻にかかるような声が零れてしまい、羞恥心で私もぎゅっとレオンの服を握ってしまった。


「声、我慢しなくて良い。感じたままに出せば。防音魔法は施してある」


そんなこと言われても……!と思ったが、我慢できずに零れてしまう。


段々と息が苦しくなってきて、目に涙が滲んだ頃、やっと唇が解放された。


くたりと力なく横たわる私を、レオンがくすりと笑う。


「相変わらず慣れていないな。キスだけでそんなに可愛くなってしまうのだな」


し、仕方ないじゃない!全部初めてだもの……!


そう批判したかったけれど、声には出せなかった。


「睨んでも、可愛いだけだぞ」


ちゅ、と今度はこめかみにキスが落ちる。


そのまま目尻や頬、と段々移動していく。


柔らかい感触がくすぐったくて、目をきゅっと閉じてそれに耐えた。


すると突然、耳朶を啄まれ、予想外の刺激に体が跳ねた。


「きゃっ!?」


「ああ、思った通り。声にも弱いが、刺激にも弱いのだな」


耳元に直接囁かれ、ぞくぞくとした何かが私の背中を走る。


「おいで」


ぎゅっと引き寄せられたかと思うと、上体を起こしてうしろから抱き締められるような体勢にされた。


「もっと身体、楽にして。そう、上手だ」


レオンの腕と胸に寄りかかるようにされると、また耳元を攻められた。


キスの音や吐息が直接入ってきて、その度にびくりと体が震える。


抱き締められながら、ゆるゆると体を撫でられて、それも私の体温を高めた。


やめてと震えた声を上げても、小さく笑うだけで、止めてはもらえなかった。


もう無理……!と思い、振り返ってぎゅっと抱き着き、私から唇を重ねる。


これなら耳を刺激されずに済むと思ったからだ。


「意外と積極的だな」


ち、違う!


その言葉は、レオンの深いキスで封じ込められてしまった。


ダメだ、全然抵抗できない。


レオンの思うがままにされているのがちょっぴり悔しいけれど、それも嫌じゃない。


それに、触れ合えることが、こんなに嬉しい。


このまま、レオンと。


そう思った、その時。


『レオン、すまない』


急に聞こえたその通信魔法の声に、私とレオンは固まったのだった――――。

今回も短め。

すみません(^^;)

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― 新着の感想 ―
[一言] えぇぇぇここで邪魔が入っちゃうんですか?! もうこっち(私)はそのつもりなのにー!! いや、でもまだ始まってないから逆にセーフなのか?(笑) 何が起こったんでしょうか? 続きが気になります…
[一言] リア充、爆ぜろ!x2
[一言] おいおい通信魔法の相手、すげえタイミング悪いところでかけて来ちゃいましたね(いざこれから「頂きます!」ってところでお預け喰らうハメに) まあこのまま続いてたら色々と制限入ったでしょうし、瑠璃…
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