表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化&コミカライズ】規格外スキルの持ち主ですが、聖女になんてなりませんっ!~チート聖女はちびっこと平穏に暮らしたいので実力をひた隠す~  作者: 沙夜
第五章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

191/283

相性

「なっ……わ、私の娘は花の妖精だったのか!?」


カッ!とエドワードさんが目を見開く。


「父上、大げさでは……。確かにリーナはかわいいですけど」


リーナちゃんを褒めながらも冷静にツッコんだのは、レイ君。


「えへへ。るりせんせいにつくってもらったの」


「あらリーナ、かわいくしてもらったのね」


用意ができたと呼ばれたので、シートの敷かれた木陰に戻ると、みんなは口々に花冠を乗せたリーナちゃんを褒め称えた。


もちろんエドワードさんはがばっと抱き着いた。


かわいいかわいいと連呼するエドワードさんを呆れたように見つめるレイ君。


それを見て笑うエレオノーラさんとレオン、という構図になっている。


マーサさんとマリアも、控えめながら笑っているのが分かる。


「まあまあ。とりあえずみんなでお弁当、頂きましょう?」


予想通りすぎるみんなの反応に苦笑いしながらそう伝えると、そうだねと腰を下ろし始めた。


そうしてマリアがお弁当の蓋を開けると、感嘆の声が上がる。


「素敵!このお花、食べられるの?」


「これは以前リーナの誕生パーティでも使われていたピックですか?少しずつ色々な具材が刺してあって楽しいですね」


エレオノーラさんとレイ君が興味津々でお弁当を覗いてきた。


エドワードさんはさすがリーナとルリだな!とにこにこしている。


そんなみんなの反応に、リーナちゃんも満足そうだ。


「目にも楽しいとは、ピクニックに最適だな。リーナもありがとう。早速頂くよ」


リーナちゃんの頭を撫でるレオンの言葉を受け、みんなはそれぞれ好きな品に手をつけ始める。


美味しい!と声が上がって、私はリーナちゃんと目を見合わせて微笑んだ。


一生懸命作ったものを喜んでもらえるのって、嬉しいことよね。


しばらく忙しい日が続いていたから、こうやってみんなでのんびり出来るのが、すごく大切な時間に感じる。


「ふふ、みなさんたくさん食べて下さいね」


さあ、明日からも頑張ろう!って思えるから。






「そういえばルリ、この間ヴァイオレット殿下とアーサー殿下に会ったんだって?」


食後のお茶を頂いていると、思い出したようにエドワードさんが聞いてきた。


「あ、そうなんです。実は――――」


そこで、紅緒ちゃんや黄華さんとの会話から、回復効果のあるハーブティーを作れないかと思ったこと、薬草園を両殿下に案内してもらったこと、シーラ先生と一緒に試験的に作ってみたことなどを、かいつまんで説明する。


「でも期待したほどの効果はなくて。また明日、シーラ先生とカルロスさんにも相談に乗ってもらいながら、一緒に作る約束はしてるんですけど。あ、ちなみにおふたりの殿下はとてもかわいらしかったです」


仲良くなりたいです!と思いを込めて言えば、それが伝わったようで大人達は苦笑いを零している。


「聞いたところによると、アーサー殿下とはかなり会話も弾んだようだね?」


「弾んだ、のでしょうか?普通に薬草についてのお話とかはしましたけど。でも、ヴァイオレットちゃ……いえ殿下とは、ほとんど挨拶だけで。次にもし機会があれば、ぜひお話したいです」


妹殿下をちゃん呼びしそうになったことに、みんなは気付いたみたいだけれど、特に嗜められはしなかった。


その代わり、さすがルリだなとレオンに言われた。


さすがって何!?


「あ、そうそう、アーサー殿下はとても植物に詳しくて、リーナちゃんと話が合いそうだなって思ったよ」


「わたし?」


突然話を振られて、リーナちゃんがきょとんとする。


「うん、薬草をすごく大切に育ててるのが分かったもの。リーナちゃんと一緒だなって」


アーサー君の方が年も少し上で、やんちゃな感じじゃないから、お兄ちゃんみたいな感じで付き合えそうだなって思ったのよね。


リーナちゃん、女の子の友達は少しずつ増えてきているみたいだけど、男の子とはやっぱりなかなか話せないみたいだから。


レイ君と同じ位の年齢で穏やかな性格、似た趣味があるなら、馴染みやすいかなぁって思ったんだけれど……。


「ダメだ」


「ダメです」


父と兄にキッパリと拒否されてしまった。


なぜ?と思ったんだけど、どうやら年齢的に婚約者に選ばれる可能性があるらしくて……。


「「小さい時から目を付けられたくない」」らしい。


娘と妹を取られたくない父・兄心のようだ。


「……まあ、そうならないとは言い切れないな」


レオンもちょっと嫌そうに眉根を寄せている。


うーん、これだけの保護者がついていると難しい。


一時期モンスターペアレントなんて言葉が流行った時もあったけれど、一瞬その言葉が頭をよぎった。


リーナちゃん、お嫁に行けるかしら?


まあでもかなり未来の話だし、アーサー君はそう簡単にお会いできる立場の子じゃないしね。


ただの思い付きだったので、流してもらおう。


「あら、でもレイはアーサー殿下と同い年だから、学園に入ったら一緒に学ぶことになるわね。仲良くするのよ?」


エレオノーラさんの言葉に、ああそうですねとレイ君が返す。


そっか、同じくらいだとは思ったけれど、同い年かぁ。


「じゃあレイ君、友達になれると良いね」


「……まあ、そうですね」


ふふ、照れてるのかな?耳が赤い。


しかし、こうなるとアーサー君はともかく、ヴァイオレットちゃんとはなかなか接点が無いなぁ。


また会えると良いなとは思うんだけど。


そんなことを考えていると、話はハーブティーへと戻る。


どんな薬草を使ったのかとか、どんな効果があったのかなど、エドワードさんやエレオノーラさんからの質問に答えていく。


まあ、たった二種類でしか作ってないので、まだ分からないことの方が多いんだけど。


でも、私が思ったように、そういう薬効みたいなのがあると、病院などでも重宝されそうだと言われた。


「……それって、いろいろまぜてもいいの?」


と、ぽつりとリーナちゃんが言った。


え?とリーナちゃんの方を向くと、頭上の花冠を取って見つめていた。


「これ、しろいおはなだけでもかわいかったけど、ほかのおはなもまぜたら、もっとかわいくなった。その、はーぶてぃー?も、まぜるといいのかなぁって」


……なるほど。


確かに紅茶もブレンドしたりするしね。


そんなにハーブティーに詳しくないから、とりあえずメジャーなミントティーを作ってみたけど、混ぜても良かったのかもしれない。


ひょっとしたら、相性の良いものとかもあるかも。


「――――うん、明日やってみるね。ありがとうリーナちゃん!」


なんかちょっと希望が見えてきたかも!


「ううん。あ、あとね、――――」


リーナちゃんからのアドバイスを受け、明日の実験が楽しみになったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] まあ王族になると何かと大変ですからね。 大事な娘を偉い人から目をつけられたくない親心は分かります。 でもこの調子だとリーナちゃんお嫁に行けない気がする…保護者多すぎ問題。 流石にお嫁…
[一言] 婚約者……異世界ファンタジーのお貴族様はそれがありましたね。 最近はやりの悪役令嬢ものだと転生ヒロイン辺りに横取りされてからの痛快復讐劇みたいなのがお約束になってますが、こっちではそういう事…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ