表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化&コミカライズ】規格外スキルの持ち主ですが、聖女になんてなりませんっ!~チート聖女はちびっこと平穏に暮らしたいので実力をひた隠す~  作者: 沙夜
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/283

彼女の意志

エドワードさんの弟さんの治療を行った後、私は一人馬車の中で自分のステータスを見ていた。


先程の魔法でどれくらいのMPを消費したのか知りたかったからだ。


セバスさんが御者をしてくれているので、こっそりと。


すると、その変化に目を見張ることとなった。


************

和泉 瑠璃

癒しの聖女Lv.8

HP:510//1035

MP:1528//1652


魔法:聖属性魔法 Lv.MAX ・ 水属性魔法 Lv.37

風属性魔法 Lv.20 ・ 光属性魔法 Lv.20

火属性魔法 Lv.10 ・ 土属性魔法 Lv.10

闇属性魔法 Lv.5

スキル:鑑定 Lv.MAX ・ 癒しの子守り唄 Lv.8

料理 Lv.3 new

************


なんか、いろいろレベルアップしてる…。


聖女としてのレベルかな?が、3から8に上がってるけど、普通のRPGだと、敵を倒さないとレベルって上がらないよね?


私がやってる事と言えば、野菜を育てる事と遊ぶ事、それに料理くらいだ。


それでどうやってレベルが上がったんだろう…。


料理、というスキルが増えるのは分かるけど。


あと、MPの減り具合から考えると、やっぱり解呪の魔法はなかなか消費が大きいようだ。


とは言っても、元々の値が大きいのでそこまで減った感じはしないけれど。


分からないこともあるけれど、まあこの世界にはこの世界のルールがあるのだろう。


そんなことを考えていたら、いつの間にかラピスラズリ邸に着いたらしく、セバスさんがドアの外から声を掛けてきたため、慌ててステータスを消した。


「ルリ様、お疲れ様でした。すっかり遅くなってしまいましたな。旦那様より、明日は午前中ゆっくりされるようにとの事です」


「そうですか…お気遣い、ありがとうございますと伝えて頂けますか?」


勿論です、とセバスさんは微笑み、部屋まで送ってくれた。


シャワーを済ませベッドに入ると、さすがに疲れていたようで、すぐに眠気に襲われる。


「今日は、色んな事があったなあ…。リーナちゃんとアリスちゃん、仲良くなれて、良かった…。あ、弟さん…レオンさんだっけ?早く、目が覚めると、いい…」


そこまで呟いて、私の意識は沈んだ。







あれから一週間が経ち、夜、リーナちゃんが寝た後、エレオノーラさん達の部屋によばれた。


何だろうと思って訪ねると、弟さん(本当はレオンハルトさんと言うらしい)が全快し、無事に職場復帰も果たしたとエドワードさんが教えてくれた。


良かったです、とホッとして伝える。


「どうやら、治してくれた魔術師を探しているみたいよ」


「え…」


「私の所にどこの誰だだの、お礼を言いたいから今は何処にいるのか教えろだの、しつこく聞いてくるんだ。なかなか諦めてくれなくてね」


「…いえ、このまま黙っていて下さい。別に、特別なことをしたわけではないんですから」


お礼を言いたいという気持ちは有り難いが、平穏を守るためには仕方がないのだ。


まあ、そのうち諦めてくれるだろう。


「そうか、気持ちが変わらないのなら仕方ない。あいつには悪いが、黙っているよ」


「すみません…。でも、元気になって良かった、という気持ちは本物なので」


「ああ、本当に助かった。有り難う」


にこりと笑顔を返して、その場を辞する。








「…ルリは、頑なねぇ」


「まあ、約束だからな。仕方ないさ」


ラピスラズリ侯爵夫妻は、どちらともなく瑠璃が出ていった扉を見つめた。


「それにしても、()()騎士団長殿がそんなに気にするなんて珍しいのではない?そう簡単に諦めるかしら?」


「そうだな、私もあいつのあんな姿は初めて見るよ。私があまりに話さないので、この屋敷に突撃するくらいはやるかもしれないね。それと、魘されている間も僅かに意識はあったのか、どうやら女性だったということは分かっているようだ」


ひょっとしたら?ひょっとするかもね、と夫婦は互いに頷き合いながら、事態を楽しむかのように微笑んだ。


しかし、思い出したかのようなエレオノーラの言葉で、空気は真剣なものへと変わる。


「話は変わるのだけれど、テオドールからの報告で、例のクッキーには体力回復の効果がついていたみたい。ああ、あと、型抜きの事も。素晴らしいアイディアだと絶賛していたわ」


「そうか…アルトじーさんからも、最近庭園の植物の病気が激減している、と聞いている。因みに、リーナが育てているという野菜だが、通常よりも育ちが良すぎるらしい」


リリアナへの影響。


目新しすぎる考えの数々。


レオンハルトの回復。


そして、聖女召喚と彼女が現れた時期が被ること。


「…まさか」


「私もそう思ったさ。国外から来たにしても、あまりにも私達の常識を越えた事をやっているからね。しかし、喚ばれて王宮に現れた聖女は、二人だ。それは間違いない」


「でも、もしそうだった場合、どうするつもり?」


「ルリの事は、この家の者達皆が好ましいと思っている。私も恩がある。君もそうだろう?…どちらにしろ、できるだけ彼女の意志に添うよう、善処するつもりだ」







「良かった、無事に治って」


自室の窓から見える、ぽっかりとした月を見ながらそう呟く。


「まあ、エドワードさんの弟さんだし、これから会うことはあるかもしれないけど、知らんぷりしないとね」


あの時、僅かだが手を握り返された。


大丈夫だとは思うが、確実に意識がなかったとは言い切れない。


ふと自分の胸元までかかった、もう見慣れた銀色の髪に目を向ける。


リーナちゃんといる時にいつも纏めているそれを、今は下ろしていた。


そう言えばあの夜も下ろしていたな、と思い出す。


「…念のため、いつ会うか分からないんだし、日中は纏めておこう。念には念を、よね」


聖女だと、知られたくはないから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] HP:510//1035 MP:1528//1652 「MPの減り具合」とあるのに、HPの方が減っている?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ