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【書籍化&コミカライズ】規格外スキルの持ち主ですが、聖女になんてなりませんっ!~チート聖女はちびっこと平穏に暮らしたいので実力をひた隠す~  作者: 沙夜
第五章

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リラックス

ハーブティーの試作を作った後。


結局私は良い考えが浮かばず、ここ二日程は公園事業にかかりきりになっていた。


「そうなんですね……。でも、効果が小さかったとしても、十分すごい発見だと俺は思いますけど」


「そうですね。お店で売るなら十分な効果です。専門店でも開いてみますか?」


「いやいや。お店まで開いたら、私いったい何者?って感じだし……」


この国の特許的なものを取ることを薦めてきたアルに、ルイスさんも良いですねそれ、と乗ってきた。


どこまで本気で言っているのか分からないけれど、とりあえずあははと笑って返す。


シトリン伯爵との打ち合わせの後、同席していたルイスさんがまだ時間があると言うので、一緒にお茶を飲みながら、ハーブティーのことを話していたのだ。


ルイスさん、第二の騎士さんなんだけど、孤児院の砂場を作ったことからシトリン伯爵に呼ばれるようになり、建設だけじゃなくて孤児院の子ども達にも詳しいため、時々訓練を抜けて協力してもらっている。


ちなみにこの前の討伐の時も、留守番組になったのはこのためだ。


シトリン伯爵にも、かなり気に入られているみたい。


『俺、もちろん騎士の仕事も大事だけど、こっちの仕事も嫌いじゃ無いんですよね。子ども好きだし。戦うだけが騎士じゃないですから、俺に出来ることは協力したいと思ってます』


と本人も言っていた。


確かにルイスさん、子ども達に人気もあるし、打ち合わせしててもすごく良い意見言ってくれるのよね。


現場を知っている人の意見ってすごく大事だから、孤児院の先生達の話も聞いて、色々と提案してくれている。


働く側の処遇をしっかりしておくのも、人材確保には大切なことだ。


「んー、そういう効果がある植物って、他にないんですか?たとえば、この紅茶の茶葉とか。元々の効果が高いものを見つけられたら良いんですけどね」


「私もそう思って色んな茶葉とか果物とかを鑑定してみたんだけど……。残念ながらほとんどが効果無し。体に良いって言われている物には“微”の効果が付いていることが多いわね」


そっかーと三人でため息をつく。


まあ元の世界のハーブティーだってそんな感じだったんだから、いくら異世界でもそうそう都合良くいかないわよね。


「あ、っとすいません。そろそろ俺行かなくちゃ」


時計を見てルイスさんが腰を上げる。


「ほんとだ、もうこんな時間。訓練、頑張ってね」


「はい!この後ルリさんの所に泊まりに行くなら、今日の団長は機嫌良いはずですし、大丈夫です!」


あははと笑うルイスさんに、顔が赤くなる。


まだそうやってからかわれるのには、慣れない。


でもレオンも楽しみにしていてくれてるのかなって思うと、私もちょっぴり嬉しくなる。


手を振って見送ると、アルがルイスさんに、もう吹っ切れたんですか?と聞いていた。


それに対してうるさいですよ!とルイスさんは返し、部屋から出て行った。


「?ルイスさん何かあったの?」


「いえ、ルリ様はお気になさらずに」


にっこりとしたアルの微笑みからは、何も読み取れなかった。


……よく分からないやりとりだったけれど、ふたりも仲良くなったものだ。


というか、意外とアルってばみんなと仲良しよね。


このところ雰囲気も柔らかくなったし、うん、良いことだ。


「……何ですか」


「ううん?何でもないよー」


ちょっと赤くなって睨まれても、ちっとも恐くなんてないんだからね?






「れおんおじさま、いらっしゃい!」


「お疲れ様です、叔父上」


「ああ、わざわざ出迎えてくれたのか?レイもリーナも、また少し大きくなったな」


その日の夕食前、レオンがラピスラズリ邸へやって来た。


ふたりの頭を撫でてレオンが優しげに微笑む姿に、心がほっこりする。


「ルリも、わざわざ悪いな」


「ううん、訓練お疲れ様。今日の夕食、レオンが久しぶりに帰って来るからって、テオさんがかなり張り切ってたみたいよ」


そうなのか?とふっと砕けた笑いを零す。


ラピスラズリ邸でのレオンは、王宮で会うときよりも肩の力が抜けていて、リラックスしているんだなって思う。


引き締まった顔ももちろんかっこいいけれど、こうした自然な姿はもっと良いなって思う。


嬉しそうなリーナちゃんと、恥ずかしがりながらも大人しく撫でられているレイ君の姿も、すごくかわいい。


ほんわかした空気に癒やされていると、いつの間にかレオンが隣に来ていた。


「そんなに見つめて、羨ましかったのか?後でふたりきりになったら、うんと甘やかしてあげるぞ?」


「へっ!?い、いやそんなつもりで見てた訳じゃないから!」


それは残念と耳元で囁かれる。


だ、だからそこはくすぐったいからやめてってばー!


はっとしてお子様ふたりの方を見ると、にこにこしたリーナちゃんと、生暖かい目をしたレイ君と目が合う。


「あ、僕達のことはお気になさらず」


「きょうも、とってもなかよしだね!」


いやあああー!


「ちょっとレオン……」


「大丈夫だ、ふたりは兄上と義姉上の姿を見慣れているからな」


離れてと言おうとしたのに、逆にぴたりと腰を引き寄せられてしまった。


全然大丈夫じゃなーい!


「父上と母上はもっとすごいですから、別に何とも思いませんよ?」


「ぎゅーってしたり、ちゅってしたりしてるよ?るりせんせいたちは、しないの?」


ちょっとエドワードさん、エレオノーラさん、子ども達の前でいったい何してるんですか!?


確かにキスしたりしてるところは見たことある、けど……。


「どうする?もっとやれと言われてるが」


「言われてないし、やりませーん!もおっ、そろそろ離れて!!」


はいはいとくすくす笑って、レオンが一歩離れる。


か、からかわれた……。


真っ赤になった頬をするりと撫でられ、私の体温はまた上がったのだった――――。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 瑠璃先生レオン叔父上…今夜はお楽しみですね^^
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