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【書籍化&コミカライズ】規格外スキルの持ち主ですが、聖女になんてなりませんっ!~チート聖女はちびっこと平穏に暮らしたいので実力をひた隠す~  作者: 沙夜
第一章

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初めての友達

カーテンから零れる日の光に照らされ、徐々に覚醒する。


ああ、ここは日本じゃないんだ。


目を覚ますと思うのは、いつも同じこと。







「んーー!今日も良い天気!!」


カーテンを開けると、一気に部屋が明るくなる。


良かった、お天気で。


だって今日は特別な日。


マリアの娘さん、アリスちゃんが遊びに来る日なんだもの!






ラピスラズリ家の使用人さんは、住み込みの人と通いの人、両方いる。


セバスさんやマーサさんは前者、マリアは後者だ。


乳母さんて泊まり込みじゃないの?とも思ったけど、この世界もミルクがあるし、お世話する使用人も複数いるのが普通なので、通いでも問題ないようだ。


リーナちゃんがアリスちゃんと会ったことがないのも納得。


なので今日は、いつもはお祖母ちゃんに預けているらしいアリスちゃんと一緒に出勤してもらうことにした。


「今日はお世話になります!娘のアリスです」


「ありすです!おねがいしましゅ!!」


ヤバイ、天使が増えた。


マリアに似て、目がくりくりで元気そうな女の子だ。


舌足らずなのが可愛い!!


「ご挨拶が上手なのね、えらいわ。私はルリ。今日一日あなた達の先生よ。よろしくね」


「せんせぇ…!!」


何故かキラキラした目で見られた。


「ああ、従兄弟達が通っている学園の話とかも聞いているので、憧れがあるみたい。まあ、この子が通えるかは微妙な所だけど…」


そうか、学園って基本は貴族が通う所って言ってたっけ。


両親が男爵の次男とか三女とかだと難しいこともあるのね。


でも、そんなの関係ないのに…


教育は平等に受けられるべきだ。


まあ、今そんなことを言っていても仕方がないので、話を戻す。


「さあ、じゃあリーナちゃんもご挨拶しようね」


私の後ろに隠れて様子を見ていたリーナちゃんを促す。


緊張しているのだろう、きゅっと私のスカートを握っているのが可愛い。


そっと頭を撫でると、意を決したように一歩前へ出た。


「り、りりあな=らぴすらずりです」


うん、自分で言えたね、えらい!


少しずつカーテシー?ご令嬢の挨拶も習おうね。


「りりあな、ちゃん?」


「みんなは、りーなってよぶ」


「じゃあ、わたしも!りーなちゃん、よろしく!!」


「…うん。ありすちゃん、てよんでもいい?」


「うん!!」


ここは楽園ですか?


可愛いが×2になるととんでもない威力だ。


マリアを見ると、こちらも邪魔をしないように声は出していないが、悶絶していた。


うん、可愛いよね。


分かる分かる。







まずはリーナちゃんがお絵描きに誘い、アリスちゃんも綺麗なペンと紙に目を輝かせて夢中になって描いていた。


因みに一方だけママがいると良くないかな?と思って、マリアには別の仕事をしてもらっている。


アリスちゃんが程よく積極的なので、リーナちゃんも話しやすいらしく、割と短時間で仲良くなれたと思う。


和やかに遊んでいると、お昼のティータイムの時間が近づいてきた。


「さて、じゃあ今日は今からみんなでお料理するわよ。できたお菓子は、お茶の時間に食べましょうね」


「おりょうり?はーいっ!ありす、やるー!!」


「わ、わたしも、やってみたい…」


お、二人とも食いついたわね。


「うん。楽しいわよ、きっと。でもお片付けが綺麗に終わってからね」


「「はーい!せんせぇ!!」」


楽しいことが待っていると分かると、お片付けも進むもので…。


あっという間に部屋が片付いたので、厨房へ。







ラピスラズリ侯爵家の料理長は、テオドールさんというダンディーなおじ様だ。


テオさん、と呼んでいる。


多分40すぎだと思うんだけど、身体はムキムキで、服の上からでもすごい筋肉なのが分かる。


まあ重いフライパンとか使うんだから、筋力がないといけないもんね。


そして、彫りの深い、整った容姿をしている。


きっと若い頃はモテたんだろうなと思う。


「テオさん、お忙しい時間にすみません。お願いしていた通り、隅っこで良いのでお借りできますか?」


お子様達にもお願いします、と言わせてテオさんに話しかける。


「ああ、構わないよ。それにもう準備も出来てるみたいだ。その代わり、分かってるね」


ニンマリとするテオさんに思わず苦笑が溢れる。


そう、根っからの料理人のテオさんは、物珍しい私の意見や作ったものに興味を持ってくれている。


つまりは、作ったものを味見させてくれ、ということだ。


「あはは…美味しく出来るといいんですけど」


「上手くいかなくても、それはそれで良いのさ。俺はアンタのアイディアに興味があるんだからね」


そうは言われても、どうせなら美味しいと言わせたい。


「…善処します」


テオさんは笑って厨房の端のテーブルを指差した。


「ルリ、準備出来てるわよ」


「あ、ママ!」


そう、マリアにはお料理の準備をお願いしていた。


そして今日作るのは、サンドイッチとクッキー。


お昼のお茶の定番メニュー。


でも、子どもに優しいやつを目指している。


「ありがとう。じゃあ、まずは焼かないといけないから、クッキーから作ろうね。今日は、お野菜のクッキーを作ります」


「やさい…」


これに眉をひそめたのはリーナちゃん。


うーん、敏感。


アリスちゃんはクッキーと聞いて大喜びだ。


「と言っても、甘さのあるニンジンとカボチャだから、色もかわいいし、美味しいよ?」


「あれ?りーなちゃん、きらいなの?」


「う、ううん!やる!たべられる!!」


よし。


お友達の前では強がるよね。


「じゃあ、エプロンをつけて、手を綺麗に洗って…。レッツクッキーング!」

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