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【書籍化&コミカライズ】規格外スキルの持ち主ですが、聖女になんてなりませんっ!~チート聖女はちびっこと平穏に暮らしたいので実力をひた隠す~  作者: 沙夜
第四章

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争奪戦

「お、今日はルリも手伝ってくれるのか?レオンハルト様が来るんだろ?」


「そうなんです。お邪魔でなければ、良いですか?あと、終わったらお菓子も作らせて頂きたくて」


テオさんに手伝いを申し出ると、助かると笑って、すぐに了承してくれた。


今日のメニューは牛のステーキにポトフとサラダ、それにふわふわに焼いたパンだって。


春とはいえ、朝夕は冷えるからね、まだまだ温かい料理が美味しい季節だ。


「どうせなら新しいサラダ、教えてくれないか?他の二品はもう決まっちまってるから変えにくいが、サラダなら大丈夫だからな」


「分かりました!うーん…久々にシーザーサラダが食べたいかも」


リーナちゃんは卵が好きだし、温玉とベーコンが乗っているから、普通のサラダよりレオンのような男性も満足できる一品だ。


「ほう?初めて聞く名前だな。よし、作り方を教えてくれ。おい、みんなも聞いておけよ。ラピスラズリ家の定番になるかもしれんからな」


はははとテオさんが笑うと、料理人さん達が集まってきた。


確かにちょっとオシャレなサラダだけど、作るのは簡単だから、そんなメモとか出さなくても良いんですよ?


野菜は元々予定していたレタスやキュウリ、ベビーリーフにトマトで十分だ。


それにカリカリに焼いたベーコン。


ちょうど肉厚の物があったので、それを使わせてもらうことに。


あとは、温玉か……。


「オンタマ、って何だ?」


テオさんが首を傾げる。


そうですよね、知りませんよね。


でも、一度知ったら病み付きになるんですよ?


「作り方はとっても簡単です。お湯につける、ただそれだけ」


私の調理法にみんなが……は?と口を開けた。


「いやいや、ルリそれはゆで玉子だろ?」


「うーん、ゆで玉子の一段階前、って感じですかね。まあ聞くより見た方が早いです。まず、お鍋に水を1L沸騰させます」


ゆで玉子の一歩手前ってどんなんだ?と言いながらテオさんはじめ料理人の皆さんがザワつく。


ふふ、きっとびっくりするだろうな。


「沸騰しましたね。じゃあ火を止めて水を200cc入れます。少し混ぜたら、玉子を投入!とりあえず4つ入れますね」


何で水?ゆで玉子じゃないの?と言う声がちらほら囁かれる。


「蓋をして15分ほど待てば完成です。あ、今のうちにお菓子の下ごしらえしても良いですか?」


「あ、ああ」


テオさんが呆気にとられてるけど、本当にこれだけなんだもの。


シンプルイズザベスト。


簡単美味しいは正義!


そんなこんなでレオンのためのブランデー入りフルーツケーキの用意をする。


食後の紅茶に合うはずだし、お土産にも良いからね。


紅緖ちゃんもこの前美味しそうに食べてくれてたし、喜んでくれそう。


リーナちゃんと黄華さんはスノーボールとか好きかな?


簡単だし、お土産にするには可愛くて最適だ。


あとはレイ君も好きだし、フルーツゼリーも作ろう。


そんなことを考えながら材料を計量していると、あっという間に15分が経った。


玉子をそっと取り出すと、やはりゆで玉子と同じじゃないかと、不思議そうに見つめられた。


「では割ってみますね」


パカッと割って出てきたものを見て、みんなが目を丸くした。


「ええっ!?」


「何だこれ!?」


「黄身は固まってるのに白身がトロトロ……」


ふふふ、予想通りの反応ありがとうございます!


「おいルリ、どうなってんだこりゃ。普通黄身より白身の方が早く固まるハズだろ?何でこれは逆なんだ?」


「えーっと、確かに固まり始める温度は白身の方が低いんですが、"完全に"固まる温度は黄身の方が低いんです。このお湯は、丁度その絶妙な温度になっているんですよ。その証拠に、白身の部分も少し固まってドロッとしてるでしょ?」


なるほど……!とテオさんも目からウロコのようだ。


「まあ解説はこの辺にして。どうぞ、食べてみて下さい」


出来立ての温玉に塩を少し振ってテオさんに渡す。


テオさんがおそるおそるスプーンで黄身を割ると、程よく半熟になった黄身がトロリと流れる。


うーん、美味しそう!


テオさんも同じように思ったのか、スプーンに乗せた温玉を勢いよく口に入れた。


「!う、うまい!」


カッと目を見開いたテオさんに、他の料理人さんたちも温玉に手を伸ばす。


……が、温玉は残り三つ。


「み、みなさん?」


三つの温玉を前に、ものすごい形相で睨み合う料理人さんたちに、すぐ作れますから!ケンカしないで!と慌てて仲裁に入る私だったーー。







「へえ、それは大変だったな」


「ウチの料理人たちも大人げないわねぇ」


夕食の席で温玉争奪戦のことを話題に出すと、エドワードさんとエレオノーラさんが可笑しそうに笑った。


「でも、本当に美味しいですよこのサラダ。確かにこの玉子はクセになります」


「わたしも、このたまごすき!」


レイ君とリーナちゃんも気に入ってくれたようだ。


厚めに切ったベーコンに玉子が絡んで、とても美味しく出来たと思う。


「これなら野菜もたくさん食べられそうだな。リーナ、ちゃんと食べて偉いぞ」


約束通り夕食時に来てくれたレオンも、褒めてくれた。


ホントだ、リーナちゃん今日はサラダが進んでる。


結局あの後、大量の温玉を作らされ、見習いの料理人さんは玉子の追加まで買いに行っていた。


一人三つくらい食べたんじゃないかな?


でもその量はどうなのかな?と思ったので、玉子の食べ過ぎには注意しておいた。


うーん、温玉恐るべし。


「今日は食後のデザートもルリが作ってくれたんですって?楽しみね」


エレオノーラさんの微笑みに、私も嬉しくなる。


自分の作ったものをこうやって喜んでもらえると嬉しいよね。


「はい!二種類用意したので、良かったら少しずつ両方召し上がって下さいね」


こんな風に穏やかな時間を大切にしたいな。


……でも、自分の力とも向き合わないと。


夕食が済んだら、レオンにちゃんと話そう。


情けない、って言われるかな。


覚悟が足りない、とか。


それでも、こんな私を受け入れてくれるかな。


そうだと良いな……。

前回のシリアス吹き飛びました……

温玉で一話終わってしまいました(´・ω・`)笑

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― 新着の感想 ―
[気になる点] レオンは瑠璃に情けないとか覚悟が足りないとかは言わないと思いますが、自分達が頑張るから無理はしなくても良いとは言うかもですね。 大事なのは瑠璃が何をしたいのかその意志ですね。それがどの…
[良い点] 黄色さん繋りで卵というわけですね!
2021/04/09 07:42 退会済み
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