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【書籍化&コミカライズ】規格外スキルの持ち主ですが、聖女になんてなりませんっ!~チート聖女はちびっこと平穏に暮らしたいので実力をひた隠す~  作者: 沙夜
第一章

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魔法初体験

リーナちゃんのお部屋に行って、マリアさんと一緒にお絵描きをすることにした。


お絵描き、と言ってもクレヨンや色鉛筆みたいなものはこの世界には存在しないようで、子ども用の字を書くペンを用意してもらっていた。


もちろん黒一色だ。


画家さんとかが使う絵の具はあるらしいんだけど。


因みに、お絵描きという遊び自体、一般的ではないらしい。


昨日それを聞いて、そりゃあ絵本なんて無いはずだわ…と納得してしまった。


図鑑とかみたいに、写実的な絵や挿し絵がある偉人伝や歴史書はあるらしい。


でも、絵に頼らないって、子どもにとってはイメージつきにくいんじゃないかな?


そう思って、リーナちゃんが寝ている時間やお絵描き遊びの時間は、私も紙芝居作りに勤しんでいる。


「ルリ様、本当にお上手ですね!こんなに可愛らしく描かれたものを初めて見ました!」


マリアさんも新しい話が出来上がるのを楽しみにしてくれている。


動物なんかもほぼ元の世界にいるものは実在しているようなので、デフォルメしたウサギとかを描くと、リーナちゃんが喜んでくれる。


ただ、絵を描くのは好きな私だが、話を作る能力は人並みなので、著作権を気にしながらも元の世界で読んだことのある話を少しアレンジしているだけだ。


桃から生まれた勇者が魔物を倒す話"桃レンジャー"とか…笑


リーナちゃんは私が描いた動物の絵を見ながら、真似をして描いている。


学ぶは真似ぶ、とも言うからね。






お絵描きが飽きたら、次はお散歩。


お花が大好きなリーナちゃんと一緒に庭園をぐるっと回った後、庭師のおじいちゃんを訪ねる。


「こんにちは、アルトおじいちゃん!昨日お願いしたやつ、どうですか?」


「ああ、ルリちゃん。バッチリ準備出来てるよ。旦那様にも許可を得たから、遠慮せずやってくれ」


このおじいちゃん、なかなか気の良い人で、私もすっかり仲良しだ。


「ありがとうございます!リーナちゃん、マリアさん、こっちに来て!」


「?うん」


「え、そちらには何も植えられていないはずでは…?」


二人が不思議そうに付いて来る。


ふふふ、きっと驚くでしょうね。


でも、これは私がこの世界に来た初日から気になっていた事なのだ。






「やさい?」


「そう、これはトマト。そしてこれがキュウリ。ナスにゴーヤと…うわ、メロンまである!」


用意してもらったのは、プランターと野菜の種。


「…きらいなやつ、いっぱい」


あ、やっぱり。


そう、ここ数日のリーナちゃんの食事の様子を見て思ったのが、野菜の好き嫌いが多いなということ。


なので、自分で作ってその有り難さを知ってもらい、食べてもらおうという訳だ。


食育ってやつね。


「そっかあ。でもお野菜も種から育ててみると、お花だって咲くし、少しずつ大きくなるの見てると楽しいよ?自分で育てた野菜なら、ちょっと食べられそうな気がしない?」


「…うん。やってみる」


よし!!


じゃあまずは動きやすい服にお着替え、と思ったが、マリアさんに侯爵家のお嬢様にそんな格好は…!!と真っ青な顔で言われてしまったので、断念。


「汚れないよう、魔法でベールをかけられると良いのですが。生憎私の持つ属性魔法では出来ないのですよね…。」


「え、じゃあ何の属性なら出来るんですか?」


「そうですね…水が一番分かりやすいですかね。こう、お嬢様の体の周りに膜を張る感じで…」


なるほど。


水なら私、レベル高かったし出来るかも?


それにマリアさんの言い方だと、魔法を使えるのはそれ程珍しい感じじゃないし、やってみようかな。


「私、水魔法が使えるのでやってみますね。ええと、膜を張る感じで…」


魔法の使い方はよく分からないけど、とりあえずよくある感じでやってみる。


失敗したら、レベルが低いので~って誤魔化せば良い。


目を閉じて意識を集中、水の膜をリーナちゃんの体に張るところをイメージして…


「ウォーター・フィルム」


何となく頭に浮かんだ言葉を唱える。


体から何かが抜ける感覚がして、目をそっと開くと…


「すごい、るり!」


リーナちゃんは、まるでシャボン液のような虹色の透明な膜を纏っていた。


「わ、わあああ!出来たー!!」


すごい!私出来たよ!?魔法使えたー!!


「あれ?ルリ様、魔法使ったことないんですか?」


…マズイ。


「う、ううんん。こんな膜とか張るの初めてだから、成功して良かった、って」


「ああ!なるほど。それにしてもルリ様は水属性持ちなんですね。私は風属性持ちなんですけど、そんなに操作が上手くないので、羨ましいです!」


マリアさん、魔法はそんなに得意じゃないのか。


「あ、えーと、この国の人は魔法使えるのって、珍しくないんですか?」


「ああ、ルリ様は他国からいらしたんでしたね。そうですねぇ、貴族も庶民もだいたい三人に一人くらいは魔法持ちです。その中でも殆どの方は一つか二つの属性魔法を使えます。まあ、魔術師団に入るにはそれ以上の属性持ちか、余程の高レベルでないと無理ですけどね。なので、私みたいなちょっと使えるレベルは割と珍しくありません」


なるほど…やっぱり私はチートだったのね。


とりあえず使える魔法は、水属性ですってことにしておこう。


「よし、じゃあ汚れる心配も無くなったし、野菜作りを始めましょう!」


「「おー!!」」

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