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【書籍化&コミカライズ】規格外スキルの持ち主ですが、聖女になんてなりませんっ!~チート聖女はちびっこと平穏に暮らしたいので実力をひた隠す~  作者: 沙夜
第四章

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魔法とスキル

クレアさんも少しだけですが、と言ってくれたので、私の部屋に移動することに。


昨日リーナちゃんと作ったクッキーとお茶をマリアに用意してもらい、話を始める。


「え?スキルの事ですか?」


「はい。私、"癒しの子守り唄"と"癒しのフォルテ"ってスキル持っているんですけど…二人には、ない、のかな?ほら、リーナちゃんは聖属性魔法を持っているし、クレアさんはフォルテが凄く上手でしょう?似たようなスキルを持っていないのかなと思って」


紅緒ちゃんや黄華さんと話していて自分のスキルを思い出したのだが、食事以外でも回復魔法を込めることができる何かがあれば、無理に料理をしなくても良いのでは?と思ったのだ。


「いえ、そのようなものは無いかと思いますが…。一応確認してみますね、"ステータス オープン"」


「じゃあ、わたしも。"ステータス オープン"」


二人がステータスを開いて見てくれている。


因みに鑑定と同じで、ステータスも自分以外には見えていない。


それにしても個人情報漏洩防止策ってこの世界にもあるんだなと今更ながらに思う。


確認を終えて二人がステータスを消したが、結果は首を振られた。


「やはりありませんでした」


「うん、わたしも」


そっかぁ、とガックリ肩を落とす。


そんな私の様子を見て、クレアさんが声を掛けてきた。


「そもそもスキルとは、魔力を使うものであれば、その属性の魔法レベルが基準値を満たさないと取得できないものですからね。恐らく、ルリ様の持つその二つのスキルは、聖属性魔法のレベルが相当高くないと取得できないのではないですか?フォルテはともかく、歌なら割とどなたでも口ずさむものですが、聖属性魔法を持っていらっしゃる方でもそのようなスキルを持っているという話は聞いたことがありません。それは、魔法レベルが関係しているのではないかと思われます」


「じゃあ、回復効果のある料理は…」


「料理に関しては、そういった名称のスキルがあるわけではないのですね?では、スキルではなく、料理自体に魔法をかけている、という事でしょうか。私も一応魔法に関してはある程度学んでまいりましたが、聖属性魔法はまだ分かっていない事も多く…。お力になれず、申し訳ありません」


「いえ、とんでもありません!ありがとうございます」


そこでクレアさんは次の仕事があるからと、申し訳なさそうに帰って行った。


あの料理はスキルじゃない、か…。


リーナちゃんも料理には魔法の効果が出ているのに、歌やフォルテには何の効果もついてない。


という事は、やはりレベルが足りないからなのだろう。


料理ってスキルはあるんだよね。


じゃあどうして回復効果のある料理はスキルにならないんだろう?


料理以外にも魔法ってかけられるの?


「うーん」


「るりせんせい、なにかわかった?」


「う~全然。まあそれは気になっただけだし、シーラ先生とも一緒に考えていこうかな。あ、リーナちゃん、もうひとつ聞いてもいいかな?」


「なあに?」


「あのね、あんまり思い出したくないかもだけど…リーナちゃん、前は無意識に人の後に黒いものが見えたりしてたんだよね?それって、黒の他にもあったりしたの?」


黄華さんのオーラの話を聞いて、何だかリーナちゃんに似ていると思ったのだ。


オーラが見えるのが光属性魔法の力なのだとしたら。


ひょっとしたら、向こうの世界には魔法という認識がなかっただけで、その魔力は元から黄華さんにあったのかもしれない。


「ん…いまもみようとするとみえるんだけど、きらきらしてるひととか、ピンクいろしてるひともいるよ。ピンクのひとは、いましあわせってことかなっておもってる」


「へえ。何でそう思ったの?」


確かに色のイメージはそんな感じだけど、リーナちゃんがどうしてそう考えたのか気になる。


小さいながらに考えるのって大切な事だしね。


「るりせんせいがレオンおじさまとなかよくなってからピンクいろにかわったから」


ぶっはーーー!!


「げほっ!ちょ、ちょっと待って!それってどういう…」


「え?わたしのおたんじょうパーティーからすこししたくらい?るりせんせいもレオンおじさまも、ピンクいろにかわったから、きっとなかよくなれてうれし…」


「うん、分かった。もう良いです」


しまった、余計なことを聞いてしまった。


思わず飲みかけたお茶を吹き出すところだったわよ。


いやちょっと出ちゃったかもしれないけど。


そう言えば、黄華さんも薔薇色のオーラが…って言ってた気がする。


ま、まあつまり二人は似たような物を見ているのだろう。


それにしても魔法って不思議。


まだまだ分からない事って多いんだな…。






「みんな、久しぶりー!」


「あ、るり先生だ!!」


「るりせんせーこんにちはー!アルも、こんにちは!!」


「みんな相変わらず元気ですね」


次の日、私はアルと一緒に孤児院に来ていた。


実は今日から、孤児院の近くで公園の建設が始まるのだ。


シトリン伯爵と現地で約束をしているのだが、その前に子ども達と遊ぼうと思ってやって来た。


「ねえねえ、先生、フォルテ弾いて?」


「わたしもききたいー!」


「一緒に歌おー!!」


みんな元気そうで良かった。


それにしてもフォルテか、と昨日話した事もあってスキルの事が思い浮かぶ。


「?どうしたの、るりせんせい?」


「あ、ううん、何でもない。行きましょう、今日は何が良い?」


「げんきなやつ!みんなで歌うの。あと、いんちょう先生が好きだって言ってた、あの月の曲も!さいきんこしがツラいんだって」


だから聞かせてあげたいの、との子ども達の優しい言葉に、私もほっこりする。


院長先生、すごく慕われているのね。


それにしても腰、大丈夫かしら?


でも丁度良いかも、私のスキルで少しでも楽になると良い。


「じゃあ、今日は院長先生が早く良くなりますように、って気持ちを込めて弾くね。みんなの優しい気持ちも、届くと良いね」


「おうたも、がんばってうたう!いんちょうせんせいにきいてもらうんだもん」


おー!!と子ども達が拳を上げる。


本当、みんなとっても良い子だ。


きっと、院長先生をはじめとするこの孤児院の先生方が温かい人達だからなんだろうな。


…この子達のためにも、幼児教育の普及、頑張りたいな。


よし、この後のシトリン伯爵との建設視察も頑張るぞ、と私は心を新たにするのであった。


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