表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化&コミカライズ】規格外スキルの持ち主ですが、聖女になんてなりませんっ!~チート聖女はちびっこと平穏に暮らしたいので実力をひた隠す~  作者: 沙夜
第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

107/283

黄華

お待たせ致しました。待ってないかもですけど笑

今日はとりあえずプロローグだけですが、また楽しんで頂けたらなと思います(*^-^*)

私は、東雲 黄華。


突然この世界に喚ばれてから、もうすぐ一年になります。


それにしてもこの一年、本当に色々な事がありましたわ。






転移して初めて見る人、物、景色。


私はそれらに戸惑いこそありましたが、突然異世界に連れ去られた事を、それ程悲しむことはありませんでした。


…何故なら、私にはもう家族がいないから。


天涯孤独の身というのは、結構薄情なものだと自分でも思います。


仕事もしていたし、それなりに友達と呼べる人達もいたのに、この世界に来てそれを懐かしむことも、憂うこともなかったのですから。


与えられた生活にも、特に不便を感じませんでしたしねぇ。


心を動かされたのは、たった一つ。


一緒に転移して来た、日暮 紅緒ちゃん。


彼女は私と違って、元の世界に未練があるのでしょう、涙を零すことが時々ありました。


帰りたい、と。


それが、私には羨ましくもありました。


それだけ、彼女は精一杯生きていたという事だから。


私とは違う。


初めはただ可哀想に、と思っただけでした。


でも徐々に、何とかして還してあげたい、そう思うようになりました。


しかし、現実とは残酷なもので。


二度と還ることはできない、その事実を突き付けられました。






それでも、紅緒ちゃんは少しずつこの世界を受け入れ始めました。


まだ若いのに、強い子だと感心しました。


そんな彼女を、時には励まし、時には怒らせてガス抜きさせながら、その心を支えてきたつもりです。


まあ、からかっていただけでしょ!!と言われるでしょうけどねぇ。


…今思えば、そんな彼女に私も救われていたのかもしれませんけどね。


前を向いて生きようとする、その姿に。


そんな紅緒ちゃんが、自分の魔力を活かして何か出来ないだろうかと言い出しました。


呪いにかけられたらしい騎士団長様に何もしてあげられなかった事もあって、そう思ったみたいですね。


攻撃魔法が得意でしたから、偉い方々は喜んで魔物討伐隊に加われるよう、騎士団に訓練を頼んでいましたわね。


私は様子見、でしょうか。


とりあえず魔法の講座の時間は増やして頂きました。






そんな折、私達にある知らせが届きました。


それは、三人目の聖女がいる、という事。


実は私は最初、その方に会うことにあまり乗り気ではなかったんです。


めんどくさい人だったら嫌だな、って。


ほら、最近流行りの転移モノの小説だと、よくあるでしょう?


逆ハーレムものとか。


聖女だと呼ばれるだけあって、私達はなかなかに貴重な魔力やスキルを持っていましたからね。


それを利用して逆ハーレム(そんなもの)を目指してる人だったら、相手にするの面倒ですからねぇ。


まあ、仕方ないから一度くらいは会いますけれど。


相容れないタイプだったら、二度目からは断っても良いのかしら?


そんな事を考えていました。






「えーっと、はじめまして。和泉 瑠璃です」


初めて会った時の印象は、"普通"。


いえ、化粧っ気こそありませんが、綺麗な方ですし、性格も良さそうだと思いましたよ?


ただ、普通に暮らしてきて、普通に幸せだったんでしょうね、って思ったんです。


程よく明るく穏やかで、紅緒ちゃんもすぐに心を開いた様子でした。


まあ、よく今までそんなに男女の色恋沙汰に疎くいられましたね?とは思いましたけどねぇ。


綺麗で人当たりも良くて料理も上手なんて、普通にモテそうなのに。


本人の鈍感さゆえだという事に気付いたのは、それからしばらくしてからでしたわね。


ほっとけない人が増えたようで、ちょっぴり溜め息をついたのは秘密です。


そしてやっぱり瑠璃さんも、元の世界でもこの世界でも、懸命に生きようとする人でした。


…私とは違って。





少しずつ元の自分を取り戻して輝こうとしている二人を見て、ちょっとだけ好奇心が芽生えました。


少しだけなら、新しい世界を見るのも良いかな、って。


それで、私も騎士団の訓練に参加させてもらうようになりました。


あの二人のような、あんな純粋な気持ちは忘れてしまったけれど、誰かの為に頑張りたいという気持ちは、とても綺麗だと思いました。


…誰かを愛しく思う気持ちも、またそれ故に悩む気持ちも。


だから、少しだけ。


私も、私が幸せになるために頑張ってみたいと、そう思ったんです。





たとえ、()()()()がそれを許さなかったとしても。

と言うことで黄華さんの回になります。

シリアスが増えそうで作者も不安ですが、第四章もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 実は黄色さんタイプの転移は珍しい。帰りたいわけでもなく、転移に浮かれるわけでもなく、何となく生きてる傍観者。 黄色さんは色恋沙汰というより、人生観という感じ
2021/02/20 10:21 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ