愛がすべてさ
あらかじめ、私はいずれかの宗教と呼ばれるものを信仰していることを述べておきたい。
私は今、貴女のためならどんなものでもすべて差し出す覚悟ができている。
もし、貴女が1万カラットもするであろうダイヤモンドの指輪がほしいというのなら、すぐに用意しましょう。その際にお気に召さないのであればこれを投げ捨て、その美貌にふさわしくいものを世界でも有数の職人に頼みましょう
もし、貴女が私との結婚において、異なる神を信じているため障害となるだろうと考えているのであらば、今すぐにでも、その神の存在がいかに空虚なものであり、幾ばくの余地も余すところなく人間の生み出した科学により否定されうることを語り聞かせてまいりましょう。
しかし、我が愛する人よ。
あなたはなぜこれほどまでの熱狂的な愛を受け入れてはくれないのでしょうか。
私の持ちうるすべてを捧げてもなお、その胸の内を納得させうることはできないのでしょうか。
もしそうであるのならば、どうしてなのかを私に教えてくれないだろうか。
貴女が私で満足することの出来ぬ訳を。
私はどうすればよかったのかを。
これまでの人生を振り返り、いくらかの後悔はしてきたけれど、自分には恥じぬ道を進んできた。
そうあなたに出会うまでは。
世界で一番と行かずとも、億万長者と呼ばれるような人間に、私はなった。そして、親孝行を毎日心掛け熱心に神への祈りをささげてきた。
貴女に足りぬものは何もないはずなのだ。
「私は何も望まない。もちろん、あなたのことも。」
私は、何を書いているのかもわからないが、書きたいものを書いている。
全ては循環しており、与えれば与えるだけ、そのお返しが待っている。
求めれば求めるだけ、そのお返しもすぐそこに待っている。
善も悪もなく、平等に還ってくるものだ。
そんな気がしているが、そんなこともないのかもしれない。
ただ、毎日お金を稼ぎ、ご飯を食べ、育ててくれた両親を少しでも楽をさせ、余生のためにお金をためておきたい。
おかしなことだろうか。やはりおかしいのだろう。
ところで彼は、なぜ自分を語りだしたのだろうね