よくある異世界転生
テイマー物や冒険物を読むのが好きで自分でも書いてみようと思いました。
処女作ですがよろしくお願いします。
「はぁ…このまま心臓が止まらないかな」
山田守36歳、独身、友達はおろか家族もすでにいなく天涯孤独の身である。
大学を卒業後に就職した会社がブラックで心身共に疲弊している守はそんな事を考えながら今日も駅の改札を出て職場に向かっていた。
「ワンワン!」
「今日も元気だな」
駅から会社に向かう道の途中にある、お爺さんの家の柴犬に挨拶をする守はどこからどう見てもても通報間近の触れてはいけない人だろう。
だが特に楽しみもない守にとって犬や猫の動物を眺める事は数少ない趣味といってもいい。
もう一つの趣味は今流行の転生物といったネット小説だ。
というか趣味はこの2つしかない。
「ん?なんだこの紋様?」
このままでは仕事に遅れてしまうので、犬を眺めるのは諦めて会社に向かおうとする守の足元には謎の紋様が浮かんでいた。
そしてそのまま守は意識を手放した…
「どこだここは?」
気が付いた守は全面真っ白の謎の空間にいた。
「気が付いたかのう」
声をした方を見てみるとさっきは誰もいなかったはずの白い空間に妙な格好をしたおじいさんが立っている。
「ここはどこですか?貴方は一体…」
「ここは神界じゃ。ワシはこの地球世界テラともう一つのアークという世界を管理しているデマウスという者じゃ」
「神界…これはあれなのか?待ち望んでいた異世界転生や転移といったものでは」
現実世界で苦しんでいる守にとって異世界転生や転移というものは決して叶わないと思いながらも望んでいたものだった。
「そう思ってくれるなら話が早い。お前さんにはこのワシの管理しているもう一つの世界[アーク]にいってもらおうと思ってな」
「本当に異世界に行けるんですか?」
異世界にいけるなら守にとっては願ったり叶ったりである。どうせ現実世界には家族も友達もおらず仕事と職場の往復だけだ。
「嫌だと言ってももらうつもりだったからそう言ってくれると助かるわい」
「向こうに行ったら何かしなければならないこととかあるんですか?」
「特にないな。そもそもお前さんはワシのミスで神界に呼んでしまったからな」
「ミス!?」
「アークでやろうとした事を間違えてこっちの世界でやってしまっての。その副作用で生まれたあの紋様のパワーに呑まれてお前さんを殺してしまったからな…」
「俺死んだんですか!?」
「そうじゃ、人間は生きたまま神界には来れないからのう」
「まあ向こうで生きてても楽しくもなかったし、苦しくも痛くもなく死ねたのなら構わないですよ」
「そう言ってくれると助かるの。お詫びといってはなんだがアーク世界に行く前にある程度の能力は授けよう」
「それなら犬や猫が好きだったんでテイマー的な能力があったらつけてください」
「そんなことならおやすいごようじゃ。一応アーク世界に行く前に身体を再構築しなきゃいけないのだがそれもかまわんか?」
「身体を再構築?どういうことですか?」
「赤子として生まれ変わるということじゃな」
学生時代に罰ゲームの告白相手に選ばれるくらいの容姿だったこともあり、元々この身体に愛着がなくそれくらいならも問題ない気がする。
「赤子からやり直せるなら次はもう少し普通の顔に生まれたいですね」
「それなら早速行ってもらうぞ。最初は地球世界と違って戸惑う事もあるだろうが楽しく生きてくれるとありがたい」
「わかりました」
「たまに様子は見ておくから、お前さんの新しい人生が幸あるものであるようにワシも願うぞ」
そうして再び守は意識を手放した。
デマウスは1人呟く。
「スムーズに行って良かったのう。
人間の魂という異物がこれ以上神界にいたら
創造神様にワシのミスがバレることじゃった。
山田守よ、テイマー能力以外にもサービスしておいたから異世界で楽しく生きてくれよ…」
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