第三シーズンの登場人物や設定紹介
深い意味はありません多分。
■大南帝国
南アポロジア大陸ならびに北アポロジア大陸の南部を領土とする、アポロジア大陸における最大規模の国家。首都は古語で【我ら霊長種の反撃の拠点】という意味合いの言葉だが、物騒かつ恥ずかしいため【帝都】という呼称で通じている。
神性あるいは人知を超えた存在により国家の設立を承認されたため【帝国】と呼ばれている。巨獣種に対抗できる兵装として人造巨兵が複数配備されており、撃退の実績もある。
皇帝の血筋には時折特殊な【獣相】を発現する者が現れ、獣人族の絶大な支持を得ている。そのため人間国家でありながら獣人の生活習慣や風俗が可能な範囲で尊重されており、他種族の扱いも人間と平等に近い。
北方にある【王国】とは国境線にある肥沃な草原と河川の帰属を巡って百年近い小競り合いを続けていたが、【不死王】を名乗る強大な屍鬼と亡者の軍団が国境線に出現したため停戦条約を結び、合同軍を組織して不死王討伐に乗り出した。不死王出現時、大陸全土に突如として大流行した疫病のため総人口が一割以上減少する悲劇に見舞われている。
現皇帝には四名の実子がおり、いずれも皇子である。ただし第四皇子は【獣相】が発現しており、成人を前に継承権を放棄している。
帝都にアカデミーと呼ばれる高等教育機関がある。王国にある賢人同盟出身者をかき集めて設立した、権力者の見栄がたまたま文化事業で結実した奇蹟のような実例でもある。
■王国
北アポロジア大陸南部および中北部を領土とする、北アポロジア大陸の有力国家の一つ。通称ハギス王朝。現国王はイール十三世。不死王の暗躍により長らく大南帝国と国境線で小競り合いをしていた。現国王は即位にあたり超越者の祝福を得ており皇帝の資格を持つが、王国という体を維持している。
賢人同盟があるのはこの国であり、南北に長く伸びた国土では様々な食文化が開花している。
不死王討伐時、疫病による死者は全人口の五分未満に留まった。これは賢人同盟が原因究明に全力を尽くし対策を迅速にとったためだが、討伐軍への支援が遅れる要因ともなった。
■賢人同盟
アカデミア。王国の首都近郊にある私設の学術機関。
あらゆるジャンルの学問を蒐集し研究し研鑽し教育する変人達の巣窟。王国の歴史より古く、そのため王国の権威からも自由であり、学ぶ意思と能力さえ示せば国家反逆罪の咎人だろうがモンスターだろうが朋輩として受け入れる校風。世界に五名のみ生存を確認されている始祖エルフの一人がいることでも有名。現国王イール十三世を幼少時に匿って教育を施し、簒奪者より王位を取り戻す戦いで助力した【白樫の賢者】は賢人同盟出身者であり、その縁で賢人同盟はイール十三世の後見となって簒奪者討伐軍を全面支持した。
学生食堂はゲテモノ料理が美味しく調理されて並ぶことでも有名。
■各種ギルド
ギルドは基本的に国内産業の互助組織である。(冒険者ギルドは超国家組織であり、その性質上国家が承認することはなく秘密結社扱いされている)
商業ギルド……国内外の商業活動全般を取り扱う。
薬師ギルド……国内外の医療・衛生全般を取り扱う。
鍛冶組合、羊皮紙組合などの大小様々な中小組織は片方ないし両方のギルドに所属している。たとえば食料品としての油脂は商業ギルドの管轄だが、石鹸材料としての油脂は薬師ギルドの管轄である。
素人さんがうっかり使用すると生命健康を損なうおそれのある素材や機材は薬師ギルドが審査していると考えれば大体合っている。
■地脈
ライフストリーム。放出される魔法力、生命体の死と共に喪失される精気など、拡散し希薄化するエネルギーを吸収・収束して循環・浄化していく巨大な魔術機構。大地や器物に必要以上の魔力が宿り続けると突然変異的な魔物が誕生したり、亡者が大量発生する。循環するエネルギー量は絶大であり、その管理者として精霊や竜種が各所に住まう。
エネルギー流路ではあるが、それは同時に大地と生命の情報が無限に蓄積する場でもある。鑑定と呼ばれる識別魔法は、このライフストリームに限定接続することで情報を得ている……という説もある。
■巨獣種
南アポロジア大陸北西部から北アポロジア大陸西部にかけて、人類の生活圏より離れた大森林地帯に住まうとされる巨大生物群の総称。構造そのままに身の丈百倍以上の動植物がひとつの環境を構成している。生物学者が発狂し博物学者が目を輝かせるワンダーランド。かつてそこに【真なる巨人】と呼ばれる巨大人類がいたが、巨獣種との争いに負けて滅びたと言われていた。実は移住していただけの模様。
■真なる巨人
おそらく南アポロジア大陸北西部の何処かに住んでいる、身長百五十~二百メートル前後と目される巨人種。きわめて高度な冶金技術と魔法技術そして少なくとも牧畜を行う程度に平穏で文化的な生活を営む事が判明している。古語ではあるが大陸共通語による意志疎通が可能であり、人類との平和的な交流・交易の意思を表明している。
「交易に使えるような商品がないよ(物量的に)」
とは帝国・王国中枢部ならびに商業ギルド幹部の共通認識でもある。冒険者たちはとにかく巨人の国を目指すべくブリストンに集結しつつある
■獣相
①獣人族の場合、部族の祖霊に基づいた獣の要素。主に手、足、耳や顔などに顕れやすい。部分顕現から全身顕現まで様々だが祖霊に基づいた特殊能力を発現し、基礎能力も向上しやすい。
②霊長種に稀に顕れる超獣の加護。神獣や霊獣などを身中に卸し発現する一種の霊媒。大南帝国皇族の場合、精霊角と呼ばれる特異器官が発現する。
■星砂
スターサンド。魔女の島で産出する秘石【星の涙】に類似する物質。白または黒の半透明結晶であり、物理破壊不可能と賢人同盟は結論づけている。少なくとも大南帝国の技術では加工も解析もできない。不死王討伐で活躍した弓聖エイブラハムが持つ矢は、この星砂で作られた物と言われている。
■仙鉄
タオスチル。【真鋼】とは反対に、純鉄に魔力を注ぎ鍛えることで十倍に膨らんで誕生する一種の魔法金属。鉄を触媒として魔力を物質化させたという文献はあるが、必要な魔力量を計算したところ霊長種では絶対不可能な数値が示されたため検証出来ず精錬も加工もできない。
金属だが水に浮く。強度も硬度も魔力伝達性も抜群。物質化した魔力のため霊体など物理攻撃の通用しない相手にも攻撃可能。魔女の島より仙鉄製の武具が極稀に輸出されると言われている。
■竜種
①ドラゴン。異世界(地球)の神話や伝承の中で語られる様々な竜が神々と同様この世界にたどり着き、種として定着したもの。空飛ぶトカゲから神霊に近しい者まで様々。一般に竜種といえばこちらを指す。地脈のエネルギーを利用して生息するものが多く、食事というのは生殖活動などの限定された時期にのみ行われる。が、稀に娯楽として食事を行う竜種がおり、それらは暴食竜として討伐対象になりやすい。
②この世界に神々の軍勢が侵攻した際、魔女の島に住まう原種エルフ達が金鉄の星船に乗り込み神々を迎撃した。金鉄の星船は原種エルフ達と融合し、竜の姿となって神々の軍勢を壊滅させたと言われている。神々を滅ぼした金鉄の竜達は魔女の島に帰還し【大いなる獣】の祖となったとされる。
■神
この世界における神は全て外来種である。世界創造に神は一切関与せず、人類をはじめとする霊長種への生殺与奪の権限を有さない。人類が神の意思に従わないからと滅亡させようものなら、全力で抵抗され、返り討ちに遭っている。現在大陸で活動を確認されている神性の多くは最初から人間や他の種族に対して好意的であるか、一度は侵略したものの冒険者達にフルボッコにされて心が折れている。
■職業
・騎士……貴族階級に所属し、騎獣を運用することを前提とした兵種。馬が多いが馬以外も珍しくはない。騎獣に依存するが歩兵を圧倒する移動力と機動性能により、伝令から突撃まで幅広い作戦に対応できる。また行軍時に比較的重装備が可能であり合戦などの特殊な例を除けば近接戦闘職の中で最も防御力が高いと言われている。平民や冒険者が騎獣を運用する場合は【騎兵】と呼ばれる。
・従士……貴族階級に所属し、騎士に随伴して戦うことを前提とした兵種。基本的に歩兵だが、状況次第では騎兵としても活動できる。比較的軽装だが、騎士の武装等を運搬する役目を負うこともある。騎乗中は【軽騎士】とも呼ばれる。槍など長柄の武器を取り回すものが多い。平民や冒険者がこの役目を負った場合は【従兵】または【軽騎兵】と呼ばれる。
・魔法職……魔法全般を扱う職の総称。元素魔術、精霊魔術、呪術、召喚術、死霊魔術、念法術等々。全貌を知る者は賢人同盟にもいないと言われている。様々なエネルギーを用いて魔素を励起し、物理法則を超越し、術師の望む現象を顕現させる技術の総称でもある。
・神職……魔法職に近似する。特定の超越種(神霊、神性、聖人、聖遺物など)を対象として祈念し、霊的な接続を得ることで超越種の能力を限定的に顕現する。奇蹟とも呼ばれる。ただし冒険者憲章に基づき最も討伐されているのは魔物ではなく神性である。神職は失墜した神の権威と名誉を何とか回復するべく奉仕に近い布教活動に邁進する。ただし北方諸国を守護する太陽神とその代行者達は絶妙な露出度の衣装を身にまとい、歌と踊りと握手会で信徒の獲得に成功している。
・一級薬師……調薬技術者としては最上級の資格。コネで与えられるような資格ではない。薬師として十年くらい真面目に頑張ってたら資格取得はそれほど難しくはない。ただし各国の首都にある本部で受験審査を受ける必要があり、敢えて受験せず二級のまま過ごす薬師も多い。
■登場した主なキャラクターの最新情報
・ジェイムズ
本編主人公。十代後半。冒険者等級は変わらず「下から二番目」だが、薬師としては実質最高位の公認第一級となった。事なかれ主義を地で行く生き方なのは、周囲が面倒事を次々と発生させるためにツッコミ疲れて現在に至った模様。
責任回避のために全力を尽くす主義。樹精との(一方的な)契約で全魔力の95%を常に奪われ、樹精以外の女性と深い仲になると一名につき25%ずつ全てのステータスにペナルティを受ける。
下宿している月光猟団メンバーの裸族化は彼にとって致命傷となり得るので、女性冒険者達に工房を事実上乗っ取られたことを口実にブリストン市を離れた。
地脈そのものが樹精の支配下にあるので、彼女のいる場所に転移門が出現する。ジェイムズがいないブリストン市に留まっても巨人の国にはたどり着けないと理解している親しい冒険者達は様々な口実でブリストン市を離れ、寄り道や迂回路を通りつつ彼の故郷であるロイズ村を目指していくことになる。
・カリス(偽名)
ジェイムズと同期の女性冒険者。祖母が獣人。チーム月光猟団期待の斥候職として冒険者等級を上昇させている。衣食住の環境が充実したため十代後半ながら強さと美貌を開花させた。現在多数の若手冒険者に口説かれており、若手有望株の冒険者と恋仲であると一方的に噂を流され迷惑している。
獣人の価値観をそこそこ有しているため「強いオスが複数のメスを囲うのは仕方ないこと」という認識を持っているが「ジェイムズは弱いので浮気とか一夫多妻とか認められない」という認識。ジェイムズとは一度寝たきりだが、その後も嫌われていないので「私が正妻だ」と密かに思っている。
・アリーシア=G=ホルシュタイン
チーム月光猟団のリーダーであり、熟練の冒険者。弓職。最強のくびれ美人。元は帝国貴族令嬢で、年齢不詳で外見は二十歳そこそこ。不死王戦役を生き抜いた女傑であり、当時を知る者達からは「中隊長殿」と呼ばれることもある。冒険者となったことで貴族籍を喪失しているが帝都では現在でも上級貴族に準ずる扱いを受けている。
巨獣種関連で冒険者ギルドと共に帝都に諸々の説明など奔走していたら、チームメンバーが暴走したのか下宿先であるジェイムズの工房を乗っ取ったと聞いてギルド会議室にて伸身三回転三回ひねり五体投地土下座をかました。現在粛正中。
・バーバラ
チーム月光猟団の魔法職であり、賢人同盟出身の学者肌。詠唱・結印・法円による同時三種魔術展開を可能とする、一種の鬼才。独自の魔法体系に基づいた術式展開を構築するが賢人同盟とは無関係。種族不明。年齢不詳。アリーシアとは不死王戦役の頃からの付き合い。料理人の師匠がいるらしく香辛料を用いたスープ料理が得意。
真なる巨人関連の資料を見て発狂したり、発狂した賢人同盟関係者や巨人の短剣から素材はぎ取ろうとするドワーフ達を諸共に巻き込んで牢屋にぶち込んだりぶち込まれたりしている内に、月光猟団のメンバーがジェイムズを工房より追い出したと聞いて「はわわわ~戦争不可避であります」と恐慌状態に陥っている。
・シンシア
チーム月光猟団の神官職であり、豊穣神殿出身だが潔癖性のため神聖娼婦になれず神殿での栄達をあきらめ冒険者となった。無自覚にいやらしい。着衣でもいやらしい。寝間着姿でもいやらしい。むしろ全裸の方が清々しいと言われている。巨獣種騒動で周辺の地脈が完全に霊木の樹精の支配下になった結果、樹精を一種の神霊と見なすべきかという問題についてブリストン市内の神殿関係者達と折衝中、月光猟団のメンバーが「ふはははは、ここは我々月光猟団のアジトとなったのだ~」とジェイムズの工房を占拠したと聞いて事実関係調査中。激怒し恐慌状態に陥った神殿関係者の説得で身動きがとれない。
・エヴァンス=パシフィック
商業ギルド帝都本部幹部に若くして上り詰めた青年。得意は過剰演出と土下座。第四皇子の誕生祭で演出を手掛けたら本物の神様が降臨してしまい、事態収拾のためにブリストン市に出向き食材をかき集めようとした。ロイズ村パシフィック家は遠縁の親戚。土下座した際の尻がいやらしいとは女性冒険者達の弁。
初期プロットでは強権発動してジェイムズより霊木を取り上げる悪役だった。
・第四皇子殿下
大南帝国皇帝末子。黄金獅子の【獣相】と精霊鬣を発現させたため、継承権を破棄済み。獣人達から絶大な支持と崇拝を受けているが、当人としては余計な権威権力と手を結び帝国を危うくするのは本意ではなく、成人の儀を無事に迎えた以上は国内に不和の種を残すべきではないと冒険者登録を行う予定。
とりあえず美味なチーズを堪能できたブリストンの近郊で第二の人生をスタートさせようと考えている。
・モリガーン
冒険者ギルド、ブリストン支部のギルド長。巨獣種子羊騒動で振り回され、真なる巨人騒動で更に振り回された。ブリストンを拠点とする冒険者の数が一気に三倍近く増えた模様。欲求不満がひどすぎて副ギルド長と再婚した。一児の母になる模様。
・チャールズ=ラレー
冒険者ギルド、ブリストン支部の副ギルド長。受付嬢ヴィヴィアンがジェイムズに露骨すぎるアプローチをするようになったので代わりに担当するようになった。真なる巨人達の国に行ってみたいと、現役復帰を目指して密かにトレーニング再開。その姿に惚れ直したギルド長に押し倒されて再婚。できたものは仕方がない。
・霊木の樹精
ロイズ村に近い森の深奥、地脈の交叉する場所に生えた巨大な霊木。それを依り代として誕生した精霊ドライアド。ブリストンの地脈を整えた結果、大陸中に張り巡らされていた地脈を利用した大規模転送魔法陣のシステムを一部復旧させてしまう。
なお支配領域をモールトン伯爵領全域とフィッシャー子爵領の一部に拡大したため、全盛期の力を取り戻した。
・斥候職の子に気がある若手冒険者
冒険者ギルド、ブリストン支部に最近やってきた。黄等級の槍職。十代後半の、浅黒い肌と灰褐色の髪。獣人族のハーフで、強い雌を本能的に求める自身の衝動を嫌悪しつつも惹かれている。
武力こそ正義の脳筋志向で、直接戦闘力を持たないジェイムズを寄生冒険者野郎と罵ったりしている。因縁付けて決闘に持ち込みカリスをジェイムズから解放させたいと真剣に考えている。
彼女の方がジェイムズに一服盛って押し倒したという話は捏造だと断じ、決して信じようとしない。
・地の民のみなさん
いわゆるドワーフ。人間と同じくらいの背丈だが骨格と筋肉が桁違いにがっしりしているので頭身が低く見られがち。鍛冶や彫金などに長け、英雄や神々に武具や装飾品を献上することを自慢する。今の自分達では加工できない素材と武具を見せつけられ発憤。ブリストンへ強引に移住しようとしている。前科七犯。拘置所の看守とは顔なじみ。
・賢人同盟のみなさん
卒業生よりドヤ顔のレポートを貰い、駆けつけた変人集団。魔法が好き遺跡が好きマジックアイテム大好きで、ちょっと暴走しがち。学生から教授まで押し掛けて、ブリストン市内に分校を設立しようかと本気で考えている。なお帝都アカデミー系列の寄宿学校については「おおっ、なんかすごい名門校っぽい!」と感心している模様。
■食品
・巨獣種子羊の背肉……第四皇子の誕生日に振る舞われた巨大な肉の塊。食べると神様が降臨したが、霊木の樹精が作業に携わったため魔力が宿っていた。極めて美味。
・巨獣種子羊の腿肉……フィッシャー子爵およびモールトン伯爵が放出した巨獣種子羊の獣肉。格式的には後ろ足の腿肉は最も高い部位の一つ。通常サイズならば丸焼きに使用されるが暴走する獣人族の胃袋に消えた。
・巨獣種子羊のすね肉……冒険者ギルドが放出した巨獣種子羊の獣肉。本来は保存食に加工される予定だったもの。シチューの具となって獣人族の胃袋に消えた。
・巨獣種子羊の内臓肉……薬師ギルドで加工していた内臓肉。内臓肉の加工技術はジェイムズの故郷に隣接する妖精種ゴブリン達の畜産家より学んだ。甘辛く濃厚な味付けで臭み消しと保存性を高めており、酒の肴や調味料として使われる事も多い。帝都で暴動寸前の獣人族に振る舞われた。
・真なる巨人のチーズ……巨獣種子羊の群を返還した際に礼として送られた巨大なチーズ。日持ちのするハードタイプで表面には防腐のための蜜蝋が塗られている。チーズを包んでいた巨大な葉は抗菌作用のある未発見の薬草で、薬師ギルドが大騒ぎになった。
■アイテム類
・石鹸……不死王戦役を前後して流行した疫病対策として大陸全土に普及した。並行して公衆浴場や上下水道の整備も国家事業として進められている。
・旅装鎧……長期間の行軍を前提として設計された全身防具。虫や毒草の侵入を防ぎ、ある程度なら野獣の攻撃を防ぐ。革製のものが多い。金属製の胸当て等を追加することで軽甲冑としても運用される。チームで統一されたデザインの旅装鎧を仕立てることは、冒険者にとって憧れの一つでもある。
・羊飼の短剣……刃が大きく湾曲したナイフ。鍔元の刀身は幅広く、三日月のように湾曲しながら先端まで尖っていく。切断能力が高く、獣の解体や簡単な調理にも用いられる。ただしブリストンの街に持ち込まれたのは、刀身だけで三十メートル前後。その素材は竜種の骨をベースに仙鉄や星砂が組み込まれた代物だった。便宜上の所有者はジェイムズだが当人は断固拒否、領主に献上しようとするが国宝級どころではない代物なので帝都に丸投げした。なお帝都も完全に持て余している。
・転移魔法陣……地脈を利用した大規模物質転送装置。歯車王国時代に整備されたというのが賢人同盟の見解。地脈の到達する箇所ならどこにでも転送できるという建前だが、肝心の地脈が要所要所で寸断分断されており機能不全に陥っていた。巨獣種が時々出没するのは、地脈を通じて移動するため。ブリストン周辺に限り霊木の樹精が管理できるようになった。現在は「起動するのに必要な魔力の充電中」という方便で逃げている。
・基本通貨……単位はノーブル。
一ノーブル:小銅貨 公的取引で扱われる最小単位。
十ノーブル:大銅貨 冒険者ギルド斡旋の食事つき安下宿一週間分の宿賃。
五十ノーブル:小銀貨 駆け出し冒険者の装備一式に必要な値段。
百ノーブル:大銀貨 標準的な白等級冒険者の一か月の収入。ギルド資格再発行手数料。
これ以上の額については穀物兌換紙幣、小切手、軍票、各種ギルド口座からの自動引き落としで対応している。金は錬金術の産物や魔法触媒などで多用されるため、貴金属ではあるが帝国では貨幣素材には採用されていない。