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-95- どうでもいい

 必ず、そうしなければ…と思えば思うほど、物事は順調に運ばないものだ。逆転して、どうでもいいと思いながら、出来ないとは思うが、まあ一応やっておこうか…などといった軽い気分でやると、割合と早く終わるものだ。

川柳かわやなぎさん! どうでもいいんですが、早く済めばこの計算、やっておいてもらえませんかね? いやっ! 無理に、とは言ってませんよ。どうでもいいんですから…」

 課長の舟綱ふなづな古参こさん万年平まんねんひら社員の川柳に遠慮えんりょ気味ぎみにそう言った。同期入社だったこともある。

「はあ、出来ましたら、そうさせてもらいます」

「なにぶん、よろしくっ!」

 川柳は舟綱が言った『なにぶん、よろしくっ!』という言葉が妙に気になった。どうでもいいと言いながら、なにぶん、よろしく・・と加えるのは変だ。なにぶんという言い方は、すでにやってもらうことを見越した言葉だからだ。どうでもいい訳ではないっ! と遠回しに言っているのも同然だった。

「はい…」

 川柳が腕を見ると、すでに7時近くになっていた。残業は、ことのほか長びき、舟綱が言った計算は、とうとう出来ず、次の日となった。

「どうでもいいあの計算、やってくれました?」

「いや! 残業分は出来ましたが、どうでもいいあの計算は時間足らずで出来ませんでした、どうもすみません」

「ははは…どうでもいいんですから。…どうでもよかないんですよっ!」

 舟綱は切れた。その切れた意味が分からず、川柳はいぶかしげに舟綱を見た。

 どうでもいい…と言われれば、どうでもよくないんだ…と逆転して考えた方がよさそうである。


                   完

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