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-93- 嘆(なげ)き

 物事をやって失敗すれば、当然、人はなげきをらすことになる。ああっ! と大声を出す人もあれば、しまった! と無言で顔をゆがめる人もあり、その態度には個人差がある。ただ一つ言えることは、嘆きを漏らす前に逆転して失敗しないよう注意できないのか? ということだ。注意して慎重しんちょうにコトを進めたり、努力してやったりすれば、必然的に失敗もなくなるから、その結果、嘆きを漏らさなくてもよくなる・・という三段論法が成立する訳である。

 ここは、とある神宮の境内けいだいである。どうしても飛べない…とはないにされた一匹のニワトリが、今日もえさつつきながら悲嘆ひたんむせんでいた。そこへ偶然、木の枝へ舞い下りたのがノバトである。

『ニワトリさん、何をそんなにコツコツ、なやんでいるんだい?』

『これはこれは、ノバトさん。どうしても飛べなくてねぇ~』

『ははは…そんな、つまらない嘆きでしたか。簡単なことです。では、私が飛法ひほう伝授でんじゅいたしましょう』

『そんなのが、ありますか?』

『ええ、ありますとも。簡単なことです。野生になりなさいっ!』

『野生ですか? これでも、十分に野生だと思っているのですが…』

『甘いっ!!』

『甘いですか?』

『ええ、甘いっ! 心がけが甘いっ! 努力が足りないっ!』

『甘くて足りないですかっ?』

『ええ、甘くて足りないっ! …一つ、いいヒントを教えて差し上げましょう。ほら、そこにある木のこずえから飛び降りる練習をしなさい』

『飛び降りる練習を、ですか?』

『ええ、そうです。飛び降りる練習を、です。出来れば、その枝よりもう少し高い梢からという風に…』

『それで、飛べるようになると?』

『はい、必ず…。あなたは下から上へ飛ぼうとしている。だから、飛べないのです。逆転して上から下へ下りようとすれば飛べるんですよ。下りることが飛ぶということです。自然と羽ばたきますからね。飛距離も少しずつ伸びます』

『なるほどっ!!』

 それ以降、そのとある神宮のニワトリは修業を重ねた結果、飛べるようになったそうだ。もちろん、人の場合は無謀むぼうで、激突死するのが関の山だろうが、努力すれば人として飛躍ひやくできることはうたがう余地がない。


                   完

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