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-88- 安(やす)らぎ

 強い国と住みよい国は違う。わが国は第二次世界大戦で多くの尊い犠牲ぎせいを出し、敗北した結果、修羅から解き放たれ、有史以来の、やすらぎを得た。敗北したことは、逆転して勝利したことに他ならない。

 ご近所同士の二人が話し合っている。

「ははは…よかった、よかった! あんた、あの弁当、買わなくてよかったよっ!」

「ええっ! そりゃないよぉ~。おたくは買えて美味おいしく食べたんでしょうけどっ!」

「いや、それがさぁ~。並んだまではいいけど、今、一歩のところで売り切れて終わりっ!」

「そうでしたか。用事で買えず、よかったんだ。ははは…」

「ははは…じゃないよ。まあ、それでも、いいほうなんだけどね」 

「いい方って?」

「実は、3日後に知ったんだけどさ。買った人、のき並み食中毒!!」

「ええ~~っ!!」

「買えなかったから、ひと安心! っていうのも妙なんだけどね…」

「すると、私が一番、ラッキーってことになりますよね」

「そうそう。あんたが、やすらぎでは一番っ!」

「やすらぎ・・ですか」

「ええ、そうですよ。やすらぎ! 寒い中、並ばずで、食べなかったから食中毒にもならずっ!」

「はあ、まあ…。食べたかったんですけどねぇ~」

「ある意味、あんたはノロウィロスに勝ったんだから大したもんだっ!」

「ははは…そうですかねぇ~」

 用事で買えなかった男はそう言われ、したり顔をした。

 やすらぎとは、かくも単純明快たんじゅんめいかいな気分なのだ。


                   完

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