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-72- しんみりとあたふた

 落ちついてくると、しんみりした気分になる。心が安らいで、椅子いすにドッコイショ! と座ったような具合だ。ひょっとすると、心は茶などをすすっているのかも知れない。逆転して、心が騒いだ状態では、しんみりと茶など啜っている場合ではなくなるから、心は椅子から立ち上がり、右へ左へ・・と、あたふたと、し出す。ただ、これは当事者だけが分かる感覚で、赤の他人には皆目かいもく、しんみり、あたふた感は分からない。

「ブルマンをもらおうか…」

 とある駅前の古風な喫茶店である。店へ入った渋い感じの中年男がパーコーレーダーが置かれたカウンター席へと座り、しんみりした語り口調で格好よく言った。まるで西部劇に出てくる、カウボーイが酒場へ入った、いい場面に似た雰囲気だ。

「はい。しばらく、お待ちを…」

 いた店主も負けてはいない。落ちついたもの静かな語り口調で、しんみりと返した。ところが二人とも、言葉とは裏腹に、心はあたふたとあせっていた。店主は今にも漏れそうなほどの尿意を感じていたから、あたふたしていた。一方、客の中年男は、店の窓越しに見える駅の乗降客に焦っていた。というのも、待ち合わせた時間が過ぎていたが、一向にその女の姿が見えなかったからだ。ていよく振られた格好なのだが、この男のプライドがそれを許さなかった。必ず来るはずだっ! が、この男をあたふたさせていたのである。

 しんみりとあたふたには、こういう逆転した二面性があるのだが、他人には分からないのだから面白い。


                   完

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