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-64- 待つ

 待つ・・という気分は、どんな状況であれ、人それぞれで違う。気がく性分の(しょうぶん)の人は当然、急いでいるからだが、そうでない場合でも小忙こぜわしがらない人はいる。そういう人は急いてはいるのだが、そう大してあせらない。前述の性分の違いによるものだが、逆転してそう急かなくてもいい場合がある。

「主事には先ほど了解を得ましたので鼠野ねずみのさん、明日は頼みましたよ」

「分かりました、猫崎ねこざきさん。明日は日勤でいいんですね」

 勤務交代の了解を得た性分の鼠野は、首を縦に振って小忙しくセカセカと職場から消えた。明日の勤務を猫崎が日勤→夜勤に、鼠野が夜勤→日勤に交代したのである。猫崎はおっとり刀の性分で物事を柳に風と受け流したから、取り分けて勤務交代はどうでもよかったのである。そこへいくと、セカセカと消えた鼠野のスケジュールはびっしり詰まっていて、一日の余裕すらなかった。突然、夜ににわかの予定が入り、鼠野は猫崎に勤務交代を頼んだ訳だ。ところが、である。鼠野は夜、勤め帰りにセカセカと約束の場へと向かったが、いつまで待っても相手は現れなかった。小忙しい性分の鼠野は待つことに耐えられず、その場をあとにした。一方の猫崎は、夜勤になったものだから、日中はのんびりと映画見物をし、美味おいしい食事を堪能たんのうしたあと、レストランをあとにして職場へ向かおうとした。まだ夜勤には、たっぷりと時間があった。猫崎が街路を歩いていたときである。

「なんだ、猫崎さんじゃないですかっ!」

「おおっ! これは獅子川さんっ!」

「まあ、立ち話もなんですから、そこでお茶でも…」

「はあ、20分ぐらいでしたら…」

 猫崎は腕を見てそう言った。二人はすぐそばの喫茶店へ入った。話に花が咲き、獅子川は鼠野との約束をすっかり忘れてしまった。

「今日は夜勤ですので、それじゃ、そろそろ…」

「そうでしたか。お引止めしてしまいました。それじゃ、お元気で」

「はい、あなたも…」

 猫崎は仕事が待つ職場へ、ゆったりと向かい、獅子川は鼠野との約束をすっかり忘れてしまっていたから家路についた・・とまあ、話はこうなる。待つ・・その後は、人それぞれの性分で変化をする。


                   完

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