-59- 時雨(しぐ)れる
冬場になると、どういう訳か、よく時雨れる。晴れているな…と軽く自転車で出たりすると、帰りに時雨れて偉い目に合う。ああ! さっぱりだった…と濡れ鼠で帰宅し、着替えをしていると、空模様が俄かに逆転して晴れてくる。チェッ! 晴れてきたかっ! と怒っても、それが冬場の天候なのだから仕方がない。
伊勢川は、やっと取れた久しぶりの休日に、溜まっていた洗濯をしていた。空は快晴で、いい塩梅に晴れ渡っていた。少し寒かったが、吹いていた昨日の木枯らしもこの日は吹いておらず、青空が心地いい。こりゃ、外干しだな…と、伊勢川は軽く考えた。だが、それは軽率な判断で、大きな間違いだった。洗濯物を外の物干し竿に吊るし、中の整理をしている間に天候が逆転し、空は暗雲に覆われて時雨出した。時雨れるとは予想だにしていなかった伊勢川は少し焦りながら洗濯物を取り入れた。取り入れた洗濯物を、さてどうするか? と悩んでいると、また天候は逆転し、雲が去って晴れてきた。なんだ、取り入れる必要はなかったか…と、また外へ干し、中へ入った途端、またまた逆転し、時雨れてきた。伊勢川は空を見上げ、もう、いいっ! と怒った。すると、それが伝わったのか、また晴れてきた。伊勢川は、そうは問屋が…と空模様を信用せず、そのまま中干しにした。するとそのまま晴れ続け、夕暮れとなった。
時雨れる日は深い読みが必要・・ということになるだろう。
完




